第11話 美柑。

翌日目が覚めて、窓際に顔を向けると、そこには綾瀬と浜辺、委員長と妹がいた。

「お兄ちゃん!目が覚めたんだね!よかったー!!」

大粒の涙を流しながら大喜びし、抱きついてくるこの子は俺の自慢の妹、『結城美柑(ゆうきみかん)』だ。

幼馴染の浜辺とは仲が良く、クラスも浜辺と同じ二年B組だ。

茶髪がかったボブヘアで、背は145センチと小柄。

細身の体で童顔の為、誘拐されないか本気で心配になる。

今は俺と美柑との二人暮し。

母親と姉は二人共、会社に併設された自宅に住んでいる。

俺は美柑と二人で長い間暮らしているが、こんなにも取り乱した美柑を見た事が無い。


「無事で良かった。無茶し過ぎよ!」

「海斗が強いのは知ってるけど、いくらなんでもやり過ぎだよ!もっと自分を大切にして!」

綾瀬と浜辺がものすごい勢いでまくし立てるように叫ぶ。

「個室ですよ、静かに。」

須藤委員長はそう言うと、俺のすぐ横まで寄ってくると……。


ーーバチィーン!!!


俺は委員長に思い切りビンタされていた。

「あまり心配させないで。」

須藤はビンタした後、そのまま俺を抱き締めていた。

「……………………!?」

俺を含め綾瀬、浜辺、美柑全員が須藤委員長の突然の行動に驚愕し、絶句していた。


「ア、アンタ!お兄ちゃんにな……に……を……?」

言いかけた美柑が、須藤の姿を見て言葉に詰まり絶句してしまった。

ーー何故なら、須藤委員長は号泣していたからだ……。

「うぅ…………無事で良かった……うあぁぁぁぁぁぁ!!」

須藤は俺の肩で身体をカタカタと震わせながら泣いていた……。

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