大学生の決心

「やっぱりそういうことだよね!」

「いや、言葉のあやと言うか……」


 俺は未来にプロポーズまがいの発言をしてしまい未来から問い詰められている。 俺は手にトーストを持っているということもあり逃げられずに近寄られるのを体をくねらせて避けるしかない。


 そもそもこんな美味しいエッグトーストを作る未来がいけないんだぞ!


「つっくんが本気なら私はいつだって、いいよ……?」

「変な含みを持たせるなー。 あと前にも言ったけど俺は今現在未来から離れるつもりは微塵もないって」


 未来と離れたくないのは本当だが結婚となると話は別だ。 お金のこともあるし、それよりも今以上にお互いのことに踏み込まなくちゃいけなくなる。


 この同居生活が始まったきっかけは俺の両親だし、家族関係は悪くない。 問題は両親が小さいころに亡くなった未来を引き取った親戚との関係だろう。


 向こうからすれば結婚することで育ての義務から解放されるからいいはずなんだが、事はそううまくいかないらしい。


「それに未来。 お義母さんの許可は貰ったのか?」

「それは……」


 これだ。 俺と未来がこれから先を見据える上での課題となるである。


 未来はおばさんの遺言により親戚の家にあてがわれたがそこではよい対応とは到底言えない扱いを受け、それを見かねた俺の両親が半ば強引に一人暮らしをさせたのである。


 だがおばさんに代わって親権を持つのは未来のお義母さんになる。 要するに成人して一人でも大丈夫と判断されなければ未来のお義母さんは結婚を反対できるわけだ。


「やっぱりきっちりと話をしなきゃな」

「そう、だね……」


 未来は下を向いて悲しそうな表情をする。 俺は未来のその顔を見るたびにあのクソババアの顔を殴りたくなる。


 俺は知っている。 なぜ未来が結婚してほしくないのか。


「これは未来にとっても辛いことだろうが、俺がついてる。 安心してあのクソババアを潰しに行こう」

「つっくん…… うん! 私とつっくんは絶対結婚するんだから!」


 俺と未来はご飯の途中だったことに気が付き席に戻る。


 今ここで俺のやることは決まった。 絶対にクソババアを未来の見人から外させてやる。


 *


 朝食を取り終え、未来は買い物に出かけてしまった。 俺はその間に今の状況をまとめるため、ノートに知っていることを全部書いた。


 書いたものを見て、俺は吐き気を催した。 クソババアがいかにクソかを改めて実感したのだ。


 彼女は未来の両親からの遺言で何の問題もなく親権を握ると、自分の子供だけを可愛がり当時幼稚園生だった未来を一人で放っておくような人だ。 それに大きくなるにつれ補助費が増えていくと、扶養してやっているのだからとその一部をネコババしているのだ。


 未来はそのことに関して「育ててもらっているのだから」と言ってよしとしているが、中学生に一人暮らしをさせておいて一か月に一度、生きるための最低限の額しか渡さないなど目に余るばかりだ。


 俺はそのすべてをノートに書きだし決心する。


「絶対にあのクソババアを叩き潰す」

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