怒涛のエロ展開が僕(Ω)に来ない!!

ゆとり等

第1話 普通で普通で普通なむっつりスケベのオメガはどう出会えばいいのですか?

よくオメガバースの小説やらマンガやら読むと、


オメガはアルファの気を引くために美貌に恵まれていたり、

至極のテクニック持ちのビッチだったり、

逆にピュアピュアな庇護欲かき立て系だったり、


なんなら、アルファと幼馴染みだったり、

バッタリ番と出会ってしまったり、

(そのまま路上エッチしたりホテルなだれ込んだり)、


急にヒートが起きて、

モブレイプからの恋愛とか、

レイプ救出からの恋愛とか、


恋愛とか恋愛とか恋愛とか

エッチとかエッチとかエッチとか


まぁまぁ色々ありますけれど。






いや、普通に考えて



日常生活でそんなこと無いよねって話をしたい

(あったら良いなって思ってる話をしたい)。





ーーーーーーーーーーーーーーーーーー





「おはよ」

「おはー」




朝は爽やかに晴れ、

家が隣の幼馴染みなんぞいないので一人で登校し、

電車に乗っても痴漢に遭わず、

イケメンの不良に絡まれることもなく、

だから美人な危険な香りのする先輩に助けられることもなく、


今日も無事に高校の自分の席にたどり着きました。






…悲しい。






春も過ぎ、夏。

衣替え。半袖。からの露出。


無趣味でヒョロガリの僕の白い肌。


透き通るように白いわけではなく、

ただ別に日焼けしてないだけ。

インドア派(運動しません、できません)。


髪は黒。

背は男性平均ど真ん中。

メガネです。視力0.1ありません。

メガネを外してもイケメンにはなりません。

フツメンですがなにか?


居場所はありますよ、美術部(別名オタク部)。

もちろん、部員は男ばっかです。

女も混ざった仲良しグループですか?

爆ぜたらいいですね。



そもそも、男とか女とかどうでもいいじゃないですか。







だって僕、オメガだし。







アルファの出産率高いっすよ?

お得っすよ?

ヒートでハァハァさせちゃいますよ?

(僕の方がハァハァすると思うけど)






まぁ、僕、人生でベータしか見たこと無いけど。







「佐藤くん、数学のテストの用意、できてますか?」


隣の席から僕に話しかける丁寧な言葉遣い。

優しい声色。


例えば、まず登場するのは、当たり障りないベータの幼馴染み(もちろん♂)だろう。

顔は地味としつつも、結局はちょいイケメン。

一途に僕のことを愛しているが、悲しいかな、彼はベータ。

もちろん、ベータとオメガのカップルも相当に少ないながら無くもないので、幼馴染み君は秘めたる想いを深めているわけで。


「テストテストテスト!勘弁してくれよ!」


バンっと乱暴にプリントを机に放り出す、もう片方のお隣さん。

うむ、良い流れだ。

次は不良系アルファ(♂)が登場。

もちろん貴重なスパダリアルファはモッテモテ。

だがしかし、なぜか俺のことが気になり、テストの出来が悪く居残り。

(まずアルファが成績を落とすことなんか無いという現実は置いておく)

暗くなるまで学校に二人っきりになっているうちに、

(あ、待って、急に幼馴染み退場してるけど、ま、いっか)

僕がヒートモード全開。


即、床ドン。

不良系アルファに押し倒される僕。



体が熱くて熱くて、さすがの僕も目がウルウル。

え、なに?この熱さ?!

この胸の高鳴り!!

ああーん!前も後ろも疼いて…く、る、し、い!

などとハァハァしてると、


不良系アルファ君もハァハァしているっっっっ!


アルファはプライド高い(らしい)から、

「なんでこんなヤツに興奮したんだよ?!」っていう戸惑いを苛立ちに変えて、


「お前、オメガだろ。

ヒートの匂い撒き散らせて、誘ってんのか」


はいはいはい、

オメガに全部責任おっ被せの丸投げーーーーー!!

からの、強引にベッドタイムーーーーー!!

(ベッドというか床ーーーーーーーー!!)


火照りと疼きのせいでモジモジな僕に無理矢理キス!

お互いに電気が走るような快感で、


気づいちゃうだよね。








あ、これ運命の"番"だ…って(フッ





それを目撃した幼馴染み!

(いつの間に帰ってきた?)

夢中キスを貪る二人に戦慄し、

僕を救うという名目で、本番前に割って入って、僕を家まで連れ帰ってしまうんだ。








やめろぉおおおおおおおおおおおおおお!








修羅場じゃねーか!


人間関係より下半身が修羅場だわ!!


せめて僕だけでもイかせてくれ!!!!!








「佐藤くん、大丈夫ですか?」


恐ろしく眉間にシワを寄せている僕を訝る優しい声。


おっと、いけない。



「あ、、ちょっと考え事です。


数学は…まぁ、あの、まぁまぁというトコです」



アハアハと肩を竦めて、かなり控えめな音量で返事をする。



「いや、お前、絶対ヤバイだろ」



またもう片方から乱暴な話し方が聞こえる。


「もぉ!またそんなひどい言い方!ダメですよ!」


乱暴な声vs.優しい声





もしも、これが僕の理想のシチュエーションでの会話なら鼻血が止まらんのだが、











僕の両脇、女性だから。

ベータでストレートで突っ込まれる側だから。










奇遇だね、僕も突っ込まれる側。

めちゃめちゃ突っ込まれたい側。

交わらぬ平行線。

埋まることのない穴と穴。



どこにアルファ落ちてますか。


オメガ、ここにいますよ。




  • Twitterで共有
  • Facebookで共有
  • はてなブックマークでブックマーク

作者を応援しよう!

ハートをクリックで、簡単に応援の気持ちを伝えられます。(ログインが必要です)

応援したユーザー

応援すると応援コメントも書けます

新規登録で充実の読書を

マイページ
読書の状況から作品を自動で分類して簡単に管理できる
小説の未読話数がひと目でわかり前回の続きから読める
フォローしたユーザーの活動を追える
通知
小説の更新や作者の新作の情報を受け取れる
閲覧履歴
以前読んだ小説が一覧で見つけやすい
新規ユーザー登録無料

アカウントをお持ちの方はログイン

カクヨムで可能な読書体験をくわしく知る