第44話 露天風呂。

ーーこれがラッキースケベとかいうやつか!!

だが、否、断じて否!コレは見てはイケないやつだ!!


「わわっ、か、海斗先輩……!」

「海斗先輩も入ってらしたんですね……どおりでソファーにいないわけですね。」

「黙って行っちゃってごめん。起こしちゃ悪いかなと思って……。」

「わ、私達はべ、別に……何も思ってないですから、気にしないで下さい。。私達も実は……眠れなくて温泉に入りに来たんです……。」

すずちゃんと奏ちゃんは、俺と少しだけ離れて入浴する。


「身体が温かい方がゆっくり眠れますからね。お姉様と気分転換も兼ねて入る事にしたんです。……海斗先輩。」

奏ちゃんから不意に名前を呼ばれる。

「……どうしたの?」

「今回の旅行、ご迷惑ばかりお掛けして、申し訳ありませんでした。」

奏ちゃんは改まった様子で俺に頭を下げてくる。


ーーーーーーーー?


「迷惑って、何かあったっけ?」

俺には全く身に覚えがない……。

何の事だろうか……。

「……………へっ!?」

すずちゃんも奏ちゃんも目が点になっている。

「あ、あの、私が川に落ちたり、スマホの件で、迷惑を掛けてしまったり……。とにかく私が迷惑ばかりかけてしまって!」

すずちゃんは立ち上がると、涙ながらに訴えかけた。

ーーすずちゃん……。


「俺はそんな事全く気にしてないよ。誰にだってある事だから……。俺は、それよりも目の前の光景が気になる……かな……。」

俺は恥ずかしくて目を逸らす。

月の光に眩(まばゆ)く照らされたすずちゃんのその姿に、俺は目を奪われていたからだ。

もう時すでに遅し……だがな。


「目の前の光景……?え、ああぁぁぁぁぁぁぁぁぁああ!!??」

すずちゃんは身体を湯船に落ちたタオルで隠すと、猛スピードで湯の中に隠れてしまう。

「お姉様…………。何でそう…………毎回……。」

奏ちゃんはもう慣れたかの様にため息を漏らすと、まるで今までの事が無かった様に、湯船に浸かっていた。

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