第3話
ブランコ村から4500km先、カルコスを率いたネロ一行はそこから一ヶ月近くかけて未だに足を止めないでいる。
「ガッハッハ!!それでな!ロート!ネロが猛獣1匹に手間取ってな…!!」
「うるせぇぞ!!カルコス!!お前なんか力ばっかでこういう武器扱えねーじゃねぇか!!」
しかし、3人は談笑をし元気いっぱいの様子であった。
カルコスを連れた結果、3人の士気は上がりカエルレウムへのペースは上がっていっている。
カルコスは体格通り、力がネロの3倍以上強く、ひと殴りしただけで獲物は大きく怯む。
猛獣が襲ってきた時はカルコスが囮になり1発殴って怯んだ時に、ネロが止めを刺すといったルーティンが構築されていた。
「ところでロート!お前はその変な腕輪で狩猟はしないのか?」
カルコスにも赤色リングの話は既にしていた。
そのため、その力は狩猟にも使えないかと提案した。
「ボ、ボクは2人みたいに強くないからさ…、料理や2人の手当てするだけだよ」
ネロとカルコスは獲物を狩りに、そしてロートは料理や怪我した2人の手当てなどサポートに徹していた。
そのため、まだリングの力は発揮していなかった。
「いいんだよ!カルコス!ロートはそうやってみんなを助けてくれるんだから!こいつの飯はめっちゃうめぇだろ!それでいいんだよ!」
「確かにな!!ガッハッハ!!」
そんな話をしているうちに3人はジャングルは抜け荒野に着いた。
ここには木々がなく、猛獣に身を隠す場所がなかった。
「ねぇ、2人とも大丈夫…?ここにもっと凶暴な猛獣が現れたら…」
「ワシら2人なら余裕だ!心配するなロート!」
そんなことを話していると目の前に大きな黒いシルエットが見えてきた。
次第にそのシルエットが見えてくる。それは四足歩行で鉱物ような硬い皮膚を持ち鋭利なツノをしている…。
高さだけでも3メートルほどある巨大なサイであった。サイはネロ一行を発見し、こちらに突進してきている。
「うっわぁ!でっけぇ!!でもよ、俺らならやれるよな!カルコス!まずはお前があいつを受け止めろ!!」
「ガッテン!!」
カルコスは2人の盾となり、突進してくるサイを受け止めようとした。
ネロはカルコスのすぐ後ろに立ち、いつでも獲物を狩れるよう短剣の用意をしている。
ロートはそのネロの後ろにしゃがみ込み、震えていた。
ドンと鈍い音がし、カルコスの後ろにいたネロ達は吹っ飛ばされた。
カルコスはかなり後ろまで押されたが、立ちながらサイを抑えている。
「クゥ…!!ガッハッハ!!こいつは強いぞ!!負ける訳にはいかんぞぉ!!」
サイのツノはカルコスの腹部を刺していたが、まだ浅くカルコスはサイの頭を押しながら力比べをしていた。
「おい!カルコス!このままじゃトドメさせねぇぞ!どうすんだ!!」
「グォォ!!この硬い皮膚を…!!なんとかせんとなぁ!!ロート、お前の力を試す時なんじゃないか…!!」
カルコスはそう言ってロートのリングに目を向けた。
ロートは首をブンブンと横に振ったが、その間にネロもカルコスとともにサイを押さえてた。
「ロート、すまねぇ!!お前に戦わせる気はなかったんだが、それしかなさそうだ!あのコードなんたらって魔法見せてくれ!!」
ネロにもそう言われたらロートは立つ瀬がなかった。
ロートは急いでホログラムの画面を表示し、ルージュのメールや色々な機能を確認し始めた。
「ロート!!こう言う時は気持ちだ!!気持ちでなんとかなる!!怖いだろうが、こっちにきて手を当ててくれ!!」
「ガッハッハ!!楽しいぞ!!やっと3人揃って獲物を狩る時が来た!!」
サイを抑えている2人は興奮状態にいたが、それに感化されロートも慌てながら巨大なサイに手を当てた。
「あぁん!!もう分からないけどとりあえず!!『コード0547:サーモス』!!」
するとロートの手から強烈な熱が発せられ、サイの皮膚が溶ける音、そして蒸発気が発生した。
サイもより暴れ始めたが、カルコスがガシッと抑え付け2人が飛ばされないようにしていた。
「ネ、ネロ!!多分そろそろここに刺せそう…!」
ロートが溶かしていった皮膚の底には柔らかい内部が見えていた。
そこでロートは自分の役目は終えたとすぐにサイから離れた。
「よっしゃああ!!ロート、カルコスありがとうな!!これでこいつを仕留められる!!」
ネロは石の短剣を思いっきり溶けたサイの首元に刺した。
サイは死に物狂いで暴れたがカルコス抑え付けているうちに徐々に力が弱くなって生き絶えた。
「「…」」
「「よっしゃぁぁ!!!勝ったぁぁ!!」」
3人はサイを捕らえたと確信し、今までで1番強力な獲物に勝ったことを喜び飛び跳ねた。
その後サイの皮膚は全てロートの力で溶かし、可食部を捌いて3人で宴をした。
「いやぁ!!ロート!!お前が今日の1番だ!!よくやった!!」
「ガッハッハ!!やればできるじゃないか!ロート!!」
2人は揃ってロートを褒め、慣れていないのか真っ白な顔はかなり赤くなって照れていた。
「い、いや…、そんなボクは…ウフフ…」
3人は強力な獲物を狩り、より絆は深まっていった。
そして夜が明けそこから数日。
ようやく大都市カエルレウムが見えてきた。
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