第73話 〖第二回世界大戦〗のお知らせ

皆様大変長らくお待たせしました。


前回好評を博しました〖世界大戦〗。


その第二回となります〖世界大戦〗の開催をお知らせします。


前回と同様プレイヤーの皆さまの活躍をランキングさせていただき、その順位に応じて豪華景品を御用意しました。


既に前回の〖世界大戦〗で〖砦〗・〖ダンジョン〗を持っている方には別の景品を御用意しましたので奮ってご参加ください。


つきましては――――――…………。




それ以上はオハナのセールス感知センサーが働いたので読むのを止めた。

隙あらばアイテムの売り込みをして来る〖お知らせ〗、オハナも出来るだけ見ない様にしてるんだけどね?


だってくすぐられるんだもの。

何がって言わなくてもわかるよね?

しかもオハナの中の天使は踏み止まらせずに全力で背中を押しに来るから恐ろしいのよ。

まだ悪魔の方が可愛いまであるわ。


『『呼んだ?』』(※天使と悪魔)


出やがったね!?

呼んでないから今すぐ帰って!!


『チッ!』


二人揃って舌打ちとか!?態度悪くない!?

まぁ今回はすぐに引っ込んでくれたから良しとするか。



――――――だけど今回〖第二回世界大戦〗のお知らせが来ているとホタルちゃんから聞いたので読んでみたんだけど………………。

『奮ってご参加ください』って書いてあるけど、確か〖世界大戦〗って強制参加イベントだったはずよね?

前回の時にも言ったような気がするけど、その点について改善する気無いのね!?

それにじゃなくて、なんだ?

一瞬誤字かと思ったわ。


「もしも自分たちがランキング上位になった場合、オハナさんのダンジョンから卒業しちゃうんすかね?」


カナきちが疑問に思った事をサンガに聞いて居た。

カナきちも最近強くなってきたからね、ランキングで何処まで上位に食い込めるか楽しみでもあるんだろう。


「前回の〖世界大戦〗で、オハナさんが聖域から強制的にダンジョンに転移させられたのを思えば、きっとオハナさんのダンジョンには居られなくなってしまうのでしょうね」


プリムさんが胸に手を当て悲痛な面持ちで言葉を紡いだ。

オハナが聖域から居なくなっていた時の事を思い出してるのかな?

いつもそこに居た人が突然居なくなるのは想像するだけでも辛い。

改めて〖勢力変更〗までして追いかけて来てくれたプリムさんには感謝しよう。

時々暴走するのは勘弁してほしいけども。


「でもちょっとだけ、ダンジョンを運営してみたい気もするわぁ」


ワヲさんがうっとりとした声で言う。

きっとワヲさんの理想のダンジョンを思い描いてるんだろうなぁと、その様子にオハナがほっこりしていると、


「………………爺さまと共同経営出来ないかしら?」


ワヲさん――――――!?


「婆さまよ、絶対めんどくさくなったんじゃろ?」

「あらヤダうふふ。そんな事ありませんよ?」


ワヲさんってあれかな?意外とめんどくさがりさんなのかな?

キャッキャッとはしゃぐ御高齢夫婦を見て、もう総じて仲が良いこと――――――と流しておく事にした。

こういうのはまともに相手してる人が一番疲れるヤツだもの。



「ハイハイハイ!!オハナさんに質問っす!!前回の〖世界大戦〗ではどんなふうに立ち回ったんすか?」

「私も聴きたいです」


カナきちの質問にホタルちゃんも目を爛々と輝かせている。

何かの参考になればオハナとしても嬉しいし、二人にも頑張って欲しいのでそのまま伝える事にした。


「前回は主戦場――――――プレイヤーさんたちが一番多くひしめいている場所は避けてたかな、その頃はまだ移動も出来ないから拠点の防衛に専念してました。初めての〖世界大戦〗っていうのもあって、結構無理をして攻め込んでくるプレイヤーさんたちが多くて、守ってるだけでも撃破数は稼げましたね」


今回もそうなるとは限らないから参考にもならないかもしれない。

だけど無闇に突撃して早々にリタイアしちゃうのは避けようっていう意識は芽生えてくれたみたいだから、オハナとしても話した甲斐はあったかな。


それが無かったとしてもオハナダンジョンの皆ならば、きっとランキング上位の好成績を修めてくれるに違いないからそんなに心配もしてないんだけどね?

あぁでもあまりに好い成績過ぎると強制卒業させられちゃうんだっけ?

本音を言えばオハナダンジョンに居て欲しいけど、「手を抜け」なんて言うのが間違ってるのも解ってる。

それに報酬であるダンジョンも考え方によってはイベントを頑張った証みたいなものだものね、目指そうとすることにもきっと意義があるよ、うん。


そう思って、世界大戦での戦い方、成績に関してオハナは何も言わない事に決めた。





それからオハナダンジョンメンバーは、相変わらずダンジョン内で経験値稼ぎをして着実に強くなっていた。

ダンジョンにランダムで出現する魔物目当てに挑んでくる人たちが増えて、〖世界大戦〗に対する意気込みが感じられるね。


「オハナ様は何もしなくて宜しいのですか?」


いつか聞いたようなセリフをサンガがぽつりと漏らした。

確かに、経験値や獲得したスキルなんかは腐ったりしないからいきなり戦闘しても何ら問題無いんだろうけど、プレイヤーさん同士のバトルが多いゲームをプレイした事がある人ならわかってくれると思う。

実戦経験と言うか、戦闘してる最中のは間違いなく鈍るって事。

オハナも幾つか戦闘しておいた方が良いとは考えてるんだけど、ダンジョンだと皆の邪魔になっちゃいそうで気が引けるのよね。


「まぁぶっつけ本番だとしても何とかなると思う」


既にダンジョンを貰ってるオハナが、更に上位にランクインした場合何が待ってるのかわからない。

きっと碌な事じゃないだろうなぁって悪い方に考えて、今度の〖世界大戦〗はそこそこ無茶して突撃してそこそこの成績でも良いや――――――あ、でも〖世界大戦〗って事は同じ戦場の何処かに魔王さんと〖七牙〗の人も居るって事だよね……………?

  • Twitterで共有
  • Facebookで共有
  • はてなブックマークでブックマーク

作者を応援しよう!

ハートをクリックで、簡単に応援の気持ちを伝えられます。(ログインが必要です)

応援したユーザー

応援すると応援コメントも書けます

新規登録で充実の読書を

マイページ
読書の状況から作品を自動で分類して簡単に管理できる
小説の未読話数がひと目でわかり前回の続きから読める
フォローしたユーザーの活動を追える
通知
小説の更新や作者の新作の情報を受け取れる
閲覧履歴
以前読んだ小説が一覧で見つけやすい
新規ユーザー登録無料

アカウントをお持ちの方はログイン

カクヨムで可能な読書体験をくわしく知る