氏康が久しぶりに(って言ったら悪いか・汗)主人公してましたね。
かつて伊勢宗瑞が見たという「夢」の真相、サブタイ見た時点でもう自分の中でテンション上がってましたが、そんな事情が……。しかも、道灌公暗殺もそこに関わっていたとは。
そして最後、朝定の亡骸を背負って消えていく善銀さんがただただ切ない……。・゚・(ノД`)・゚・。
作者からの返信
イヤホント、氏康の活躍シーン無くね? というのが作者の悩みでした(笑)
だからあんな、里見との対決という、作者が完全に想像した内容の戦いとか入れちゃうし……^^;
……ま、それはさておき(笑)
伊勢新九郎さんが、何で「両上杉倒せって夢見たお!」と言い出したのか、その理由を想像してみた結果が今回のお話です。
イヤ単に倒したかったから(邪魔だったから)といえばそれまでなんですが、京から下向して来た、幕府名門・伊勢家の人という新九郎さんのプロフから想像したのです。
そんなわけでまさかの征夷大将軍です。
この人、芸術が好きですけど、それを妨害されたら、さすがにキレるんじゃないかなぁ、と思いまして^^;
道灌さんは、そんな銀なんてゲットしてる暇あったら政治をしなさいと思ってたんでしょうけど、忠実に職務を執行しようとしたあげく、暗殺されてしまった……という設定です。
そして銀強奪事件の主犯たちはとっくに死んで、ほぼほぼとばっちりに近いかたちの両上杉当主。
とくに朝定さんは劣勢の扇谷上杉を立て直そうと、手段を問わず頑張ってしました……が。
……善銀さんとの「旅立ち」のシーン、これは平家物語の壇ノ浦のシーンを意識しました。
ああいう儚さとか無常なところがうつくしいと思いまして、ひそみにならってみたのです。
切ない、と言ってもらえて嬉しかったです。
ありがとうございました。
拝読致しました。
まさか伏線がじっちゃんの世代に遡るとは。しかも道灌さんの事件の解明まで踏み込むとは。
事の起こりは銀なき銀閣寺。
ちょっとした歴史ミステリーですね。
そして因果は巡り、父祖の犯した罪で倒される朝定さん。
権威を拠り所にして生きてきた彼が、その権威に断罪される悲劇。
世界から捨てられたような彼に肩を貸し、共に舞台から去って行くじっちゃんがまた印象的でした。
作者からの返信
執筆当初のプロットでは、義政が、応仁の乱マジヤバイから両上杉のどっちか京に来て→両上杉に「誰が行くかバカ」と言われる、という設定でした(笑)
でも書いているうちに、そういえば義政といえば銀閣寺だよな、という思いつきがありまして……^^;
そこから道灌の事件とも結びつく、こういう伏線となりました(笑)
そんなわけで、実は「伊勢の鼠賊」と言われ続けた伊勢家=北条家こそが幕命を背負って戦っている、という「どんでん返し」となりました。
だから「私戦ではない」と氏康は言っていたのです。
そうなると、扇谷上杉としては、もう立つ瀬がない。
山内上杉も、これでは討伐対象となり、古河公方なんて、天下への野望を口にしているから、なおのことでしょう……。
ちなみに最後に難波田さんが主の遺骸と共に去って行くシーンは、平家物語の壇ノ浦のシーンを意識しました。
ああいう儚さが描ければ、と思いまして^^;
ありがとうございました。
こんばんは、御作を読みました。
足利義政さんという、宗の馬鹿殿に匹敵する困った御仁ヱ……。
彼こそが応仁の乱を引き起こし、日本国を戦国時代にたたき落とした弩級の暗君です。
でもって、日本文化の根底、現代まで続くありとあらゆる芸術の根源を作り上げちゃった、超弩級の文化人です。
義政さんの芸術家としての側面からは、銀は無用だったでしょう。
彼は自然と陰陽にこそ美を見出したのですから。
でも、暗君としての側面からは「銀閣って名付けたし、ノリで銀塗りやっちゃうか」をやってもおかしくないんだ(^◇^;)
なんで将軍なのにポンポン陣営変わってるんだ、常識はないのか!
北条氏と上杉氏の因縁が解かれると同時に、作劇の見事さと……この人やっぱアカン将軍だよねって、妙な感慨を覚えてしまいました。
見事な伏線回収で驚きました。面白かったです。
作者からの返信
足利義政とか、徽宗とか、大内義隆とか、わりと好きなんですけどね^^;
時代と言うか状況が状況なときに、何でよりによってこの人なのっていうところが何とも言えませんね(笑)
でもそれぞれ、ああいう状況でないと、あの「美」は生まれなかったろうし……^^;
さて、おっしゃるとおり、義政さんは「銀? 要らね(/・ω・)/」というスタンスだったんでしょう。
で、書くのは割愛しましたけど、奥さんの日野富子さんへの対抗意識で「やっぱシルバーってイイよね!(^_-)-☆」と転向した裏設定です。
義政さん、ホント、何やってもおかしくないというのは、書いていて思いました。
「銀盗り許さねー」と言っても、「らしい」と思えちゃうところが凄い。
さすが、山名と細川を行ったり来たりしたり、畠山義就さんを翻弄(?)しただけのことはあるお方です^^;
この凄い将軍を出すアイデアは、司馬遼太郎先生の「箱根の坂」からヒントを得ました。
やっぱ伊勢氏なら足利将軍家とのコネを使わないと、と思いまして^^;
ありがとうございました。
東山文化の代表たる鹿苑寺銀閣に、そんな隠されたエピソードがあったとは知りませんでした。銀閣とは言うものの、なんで金閣寺みたいに箔塗りしてないのかなと、修学旅行で不思議に思っていました。応仁の乱で、そこまで出来なかったんだろうなぁ、と。
でも、そんな幕命があったなら、越後の謙信と、もうちょっと仲良くできなかったのかな?
作者からの返信
実はこのあたり、私の創作です。
元々、銀箔を貼る予定はなかったという説もあります。
ただ、この足利義政の時代に、伊勢新九郎(北条早雲)がいろいろと動いていたらしいので、二人を出会わせてみようと思ったのです。
で、義政としては銀閣の夢を断たれてしまったので、とにかく銀泥棒の上杉を潰せ、という狂った下命をした、という感じにしました。
越後の謙信は……上杉を主筋と仰ぐ長尾家の流れですから、やっぱり上杉を潰すのはアカン、という感じかもしれません^^;
あるいは、当時の銀泥棒の仲間に長尾家の人がいたりして……というところです。
ありがとうございました。
義政、文化芸術に傾倒した軟弱なキャラかと思いきや、なかなか強烈ですね!
この人が主人公の話も面白そう。
ラストの滅びゆく者の描写が素晴らしく胸打たれます。
作者からの返信
足利義政、最初は出すつもりなかったのですが(こんなことばっかり言ってます^^;)、やはり教科書に出てくる人物は出したいと思い、幕府を牛耳る「困ったちゃん」として登場(笑)
いや、義政、わりと好きなんですけどね。
文化面では確かに凄いと思いますし。
いずれにせよ、この人がこういうこと言えば、もう納得するしかないということで、出して良かったなぁと自己評価している次第です^^;
ラストの滅び……平家物語の壇ノ浦とか、結構好きなもので……ああいう盛者必衰栄枯盛衰という感じをやりたかったのです。空気だけでも。
胸打たれるとおっしゃっていただいて恐縮です。
ありがとうございました。
義政登場で壮大な話に。
ダメ殿っぷりが良く出てていい感じです。
宋の徽宗と一緒でトップじゃなければ文化人としての人生を謳歌できただろうにと思わなくもありません。
伊勢新九郎は素浪人じゃなかったという説を採用して、うまく話がつながりました。
難波田の爺さん……。
立場が違えど若殿は大切だったんだなあ。
作者からの返信
教科書に出てくる人を出しておきたいなぁという野望がありまして……。
私は義政、結構好きなんですけどね。いかんせん、おっしゃるとおり、トップでなければマシな生涯と業績を残したんだろうなぁと思います。
伊勢新九郎が幕臣であるという設定、これが「夢」の正体であるという、この物語の秘奥、ようやくここに披瀝できました。
司馬遼太郎先生の「箱根の坂」を読んで、何となくこんなことじゃないかと思ったことを形にできて、作者的にも嬉しかったエピソードでございます。
難波田さん……モチーフとしては、平家物語ラストの壇ノ浦のあたりの人たちです。ああいう滅びの儚さが、実は好きです。そういうのを自分でもやれたらなぁと思っていたのです。
難波田さん本人は不本意でしょうが、心血注いだ若殿と八万の大軍が、夢が破れたことに、そこに儚さと美しさがあるかと思いまして。
ありがとうございました。
ラストシーンの老人の気迫。
もう、感動するしかない描写ですね。すごかったです。
作者からの返信
平家物語のラストが好きで、ああいう感じのものをやりたいな、と思っていたのです。
そして難波田善銀は、扇谷上杉家の末期を支えた武将で、八万の軍勢を集め得たのは、実際この人の尽力でしょう。しかしその尽力も、北条氏康と綱成という、よりによってこういう逆境に強い武将を、しかも二人も相手取ってしまったための不運。それゆえにこそ、その最期を飾るのは、こういう形が良いかな、と思って書きました(^^;
ありがとうございました。
扇谷上杉家の滅亡や哀れ……。
京や駿河、応仁の乱も登場して、地域的にも歴史的にも重層になりましたね。
山に囲まれた住人からすると、関東の広大な平野は別世界です。
そこで展開された戦いの土ぼこりが彷彿とされます。
作者からの返信
歴史もので、朝読用なので、教科書に載る人を出しときたいなぁと思っていたのです。そういえば室町時代末期の争乱は大体この人のせい(笑)と言われる足利義政に出てもらおうということになりました。そして伊勢新九郎(北条早雲)も、この人のせい(おかげ?)で戦国へ躍り出ることに(笑)
あと、実は川越に行ったことがないので、想像で書いています(^^;
関東にはずっと住んでいますけど、まあこんな感じだろうとグーグルマップ見ながら類推して……そこからリアリティを感じていただいて、文士冥利に尽きます。
ありがとうございました。
義政まで話を広げるとは、スケールが大きくなって良いですね。
一般的に、伊勢宗瑞が時の堀越公方足利茶々丸を討ったのは、明応の政変と連動していると解釈されていると思います。
要するに、明応の政変の結果将軍になった足利義澄にとって茶々丸は、母と弟の仇だったから、伊勢宗瑞に茶々丸を討つように命じた。と。
幕府の命という点を生かして、その発端を義政、対象を両上杉や古河公方まで広げるのは素晴らしいアイデアだったと思います。
感服しました。
作者からの返信
教科書に載っている人を出すと、読む人が増える……そんな風にこの頃は思っていて、足利義政を出しました。
伊勢新九郎の伊豆での活動は、おっしゃるとおり、明応の政変とのリンクを考えるのが妥当だと思います。
でも義政の命令だった、とした方が、物語としては美味しいかな、と思い、こうしました。
そうした方が、北条が両上杉、さらに古河公方に対する討伐にも、正当性みたいなのがあって、面白いとも思ったのです。
動機としては、銀閣の銀というネタがありましたし(最初から銀箔は付けない構想だったという説もありましたが)、これならいけると、当時はひとりで盛り上がってました^^;
ありがとうございました。