大学生とバイト
「お、いらっしゃーい! 仲直りはできたみたいだね!」
怖い人に絡まれることもなく無事にメナージュにたどり着き、舞先輩が迎えてくれた。 メナージュの玄関先にはレオがおり俺にモフモフさせてくれた。
「先輩! うちの未来とレオを交換しませんか?」
「え、つっくん!?」
このモフモフ感を味わえるなら俺は一生独身でもいい! ってお冗談は置いておいて。
「そうだねえ、いいよ!」
「えええ!? 先輩まで!?」
こうして交渉成立し俺たちはお店の一番奥、いつもの席に座った。
「俺はコーヒーで」
「あ、私紅茶で」
未来は驚いていて固まっているのでおれがオレンジジュースを先輩に頼んだ。
「未来、冗談だって。 ギリギリ未来の方が優先度上だったから」
「つっくん、ギリギリって……」
いつものように他愛もない話をしていると、
「うふふ、いいですねこういうの」
紅葉ちゃんが俺たちのことを見て笑っている。 家にいてもぎこちない笑しかしていなかったので少し心配になっていたのだがどうやら無駄な心配だったようだ。
「二人の日常会話ってなんかコントみたいなんですよね」
「まさに夫婦漫才ってとこだな、紅葉ちゃんうまいこと言うなぁ!」
注文した飲み物をゴリラが運んできた。 なぜゴリラが紅葉ちゃんのことを知っているのか疑問に思った俺はいつでも通報できるようにスマホを取り出しゴリラの方を見る。
「ま、待て! 紗月、なんか勘違いしてないか!?」
「俺の元友人が誘拐犯かもしれないこの状況でなんでスマホを手放さなきゃいけない」
「あ、お兄さん。 こっちに来た時にお兄さんに言われた通りここに来ていたんですよ」
なんだ、そういうことか。 危うく友人を通報してしまうところだったじゃないか。
「雄二さんは迷いながら来た私を明るく迎えてくれてあろうことかお兄さんのマル秘話まで教えてくれたんですよ」
「おいゴリラ」
俺はドスの利いた声で友人を呼ぶ。
「は、はひぃ!」
「どういうことかな? 事細かく説明してくれるとありがたいんだが」
ゴリラは震えあがり固まってしまった。 どうやら逃げられないと思い考えることをやめたようだ。
「こーら、ゆう君をいじめないの」
先輩が俺の前に立ち腰に手を当て頬を膨らませている。 ちなみに座っている俺と同じくらいの目線である。
流石は小動物、頭撫でたくなるな。 まあ撫でたらここにいる全員に殴られるだろうけど。
「先輩に言われたのなら仕方がない。 それでこの紅葉さんなんですがしばらくの間うちに泊まることになりました」
「「えええ!?」」
雄二と舞先輩は息ぴったりに驚いている。
夫婦かよ。 あ、夫婦だった。
「それでお願いと言うかなんというか…… ここでしばらくお手伝いをさせてやってくれないか?」
一日中俺の家にいても仕方がないし、その期間にここで少しでもお金を稼いでおけばこっちでの生活も少しは楽になるだろう。
「うん、いいよ!」
「そんなにすぐOK出していいんですか!? それに私はうどん以外作ったことないし……」
「むしろ俺たちに作り方を教えてほしいくらいだ!」
実は俺も過去にお小遣い稼ぎとしてこの店で働いたことがあるのだがまかないは美味しいし時給もいいので蘭ちゃんか誰かに勧めようと思っていた。
「それじゃあ、早速制服を着てみようか!」
十分後、あまりの可愛さに二人の男子大学生が鼻血を大量に出して気絶していたという。
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