第106話 クロードの扱いはこんなもの
突然だけどオハナは7号のことを見くびっていたのかもしれない。
それは何故か?
だってこの子ったらまだクロードの事殴ってるんだもの。
がっちりマウント取って、一方的な展開でかれこれ五分くらいは経過してると思う。
何?親の仇なの?ってくらいに一心不乱に殴り倒してる。
最初こそ抵抗していたクロードだったけど徐々に恍惚とした表情を浮かべて、今では鼻血を出しながら幸せそうに笑っている。
うん。普通に気持ち悪いし何か止め辛いしで、周囲の人が誰も幸せになれない空間の出来上がりだね。
惜しむらくはオハナもその空間から逃げられなくて巻き添え食ってることくらいかな。
「あの…………止めないのですか?」
フェンネルが恐る恐るって感じで訊いてきたけど、オハナはそれを華麗にスルー。
7号の気が済むまで遊ばせておいてあげたらいいと思うの。
それに今7号を止めたら、今度はオハナがあの変態の相手をしなくちゃいけないんだよ?わかる?普通に嫌なんですけど?
それに7号のイライラを全て解消しておかないと帰り道でまた同じ状態にするから、ダンジョンに戻った時の機嫌も多少違うだろうし……………まぁ主な被害はサンガに行くんだけど、「多少は解消しておいたんだよ?」っていうサンガに対しての言いわけくらいにはなるでしょう。
きっと本当かどうか疑われるんだろうなぁとか思いつつ、
「………もうこのまま面会終了で良くない?」
クロードには延々と7号のサンドバッグになっててもらうのもアリかもしれない、本人も嬉しそうだし―――。
「眷属に一頻り捕虜を殴打させて面会終了しようとしてるぞ…………?」
「面会とは……………?」
「それ以上はよせ、今は余計なことを考えるな死ぬぞ」
冗談半分で言ったのに、思ってた以上にフェンネルの部下の人たちにドン引きされた上に白い目で見られたわ。
きっと半分は本気だって見抜かれちゃったか、失敗失敗。
次からは全部本気で言う事にしよう、そうすれば解ってもらえるよね?
いや、寧ろわからせていくスタイル(物理)でいこうか。
「嗚呼…………この眷属もまたオハナ様によって創造されたオハナ様の一部なのだと考えると、この痛みもオハナ様から与えられているように感じてどうにも愛おしくなってきてこれが………これこそが……………そう殴り
……………やっと喋ったと思ったら想像以上に気持ち悪い発言が来たね。
ホラーゲームじゃないのにさっきから鳥肌立つ感覚が止まらないんだけど?
ちょっと見ない間に発酵熟成してクロードが別の意味で勇者以上に危険な存在になってない?ちょっとクロード今からステータス画面開いて見て?スキル〖変態〗とか〖ドM〗とか生えてない?
ホント恨むよ魔王さん…………こんな危険(人)物の処理をオハナに押し付けるだなんて……………。
それにそもそもクロード殴り合えてないじゃない、一方的に7号に殴られてるだけだし顔なんて特にパンパンよ?
まぁ、だからと言って止めないんだけどね?
更に十分経過――――。
「ありがとうございまひゅ」
「ありがとうございまひゅ」
「ありがとうございまひゅ」
…………クロードだけど、最終的に7号に殴られると何故か御礼を言う何かに仕上がった。
もうね?その恍惚とした表情が何処に出しても恥ずかしい感じの仕上がりだったから流石に止めることにした。
7号は前と同じく籠の中に、クロードはフェンネルの部下の人に両脇を固めてもらった。
「俺たちなんかよりオハナ様が拘束した方が確実なのでは…………?」
部下の人が何か言ってたけどこれも華麗に無視する。
だって触りたくないのは勿論だけど、部下の人がそれを言った瞬間のクロードがちょっと嬉しそうにしてたから絶対に触れてやるものかと思ったね。
何かオハナが汚れそうなんだもの。
そしてちょっと嬉しそうにしたクロードには5号パンチ!
「ありがとうございまひゅ!!!」
「ひでぇ、そして容赦ねぇ…………」
「これが噂に聞くオハナ様の恐ろしさか………」
「俺、フェンネル様の部下として真面目に生きてきて良かった…………」
「…………安心なさい、これからも貴方たちに対してあそこまで理不尽なことはしないから」
―――うん?
気が付けばフェンネルとその部下の人たちが結束を強めてた。
しみじみ何か語り合ってる?もしくは解り合ってる気がするけどまぁ良いや、オハナも用事をちゃっちゃと済ませちゃおう。
「それで?クロードはオハナに何の用ですか?ただ会いたかっただけとかふざけたこと言ったら容赦しませんよ?(※主に眷属たちが)」
部下の人に両脇を固められた状態で治癒魔法を施され、徐々に顔が元のサイズに戻っていくクロードを見てついつい頭を重点的に癒してあげてくださいとか思ってしまう。
え?もう手遅れ?そんなのではもう治らないだって?
解ってるつもりだけど、ワンチャンあるかもしれないじゃない!!
「実はサーチェと、あとカーマインについてなのですが――――」
そんな事を考えていたせいで、クロードの話がほとんど入ってこなかったのは内緒。
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