第45話 帰りの朝。
ーーーー翌日。
「ん〜〜〜〜〜〜!!いい目覚め、じゃない!めちゃくちゃ寒い!!」
山の朝は夏場でも寒いのだ。
特に森に囲まれているこんなにも大きな屋敷では尚更だ。
俺はモゾモゾっとソファーから起き上がると辺りを見回す。
奏ちゃんとすずちゃんはまだ寝ているようで、ソファーでスゥスゥと心地良さそうな寝息を立てている。
『寒くはないのだろうか。』と思いつつ、俺は薪ストーブに薪を焚(く)べる。
パチパチと心地良い音がして、ほんのりと煙たいニオイがしてくる。
窓の外はまだ薄暗く、霧が立ち込めており、日の出にはもう少し時間が掛かりそうだ。
俺は時計に目をやると、まだ時刻は4時を指そうかといったところだった。
風呂の後、俺は正直どうやって寝たのかよく憶えていない。
眠気が急に襲ってきたのだろう。
服も何だか中途半端な感じで着ているし……。
「もう一眠りしたいとこだけど、寝たら起きれなくなりそうだな。」
必死で襲ってくる眠気と闘いながら、俺は眠気を誤魔化す様に、ひたすら薪を焚べた。
ーーーー午前6時。
完全に日が昇り、辺りが明るくなってくると共に、気温も上昇してくる。
窓に付いた水滴が少しづつ垂れてゆく。
俺は歯を磨き、顔を洗うと急ながらも持ってきた服に着替える。
荷物を纏めて一階に降りると、奏ちゃんとすずちゃんはもう起きていた。
「おはよう!すずちゃん、奏ちゃん!」
俺は手を挙げて、二人に歩み寄ると二人共何故か顔を伏せてしまった。
「どうしたの、二人共?」
「な、な、何でもありません!」
珍しく奏ちゃんもすずちゃんと同じくどもりながら慌てた様子で俺に返事をしてくる。
「あ、あと……おはようございます……。」
俯いたままの挨拶だったが、見事に二人共ハモりながら……。
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