第15話 新聞部員は聞いた(見もした)
「いやー最近の学校は飽きないねぇ!」
「さっちゃん、また無理やり取材とかしてないよね」
「大丈夫だよ小山っち!私はしっかり許可をもらって新聞を書いています!部長としてこれは断言できるよ!これは」
「そこに取材のことが入ると安心できるんだけどね」
「あ、あははー………そ、そんなことより、このジメジメな6月になんと転校生が2人も来てくれちゃったんだ!理事長もやるよね。あんな可愛い子、あー後から来た子はクール系だったかな……」
「もう見てきたの?……私もまだ会ってないのに」
「あーそれなら会えると思うよ?バスケの助っ人になんと!響歌ちゃんが来てくれることになりましたー!!」
「ほんと!ウフフ………かわいい子だといいなぁ」
「小山っち、出てる出てる」
「ふぇ!?うーんやっぱこういうのは隠しきれないよぉ」
「それを知るのがこの心優しき学園の情報通で良かったねぇニシシ」
「それで脅して取材してきたときはあなたの性格を疑ったけどね?」
「過去は記憶の奥に置いていくタイプなんです。私」
「はいはい」
ここは高等部4階の3年生の教室。それもここ唐松旧女学園こと唐松学園一の美人と評判の
「あれって小山先輩と……来栖!?」
「ちょっと!聞こえてたらどうすんの!?」
「ヘヘヘ残念ながら聞こえてますよーと、いいネタが二人ミツカッタァ」
「ちょっと怖い顔出てるよ!人をネタと言わないで!」
こんなにはしゃいで誰も迷惑じゃないのかというと、放課後で教室にいるのは現在二人だけである。なのでなおさら、二人が笑顔を交えて会話をする光景を見た後輩は信じられないのだ。一番の憧れと一番いやなやつが会話をしているところが。
「でささっちゃん、響歌ちゃんはどんな子なの?」
「それがね?聞いて驚かないでよ?あ!でもだいじょうぶかなぁ、これ聴いたら小山っち制御が利かなくなりそうなんだけど」
「いいの?さっちゃんの秘密バラしちゃおっかなぁ?」
「実は響歌ちゃん、、、」
辺りに沈黙と緊張が走る。
(いったいどんな子?そんな黙ることなの?)
「実は響歌ちゃんは性格が強めっぽいの」
「行きましょう。今すぐ彼女の部屋に!!」
「待って待って待って!!だから言わない方がいいかなって思ったのに」
来栖の証言によると~
「あの小山っちの顔は、後輩が見てしまったらどんな反応をするのかなと思っちゃいました。その目はもう狼のように鋭くなって、これを新聞に書きたいんですが、なんとも、、、なぜあの情報が彼女の耳に入ったのか今も分からないんですよ!見つけたら校内はおろか全国ネットに生中継で盗撮動画と共にアレやコレやを流して一生……グフフマッテロヨ」
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「ご、ごめんなさいさっちゃん。でもどうしてわかったの?」
それがですね、と自慢げに語る来栖幸。だが内容はもはや犯罪である。
「たまたま、ホントたまたまなんです。理事長室を通りかかったら唐松姉妹の会話が聞こえて、聞こえてしまいまして、つい!聞いてしまいまして、決してわざとじゃなくですね」
「要は部屋の盗聴をしていたと、、、」
図星なのかアハハーと冷や汗を流しながら顔の前で手を合わせて謝るそぶりをする
小山っちこと小山愛華は姉妹の代わりに頭に軽くチョップをして盗聴の内容を聞くのだった。
「あのね?クラスメイトに聞いたイメージではとっても優しい女の子した子なんだけど、理事長室で聞いた彼女の声がね?荒っぽくて、俺っていってたんだよ」
「ぐぬぬ、、、これすなわちギャップ萌えというものですか……」
「そ!そして理事長は妹ちゃんになんて言ったと思う?お姉ちゃんと仲良くしたいのかーって!!あんなきっちりした綺麗な理事長がですぞ」
「これまたギャップ萌え!!姉妹そろってギャップがありどちらも惹かれるとは、いつか二人ともを、、、グヘヘ」
会話の内容はもろアウトだが、仲睦まじい二人はもうちょっとこの会話で盛り上がった。
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