幼馴染に押し倒されて同居を続けていたら大学生になってました。
月猫
~~プロローグ~~
大学生の日常
「……だった。 これで良し! あとはこれをコピー&ペーストしてっと」
俺、
「つっくーん、また徹夜で原稿書いてたでしょ! 今日も大学の授業があるっていうのにそんなんでちゃんと単位取れるの?」
「んー、今のところやばいかも?」
「やっぱりねー。 また
黒髪ボブの髪を揺らしながら勢いよく扉を開けてきたのは
彼女を一言で説明すると、
「そういう未来こそ大丈夫なのか? レポートの期限は確か明日だったろ?」
「え、ええええええ! そうなの!? てっきり来週だと思ってたよ!」
未来はそう言いながら慌ててスマホから日程を確認する。 今日は七月十四日、そしてレポートの期限は明日の七月十五日だ。
未来は夏休みに入ってまで講義を受けに行く予定みたいだ。 今日もドが付く天然は絶好調みたいだな。
「とりあえず今から準備するから未来はレポートの構想でも練って待っといてくれ」
「うう、わかりましたよぅ」
うなだれる未来を横目に見ながら俺は洗面所に入り寝癖を直す。
「しかし高校と違いすぎて時間感覚が狂うなあ……」
俺は伸びた前髪をいじりながら顔色の悪い鏡に映る顔を見る。
高校の頃から続けてきた執筆活動のおかげで徹夜や夜更かしには慣れたが高校と違い毎日毎日の日程が違うため体力の調整が効かず今はグロッキーになっている。 だが授業中寝てばかりの俺は出席数がギリギリで休むと単位を落とす可能性があるため授業には参加しなくてはいけない。
「つっくん! もう出ないと電車間に合わないよ!」
またも勢いよく扉を開けて未来が入ってきた。
俺は時計を見る。 時間は家を出る時刻から十分ほど過ぎていた。
「え!? もうそんな時間か、急ぐぞ未来!」
「まったくー。 私がいないとダメ人間まっしぐらじゃん」
ごもっともだな。 高校時代から同居はしているが未来がいなかったら高校すら遅刻過多で卒業できなかったかもしれない。
そんなことを考えながら俺と未来は家を飛び出し(鍵はちゃんと閉めて)駅に向かって走り出した。
*
家の近くにあるおしゃれなカフェ。 店内は静まりかえりカップを置く音だけが響いていた。
そんなカフェの一番端の席に俺と未来ともう一人、コーヒーを飲みながらジト目をした女性が座っている。
「それで私にレポートの参考を聞きに来たの?」
「お願いします
「その年で人生懸けないでよ…… まあいいわ、その代わりカフェ代よろしく」
この神様は
まあその元幼馴染に俺と未来はレポートの要点を教えてもらいに来た、と言うわけだ。
「教えるのは構わないけどテーマは自分で考えるのよ?」
「「あいあいさー!」」
俺と未来は元気よく返事をしてパソコンを立ち上げる。 杏樹はメモ用紙にすらすらと要点を書いていきテーブルに置いて、またコーヒーを飲み始める。
相も変わらず仕事が早いな……
しばらくの間集中してレポートを書き上げていると杏樹がコーヒーを飲み終わりカップをテーブルに置いた。 それに気づいた俺は店員さんを呼ぼうとする、が見覚えのあるゴリラが近づいてきた。
「はいよ。 コーヒーおかわりだろ?」
「あらどうも。 あなたもやっと空気くらいは読めるようになったのね」
「ひどい言いようだなおい! まあ俺も成長したってことよ」
このゴリラは
「久しぶりだな紗月、三日ぶりか?」
「今忙しい」
「いやー、まさか先輩のお父さんの店で働かせてもらえるとはなー。 俺もいい彼女を持ったもんだな!」
そうだ。 ここは雄二の彼女である
いつもは静かでとても雰囲気のいい店なのだがなんでこんなゴリラを雇ってしまったのだろう……
「今日は先輩いないのか?」
「先輩は今日、大学の論文発表会でいないぞ。 よかったなこんな恥ずかしい姿を見せずに済んで」
「めちゃくちゃ殴りたいが今は置いておくよ。 久しぶりにみんな集まったから先輩も一緒に話くらいはしたかったんだがな」
先輩も三日ぶりになるのだが杏樹や未来が揃うのは高校卒業して以来だ。 最悪今日はレポートも書かなくちゃいけないし俺と未来だけでも待つことにしようかな。
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