異世界救ったし元の世界に戻ってラブコメを…!?

だんぼーる

第1話 ありがとう異世界、そしてただいま現実世界…あれ?

  俺は、一年程前からこの異世界で勇者をやっている。元の世界の記憶はあるが死んだ理由は分からない。ただ女神からチート能力を貰ったことは覚えている。


 

 伝説の勇者、こと俺『ああああ』が聖剣『名前未設定』を抜き魔王に一振り。


 「ふっ!」

 「グオァァァ…!!こ、こんなふざけた奴にィィィ負ける…モノカァァ!!」


 魔王は第二形態に入るらしい。


魔王の顔や体が崩れたと思ったら変形しだした。


 「うわっ!ちょ!ごめんキモい!!」

 「え?ちょっ!タンマ!!……グァァァァァァァ……」


 あまりにも変形の仕方が気持ち悪かったので魔王が現在進行形で変形中にもかかわらず聖剣を思いっきり振ってしまった。


 魔王が光の粒子となって消え、周りの暗黒に満ちた世界が一気に晴れる。


 全ての魔物が世界から消えたらしい。


 町に戻ると俺を称賛する声がどこからともなく聞こえてくる。


 「ああああ様ァァァァ!!」

 「ありがとうございます!ああああ様!!」

 「ああああ様!結婚して!!」



 俺はこの時思った。ーー名前って大事だったんだなと。



 名前と魔王の倒し方がなんとも恥ずかしかったのでワープで教会まで行くことにした。


そこには俺をチート能力をもたしたまま異世界に送り出した神々しい女神様がいた。


《 勇者ああああ様 見事 世界をお救いになられましたね 》


 「あはははは。あまりそこは触れないで頂きたいです…」


《 どうしてですか? 》


 「どうしてもです。」


《 分かりました では本題に入りましょう ーー勇者ああああ あなたの願いを叶えましょうーー 》


 「元の現実世界に戻って美少女と甘酸っぱい青春ラブコメがしたいです。」


《 え? 》


 「え?ダメでしたか…?というかこれ叶えるためにこの世界救ったんですが…」


《 いや 実はこれまで私が導いた別の世界の勇者様はもっと恐ろしいことを言い出したので 期待外れというか 》


 「なるほどです。例えば?」


《 俺をこの世界の魔王にしてくれ とか

私とHさしてくれ とか 》


 「なるほど…確かにそれを聞くと平凡な気がしますね…ちなみに…その…したんですか?」


《 では あなたの願いを叶えましょう 》


 「スルーされた!?お、お、おおうあぅぅゔゔぅぅあゔぅあゔぅ」


 目の前の教会が、世界が歪み始めた。んー例えるなら熱になりたての時に見る夢のような感じだ。


《 今日からあなたは 桜波高校 二年 A組

 6番 海陸かいりく 俊哉しゅんやです 細かいことは こちらでしておきますので 是非 ラブコメを 楽しんで下さいね 》


 「は、はい!楽しんで来ます!」


《 では 行ってらっしゃい 》


 その女神の声が聞こえたと思ったら空間が元に戻り俺は、


 ーー現実世界に帰ってきた。学校が目と鼻の先にある。


 「さっ!いっちょ美少女手に入れちゃいますかー!ってなんだこの体ぁぁ!?」


 血塗れだ。今日から俺の体になるものは血塗れだ。え、これ俺死ぬの?というか死んでる?


 「と、とりあえず回復するか。って出来るわけな…ってできてるし!!」


 傷が瞬時に治った。

 

 「あれ?俺もしかしてチート能力そのまま持ってきちゃった?」


 「……俊哉君……生きてるの?」


 黒髪ロングな美少女が俺に話しかけてきた。ん?俺(なりたて俊哉)とどういう関係だ…?この子が俺のヒロイン?


 「あぁ。生きてるぜ…?で、そちら様は…?」


 「……え?私のこと覚えてないの…?」


 「ご、ごめんちょっと記憶が無くて…」


 「そう…だったら良かったわ。」


  美少女は静かな声でそう言った。



 ーーポケットからナイフを取り出して。

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