第五章 2
二
刈谷城、知立城、豊田城、安城城、西尾城、田原城、豊川城、豊橋城、新城、鳳来、浜北、天竜、豊岡、磐田、浜松、湖西、浅羽城、掛川城、袋井、大須賀城、浜岡、相良城、島田、焼津、藤枝城、岡部城、額田、松平、津具、豊根、富山(とみやま)、金谷、本川根、中川根、川根、引佐 (ひきさ)、そして、岡崎を、陸軍、水陸隊、水軍の三軍で、同時に半刻もかからない間に、陥落させていった。
どの城も、大砲、迫撃砲を撃ち込まれて、降伏の印の笠を竿の先に付けたものを振った。
遠州灘の沖合いの旗艦から観戦していても、三十七の城を、一気に陥落させたのである。
凄い迫力であった。
駿遠三を一気に落したのである。
陸軍の戦車、戦闘装甲車、装甲車からの、大砲、迫撃砲、大弩の六連発の、重火器攻撃だけで、徳川軍はギブアップした。
家康は、藤枝が落されれたとしると、駿府城から、尻に帆を掛けて、江戸城に馬を疾駆させて逃げていた。
「家康は、また逃げた」
と言う噂を、撒き散らさせた。
駿府城は無血開城であった。
そこから、先の河東も一気に掃討して、伊豆半島一円、小田原までを、占領していった。
すでに、甲信には、豊臣の将兵が入っていた。
興国寺城、沼津城、韮山城を獲ると、内浦湾の船を漁船に至るまで、拿捕させた。
幸村は、ここを駿河湾の、軍港兼造船所と決めていたので、直ぐに、土木隊、建築隊に作業に掛からせて、堅牢で、規模の大きな桟橋や、諸施設を造らせて、駿遠豆の船大工を徴募した。
小田原城に、大道寺、松田らの、元北条の家臣らが、参集してきて、相模の版図拡大の戦陣に、
「ぜひともお加え願いたし」
と平伏してきたので、大阪城に送って、軍事教練や、実戦さながらの演習で鍛え上げて、豊臣の軍制を、教育していった。
教育の中には、洗脳も入っていた。
上官の命令は絶対であると教えた。
渥美湾、三河湾にも、軍港と造船所を造り、三州瓦の職にたちを徴募した。瀬戸の陶器職人も徴募した。
木曽の樵たちに木を伐り出させた。真鶴、根府川から、石工たちを、徴募した。ここでは小松石という石が取れた。
伊豆でも、伊豆石が取れたので、切り出させた。濡れると緑色に艶が出る石である。
美濃では、和紙を供出させた。
甲斐でも良い石が取れた。
それらを筏の下に括りつけて大阪城に運び込ませた。
陶芸用に粘土、瓦の土を運ばせた。
これらは、九鬼、分部、向井、千賀、小浜、生駒、蜂須賀らに船を出させて運ばせた。
元北条の将兵の教育を終えたので、相模を一気に攻めた。
小机から八王子までの多摩川沿いまでを攻略した。
三浦半島も豊臣の手に入った。
続いて、三浦半島の、向かい側の安房を攻略した。
さらに、利根川を遡り、霞ヶ浦を占拠して、常陸と下総を攻めて、安房と江戸湾、太平洋側から、同時に上総も攻め取った。
元北条軍が、大活躍をした。
元北条には、水軍が多かった。
水陸隊は、輸送船や、強襲揚陸艦までを操船していった。
陸軍が、越後、信濃から、上野に入り、下野と占領、掃討をしていった。
これで、徳川は、武蔵 (地名)だけとなって、孤立していった。
相模、甲斐、信濃、越後、上野、下野、常陸、下総、上総、安房、と十ヶ国に取り囲ませたのであった。
幸村は、ここまでで、進撃を止めて、徹底的に掃討と、掃除部隊を出動させて、関東の金蔵と、米蔵、武器蔵、布蔵を、空にしていった。
降伏した者たちは、件の手続きを終えて、捕虜服で、琉球に運んだ。
そこで、帰農の基礎を教え込むと、既に取得してあった、南洋の農地に屯田兵と、土木兵、農兵にして、送り込んだ。
現地には宿舎は用意されてあった。
全員、研修期間中から、報酬を支払っていた。
ごく普通の賃金であったが、南洋は物価が安かったので、楽な暮らしが出来た。
旗艦から、攻撃の光景を見ていると、とてもではないが、守備側に勝目があるとは、思えなかった。
淀も、秀頼も、大助も、攻撃の凄さに声も出なかった。
旗艦は、豪華な造りになっていた。
攻撃する甲板の上に二層の屋敷のような空間が、用意されてあった。
畳が敷かれた上に、ペルシャ緞通が、敷き詰められて、豪華なビロードで造られたソファーが置かれてあった。
中央に低い、黒檀のテーブルが置かれ足元には、虎の毛皮が敷かれてあった。
天井からはクリスタルのシャンデリアが下がっていた。
蝋燭の炎が消えたり揺らいだりしないために火屋が被せられていた。
部屋の中央には、淀が意匠をした、桐六文紋章が掲げられてあった。
ソファーの脇には、これも黒檀のサイドテーブルが置かれて、陶器のチャイナに飲み物が置かれてあった。
中央には、日本地図や、いま攻撃している場所の拡大地図が広げられて、金の文鎮で止められてあった。
「これで、徳川は完全に武蔵だけに孤立した。掃討と、掃除を徹底的に行え。武蔵、就中、江戸に食糧が入らないようにすることだ」
と幸村が命じた。
それを伝令船が、各隊に伝えていった。
捕虜は、どんどん琉球に運んだ。
「一度大阪城に戻ろう」
と幸村が言って、木津川口から城内に戻った。
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