第四章 6
六
「何ということだ?・・・」
幸村も呆れた。
「一番大きな船、三十二隻分の船が一つに・・・それは船ではありませんえ。浮かぶ島、いえ、城船です」
淀が呆れ顔で、首を振った。
「予備に五城分あります。天守閣を造らなければ二百二十四の帆柱がたちます。風車のスクリューも付いていますから。他の船並み以上には、かなり走ります。四胴船です。言い忘れましたが、船底には半潜水艦が、十隻格納されています。今まで級の戦車が百輌以上入ります。象、虎、犬、馬、牛も十師団分が搭載できます。兵士、八師団がすべて乗れます。船首は、四ヶ所開き最上階は戦車などのために、陸に橋が架かり、船尾も小型揚陸艇が、海に兵士を乗せたまま滑り出ます。舷側には桟橋がでて、舷側は何ヶ所も開くので、動物などは無理なく出せます。兵士もです。これで、五隻が出撃したら、明の海側は間違いなく制圧出来ます。今、あるのです。黄海から、威海(ウェイハイ)、煙台(イエンタイ)、大連(ターリェン)、営口(インコウ)に城船強襲揚陸艦にできまする。しかし、そんな込み入ったところよりも、上海から初めて、この艦船の凄さを見せて、呆気にとられている間に半潜水艦、十隻を、長江に入れて、河沿いの都市を砲撃していった方が早いかな。半潜水艦は、無筒弾丸発射装置を持っているんです」
と、ニヤリとした。幸村に、
「とうとう、そこまでいったか。羽を大きくしたら。撃針と、レールだけでよくなったんだろう。筒より、弾丸だという意味を、実行したわけだ」
と言われて、
「見事にそうでした。で、武蔵将軍の戦略を実現すると、黄河の三ヶ所、長江の三ヶ所に、城船を浮かべておくというのが、早い方法ではないかと思ったのです」
と孫一がいった。武蔵は、
「む。何も言えぬ・・・」
と押し黙った。
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