第11話:悩み
本当に久しぶりに心から愉快な酒盛りだった。
痛飲と言うに相応しい、夜を徹しての酒盛りだった。
途中からは両隣の男と肩を組んで歌を歌いながら飲み食いした。
時々女冒険者が色目を使ってきたが、思いっきり無視してやった。
俺の片側にはロイドがいて、密着できているのに、気色の悪い女に気を使う必要などない!
「何時もの時間だ、昨日と同じようにやるのか、それともこのまま寝てるのか?」
徹夜で飲んだので、まさに死屍累々といったありさまで、ほとんどの冒険者が酒場の床に倒れている。
ロイドは何とか長椅子に座っているが、というか俺の方に身体を預けているから、本当はこのままでいたのだが、昨日母国の話を聞いた以上、急いで素材と魔晶石を集めなければいけないのだ。
「うっうっうっ、行きたいのはやまやまだが、このままではとても戦えん。
二日酔いでダンジョンに行って死んだなんて、情けなさすぎるからな」
せっかく施しを初めたのに、二日目で中止になどしたくない。
まあ、孤児や浮浪者、ここに来ていない冒険者は来るだろうが、それでは大した利益をギルドに与えることにならない。
昨日ギルド幹部を脅かしたので、利で釣っておきたい。
それに、何より今日の俺はとても気分がいいのだ!
大盤振る舞いしたくてウズウズしているのだ。
「ええい、情けない事を言うんじゃない。
全員に毒消しの魔法をかけて酒を抜いてやる。
徹夜も回復魔法をかけてやるから大丈夫だ。
どうせ昨日のように俺が斃した魔獣を運ぶだけだ、起きてキリキリ働け!」
俺は酒場にいる全員に魔法をかけて狩りに行けるようにしたやった。
なんなら全員に攻撃力強化と防御力強化の魔法をかけてやってもいいのだが、自分の実力と勘違いして、無謀な挑戦をして死なれたら困るので自重した。
二日酔いの苦しみから解放された者の中で、やる気のあるやつから急いで身支度を整えていたが、昨日のぼろ儲けが忘れられないのだろう。
あまり楽を覚えさせてもいけないが、まだ今日はいいだろう。
「おっしゃああああ、メイガのお陰で元気になったぞ!
おい、さっさと行ってメイガのおこぼれ争奪戦だ。
こんな楽できるのは、メイガがここにいる間だけなんだぞ。
このチャンスを逃すんじゃないぞ、お前ら!」
ロイドがグズグズしている連中に気合を入れてくれる。
ロイドは、俺の気持ちをどこまで察してくれているのだろうか?
本当に俺の予想を上回る能力を持っているな、ロイド。
確かに、実家と母国の状態次第では、思い通りの素材と魔晶石を確保できなくても、母国に戻って戦いに身を投じなければいけない。
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