第2話 ふたり。

「なんで?友達って、いてもいなくてもおんなじじゃない」

「ふぅん……」

じゃあ、いてもいいんですね?


理屈がわからない。

いてもいなくても同じ。

いなくてもいても同じ。

じゃあ、いなくていい。

じゃあ、いてもいい。

じゃあ、今日から友達っつーことで。よろしく。なんなら恋人ってことでよろしく。今から夫婦でもいいっす。

理由ワケがわからない。


ていうか、あんた誰?

「あれ?忘れちゃった?さっき『こんちはー』ってあいさつしたじゃないですか」

「だって、今日初めての顔合わせ飲み会で、『こんちは』ってあいさつで、友達どころか恋人候補から夫婦って」

「いいじゃないっすか。だって、誰でもいいんでしょ?友達も、恋人も、ダンナでも、ひとりでも」

「誰でもいいってわけじゃないよ。丁寧に『友達』を断ったことだってあるよ。嫌いな奴だったから」

「じゃあ、俺のことは嫌い?」

「あんたのことは『知らない』」

「じゃあ、いいじゃないっすか。交際0日婚。流行ってるらしいですよー」

どこでだ。


『交際0日婚』でいいって言ったのに、奴は出て行った。

いつの間にか、出て行った。

いてもいなくても同じ。

いなくてもいても同じ。

いたけど、いなくなっちゃった。


勝手に置き土産を置いてって。


    

  • Xで共有
  • Facebookで共有
  • はてなブックマークでブックマーク

作者を応援しよう!

ハートをクリックで、簡単に応援の気持ちを伝えられます。(ログインが必要です)

応援したユーザー

応援すると応援コメントも書けます

新規登録で充実の読書を

マイページ
読書の状況から作品を自動で分類して簡単に管理できる
小説の未読話数がひと目でわかり前回の続きから読める
フォローしたユーザーの活動を追える
通知
小説の更新や作者の新作の情報を受け取れる
閲覧履歴
以前読んだ小説が一覧で見つけやすい
新規ユーザー登録無料

アカウントをお持ちの方はログイン

カクヨムで可能な読書体験をくわしく知る