『やましんは、くるしんでいる。』 その2

やましん(テンパー)

『イントラーダ《やっぱり。やましんは、くるしんでいる》』


 やましんを、夜中に襲うのは、過去の記憶である。


 過去の記憶たちが、妖怪となって、襲いかかるのである。


 これは、意識の戦いである。


 妖怪たちに実態はない。


 あくまで、記憶の固まりと、そこから発散される、強烈な毒素である。


 これが、やましんの精神を痛め付けるのだ。


 しかし、これに、負けてしまうと、あとは、悲惨である。


 だから、逆手をとる。


 思い出を、語ろう。


 それは、おそろしいことである。


 まあ、悪魔クラスの思い出は、最後の手段だ。楽しいことから行こうと思う。


 それが、前回だったのである。


 全壊するかも、しれないけれど。


 ごーごー、禁断の過去よ。


 はたして、やましんを、正気に保てるか?


 それとも、燃え尽きるか?


 壮大な戦いが始まる?  


 いや、潰されるかな。


 もし、おだやかに、まとまれば、それにこしたことはない。


 やましんは、最後のプールに、浸かりたかった。しかし、それさえも、成せなかった。


 これらは、観念的なものである。


 闘え。闘え。



 

 




 

 

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