第2話

ブランコ村から500km先、すっかり暑い気候に戻ったこの地帯は湿気もあるジャングルだった。


「あちーし、変な生き物もいっぱいいるし流石に疲れてきたな!!」


カエルレウムへ向かうラインに続いた一向だが、本来の人間なら連続して歩くできない500kmを丸7日かけて到着していた。


「残りまだ4500って書いてあるけど、日も暮れてきたしそろそろ寝床を探そう、ネロ」


「そうだな、道中で作った武器もあるし、今日もこれで食べれそうなもの狩ってくるよ!」


ネロには木刀一本、石を削った短剣一本、弓をそれぞれを作って担いでいた。

ロートは石や木、土で作った調理器具や掘ったイモを大きなカゴに入れて担いでいた。


小さな村出身の2人は自給自足はお手の物だったため、狩猟や料理で苦労はしなかった。


ロートが寝床を作っている間にネロは一つ一つの木々に帰りの目印の傷を残しながら狩猟へ向かった。


ネロが木々を分けていく中、川の流れる音が聞こえた。


「お!水だ!これもいっぱい貯めて持っていかないとな!」


木々を分けていき、広い川辺を発見した時、それとはまた別の茶色物体が倒れているのを見つけた。


(ん?動物か?今日の食料にするか!)


そう思い、武器を構えながら恐る恐る近づいていくとそれはとても大柄な肌の黒い男。

上半身裸で髪の毛はチリチリの真っ黒なアフロ、そして顔は厳つく、ズボンにはジャラジャラとしたチェーンが付いていた。


「なんだ、人間か…、!!おっさん誰だ!…?なんかこの台詞言ったことあるような…?」


「…」


「おっさん…、死んでるんか…?」


ネロは近づき、その大男の胸辺りに耳を当てた。

心臓の動く音が聞こえる。

生きていると確信した時、ネロはすぐさま近くの川からを水を汲んできた。


「おい!おっさん!多分この水は飲めるぞ!とりあえず生きろ!!頑張れ!!」


「…、んあぁ…」


ネロは汲んできた水を思いっきり男の顔面にかけた。

男はそれで目を覚ましたのか大きな声を上げた。


「ンオォォ!!!なんだこれはワシ生きとるんか!?オオオ!!!」


「うるせー!!なんだこのおっさん!?」


煩い男が2人になり、ネロはその男の名を聞いた。

男の名はカルコス。

空腹で水だけを飲んでいたが、もはや動く事もままならないレベルだった。


「おっさん!俺ともう1人うめぇ飯食わせてくれるやつがいるんだ!!良ければ、一緒に食わないか!?」


「ンオォォ!!マジか!?それは凄く嬉しいが!!ワシの名前はおっさんじゃなくカルコスだ!!間違えるな!!」


そう言って、ネロとカルコスはロートの元へ戻る道中、食べれそうな獲物を狩っていきつつ到着した。


「ネ、ネ、ネロ!!誰そのデカい動物!?手懐けたの!?」


「ガッハッハ!!!ワシは動物じゃないぞ!!ワシの名前はカルコ…」


カルコスはそう言って倒れた。

空腹で限界が来ていたようだ。

ロートは急いで獲物を調理し、意識が失いそうなカルコスのためにスープを作って飲ませた。


「ガッハッハ!!ありがとうな!子どもたち!!もう少しで死ぬところだったぞ!!」


「ロート!こいつの名前はカルコスって言うんだ!俺らとおんなじでずーっと先の村に住んでたんだってよ!」


カルコスは意識を取り戻し、話ができる状態まで戻った。

彼の住む村は遠い海を渡った砂漠や荒野がある場所だった。


「お前らの村は白い女に変な魔法で滅ぼされたって!?なんだそれはふざけてるな!!」


カルコスは彼らの話を聞き、共感した。

カルコスの住む村は滅ぼされたなどではない、カルコスは妻子持ちで村での疫病を救うために薬を探しに世界を巡っていた。


「ワシの村ももうあまり長くない!!だからせめて妻と子どもだけでも助けてやるためにワシは薬草を探しに来た!!だが、迷って帰れない!!」


勢いよくそう言ったが、大問題である。

その疫病を探すための医療知識もないし、宛もなく村から出たのだ。

結果的に戻れなくなってなんとか生きていたのだ。


「カルコス!!俺はお前の気持ち分かるぞ!!」


(色々と突っ込みたいけど、今は二人仲良さそうだし黙っておこう…)


ロートはそう思い、その後も3人でこれから向かうカエルレウムの話やお互いの村の話をした。

外も暗くなったため、3人揃って焚き火を消し就寝した。


翌朝になり、3人はまた動く準備をしていた。

そこでカルコスを口を開いた。


「ネロ!ロート!!ワシは…行く宛がない!!だから、お前らの向かうカエルレウムって言う発展した街向かって村を救う方法を探したい!!」


「つまりだ!!ワシを仲間にして連れてってくれ!!」


ネロはカルコスを方を向き、ニィと笑いこう言った。


「なんだよ、もうそういうつもりで俺ははいたぜ!」


ロートも続けてこう言った。


「ボクも賛成!カルコスさんと一緒に行きたい!」


行く宛もないカルコスを放っておくつもりは毛頭なく、ブランコ村の助け合う精神は2人は継いでいた。


「…!!ガッハッハ!!ワシはいっぱい食うぞ!?だが、お前らの為にいっぱい獲物を取ってくる!!よろしく頼む!!」


今まで1人寂しくいたカルコス、2人の温かい言葉に少し涙ぐんだが、強く言葉にしてそう言った。


カルコスを率いり3人になった一向。

カエルレウムまでは残り4500km。

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