こんな世界普通に嫌なんですけど?
こぐまる
ここは乙女ゲーム
「マリアローザ!ここにお前とのデフュ婚約をメガネクィ破棄することを宣言する!ニチャァ」
「…は?」
思わず口からそんな言葉が出たのは仕方がない。なぜなら絶賛記憶取り戻し中で、目の前の王子が前世でプレイしていた
《デュフ♡王立ブサメン煮え滾リッシュ学園🌹ファイターたちの恋の舞ニチャァ♡♡》
という作品の王子様である
イケメン国 ヨノナカ・ハ・カオ 王太子だからだ。
ちなみにこのゲームは、販売ターゲットを女子に絞った乙女ゲームというジャンルの中ではかなり異色で、乙女ゲーマー、オタク問わず、ネット界隈でかなり人気の作品だった。
理由は今目の前に広がってる景色の通り学園の卒業パーティーで婚約破棄の真っ只中
ただ立っているだけなのにハァハァニチャァと音を立て、歩くだけで大地を揺るがし、川で泳げば洪水を起こし、おならとゲップで時空を歪めることもしばしば、
現在も黄色い歯をみせ、ヨダレを口から糸を引きながら垂れ流し、堂々と指を私に突きつけてセンターに君臨する人物が王太子というポジションにいることが一因だろう
王太子 ヨノナカ・ハ・カオ
ネット界隈でのあだ名は「顔面殺戮兵器」「ウォーターサーバー(ヨダレを垂れ流すスチルしかないため)」「すべてが阿鼻叫喚の男」
と全て辛辣である。ちなみに私は親しみを込めて「ブサイク」と呼んでいた。
そしてブサイクの隣に立つのは
体から絶賛蒸気湧きだし中、皮膚からは汗が吹き出しもはやシャワー、王太子もその汗シャワーで水浴び中である。髪は天を昇るかのように逆立ち、まるでHUNTER÷HUNTER
のゴソのようである。
「マリアローザ(ウッフ)、お前(ウッフ)俺たちの(ブシャァォォ)唯我独尊平等院鳳凰子を良くも(ウッフw)虐めてくれたどすな(グチャァ)」
もう全てが台無しである。ちなみに唯我独尊平等院鳳凰子は今作品のヒロインの名前である。王子の股下に隠れているのをこのセリフを聞いて思い出した。
断罪イベント(笑)を起こすときマシなポジは毎回あそこだった。
おっと話が逸れた。
その人物こそ
ブサイクの隣で腕を組み、数分前に衣服を脱ぎ散らかした宰相の息子
アセ・クセーヨ だ
いやお前・ダーヨ と初見でツッコミを思わず入れてしまったことは今でもおぼえている。
通称 「溢れる肉汁」 「さかのぼリーヨ」「発見された温泉地帯」「歩く姿は硫黄山」
こちらもまぁ辛辣である。私は親愛の情を込めて「皮脂」と呼んでいた。
そして皮脂とは反対のブサイクの隣に立っているのは…
「デュフフフフフフフwwwカ、カ、カ、カオ氏、かっこいいでござるよ(ニッチャァァァ)」
と謎の言語を喋るもやし男
我が国の聖騎士団長の息子
ガリ・ガリクン である。
もう某アイスから取ったとしか思えない、運営のやる気がこれだけで伺えるガリガリ君である。ただこいつは性格や言動が他の登場人物よりはマシなため(相対的に)そこまで酷いあだ名は着いていない。
私は最大限の敬意を評して「モブ」と呼んでいた。
他にもキャラは沢山いるのだが、今出現している攻略対象(爆弾)はブサイク、皮脂、モブだけと考えていいだろう。
このルートだとヒロインは現在ブサイクの股下の肉の隙間に隠れている。恥ずかしくて出れないと隠れている設定だが、実はこの後ブサイクの股下で窒息死した状態で発見される。
ちなみにヒロインまでブスである。体型や特徴は皮脂と似ていて、ただ違う点が笑い方が「みょんみょんみょんみょんww」と笑うところだろうか。この笑い方がボイス付きで流れた時は三分ほど笑い転げていた。その時のセリフは
「王子様…お慕い申しておりますわみょんみょんみょんみょんwwww」
だった…恐らくふふっとでも笑いたかったのだろう。台無しだ。しかもこれが告白エンドだ。ありえない。
とまぁ一通り目の前の攻略対象(攻略したいとは言ってない)たちの情報を脳内で整理する。
さぁどうするか…
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