クリエイティブスクール

リュウタロウ

第1話

湘南北風高校は、中堅高校であり、部活も県大会に出るほどそれほどすごい実績もなく、進学率も極めて高いわけでもない。最近では、湘南北風高校の生徒に対して、地域から苦情も多数寄せられ悪名高い高校にもなっていた。しかも朝の活気がそれほど感じられない。予冷が鳴り、湘南北風高校の生徒たちが一斉に教室へと駆け出していった。校門の前に立っている背の高い先生の声が生徒たちに向けられて伝わっていった。

 「早く走れ、遅刻するぞ」

 「分かりましたよ、行きますよ」

  校門の前にいる先生に言われながら、生徒は走っていった。

 「では朝のホームルームを始めます、今日は大事な話があります」

  ホームルーム担任である片平が話をするように促すと生徒たちは先生の方を向いた。

 「え、まさかあれかな」

 「あれだろ、たしか」

  担任の片平から話をすると促されると、生徒たちはざわめいた。

 「静かにしましょう、ホームルーム始められませんよ」

  その反応に対して、担任の片平が生徒たちを静かにさせるように注意した。

担任の片平が注意している間に、教室の後ろの席に座っている女子生徒が退屈そうな感じで、席に座っていた。彼女の名は朝倉かな、生徒会副会長の二年生だ。

  彼女にとって朝のホームルームは退屈でしかない、つまり生徒会活動以外は彼女にとってそんなに重要度が高くないからだ。

 「はいでは、気を取り直して、話しますね、実は、湘南北風高校のある生徒が犯罪行為を犯してしまいました」

 「えっ、やばくないそれ」

  はじめて聞く生徒はかなり驚いた。しかもこの日に限ってかなもかなり真剣に聞いていた。

  (えっ、やばいでしょそれ、この学校ただでさえ悪名高くて有名なのにこんなん起こされたらさらに悪名高くなる、もうこの学校のこともう少し調べておけばよかった、   家から近くて、さらに生徒会活動が盛んと思って入ったのに)

 「こういうことがあり、皆さんにも同じようなことがあるとは限りませんが、日々の学校生活で気を付けていくようにしましょう。」

  担任の片平がホームルームでその話を終えて生徒たちも納得して次の授業の準備をした。

   かなは授業の準備をしながら考えていた。

  (いや、それにしてもさすがにこれだとまずい、今日の生徒会の会議での何かの案をださないといけない)

   かなは何としてでも案をだすことにしようと決めていた。

    


   放課後になり、かなは生徒会室へと向かった。

  「お疲れ様です」

  「おお、朝倉お疲れ、いつもより遅いな」

   挨拶をしたのは、同じ生徒会かなと同じ学年の書記担当の田辺優斗だ。

  「かな先輩お疲れ様です」

  「お疲れ」

   もう一人挨拶をしたのは会計担当の1年生の浅見りなだ。

  「てか会長遅くない?」かなが田辺に聞いた。

  「さっき先生と一緒にいたのをみかけた、でもすぐ戻るだろ」

   田辺がかなに返答をした。

  「あと、かんな先輩も来ませんね」

  「だよね、これからじゃないかな」

生徒会室にまだ来ないかんなを心配しているりなにかなが答えた。

  「遅れてごめん、他の企画と進路のことで相談してた」

   遅れて入って来たのは、会長の小林あすかだ。

  「そうだったんですか」

   田辺が納得して頷いた。

   そのあとに続いて、かなが切り出した。

  「今日って会議で案を出すんでしたよね?」

  「ああ、そうね、まあ企画案があればだけども、みんなある?」

   会長のあすかがみんなに尋ねた、少しばかり沈黙する空気。

   その間にまたもや誰かが入ってきた。

「皆さんすみません、遅れましたダンス部の部長業務してました」

 あとから入って来たのは、田辺とかなと同じ学年の生徒会副会長の和田かんなだ。

「おお、お疲れ、てか和田ダンス部の部長なのか」

「そうだよ、こう見えても部活でも役職ついているよ」

「なるほどな、なんか見た目が派手だし、スカートも短いからそう見えなかった」

「田辺にはそんなこと言われたくないわ」

かんなが田辺にそう言った。

「何も考えてねよ」

「こらこら二人とも」

あすかが二人の仲裁に入った。

「かんなちゃんね、実は今企画案をみんなに聞いてるところだったのよ、かんなちゃん何かあれば、案を出してほしくて」

 会長がかんなに聞いている間にかなは、頭の中でどんな案を出すかを考えていた、朝から考えているのだが、まとまってはいない。

(うーん朝からこのことを授業中も考えているけど、全然まとまらない)

「あすかさん、そしたら地域交流会なんてどうですか?」

「うーんただでさえ、地域から信頼もされてないのに、ちょっとね、しかもあの件も」

 あすかはちょっと困った顔をしていた。

「そしたら部活体験会をもう少し押してくのはどうですか?」

 かんながもう一つあと押しで企画を出した。

「それも地域絡んでくるようなものだから微妙かな」

「ですよね」

 かんなが自分の企画がなかなか通らないのでちょっと萎えていた。

(あっいいこと思いついた。この案どうだろう)

 かなはいい案をひらめいた。

「朝倉何かお前ないのかよ?」

 田辺がかなに企画が何かないかどうかを尋ねた。

「あの、朝からずっと考えていて、この学校って部活も、進学実績も、それほど優れてるとかでもないし、ただの中堅学校だよね?しかも地域から嫌われてて悪名高い、あとうちの生徒が犯罪犯してまた評判悪くなってしまったしさ、それで思ったんだけど、地域との交流をもっと増やすというより学校を変革していくのはどうかな?」

「それって例えば、どんな?」

あすかがかなに尋ねた。

「まだ、具体的なことは決まってませんが、今までにないような感じで学校変えていけたらなと」

「なるほどね」

 あすかがかなの企画に少し興味を持った。

「はい、学校を変えていくことが良いかなと思って、学校変革プロジェクトという名称の企画ですね」

「学校変革プロジェクト?」

 全員が調子をそろえて言った。

「かなり大きい案だし、こんな学校を変えていくことを俺たちの人数で大丈夫なの?」

 田辺がかなに心配しながら聞いていた。

「まあ、言うても初の試みだし大きなものだからできるかというのは、まだ分からないけど、これからの内容次第かなと思う」

「でも、それ面白そうじゃない?」

「確かに、面白いかもです、あとかなり大きな案になりそうですね」

 かんなとあすかが興味を持っていった。

「かなさんがまさかそんなことを考えていたとは私が驚きました」

 りながきらきらした目でかなに言っていた。

 するとかなが、全員に向かって話し始めた。

「私さ、この企画についてかなり前というか、以前から考えてて

 ただでさえ、学校のイメージ悪いからそれを払拭していきたいなという想いもあるんです。なので、学校変革プロジェクトを企画しようと思いました。」

「なるほど、そういう想いがあったのね、分かったわ

 そしたらみんなこの案について何か異議とかはある?」

会長のあすかがメンバー全員に尋ねた。

「ありだと思います」

 かんながはじめに同意した。

「それでいきましょう」

 次にりなが同意した。

「面白そうです」

 そのあとに田辺が同意した。

「じゃあ、決まりね」

 全員が学校変革プロジェクトに賛成し、かなは少し笑みを浮かべ、また少し自信なさげの感じの雰囲気でもあった。

「かな、何でそんなに少し暗い表情してるんだ?」

「そうですよ、かな先輩」

「いや、別にそうじゃないよ、でもこれからどうなるんだろうみたいな感じでさ

不安もあるんだよね」

「まあ、そこは私たち生徒会が頑張るしかないでしょ」

「はい、そうですね」

あすかは、かなに励ましな言葉を言った。

「そしたらみんな、次回この企画の具体的な内容を決めるから、少し案を考えてきて」

「はい、分かりました」

 全員が同意して生徒会会議を終えた。

 かなは、会議を終えると同時に、学校を後にした。

 田辺がかなに声をかけた。

「おい、かな、今からみんなでご飯行くけど行かない?」

するとかなが答えた。

「ごめん、今からバイトある急がないといけない」

「まじか分かったよ」

 田辺が残念そうな顔をしていた。

 他の生徒会メンバーも田辺を追いかけてきて歩いてきた。

「あれ、田辺?かなは帰ったの?」

かんなが尋ねた。

「ああうん、なんかバイトらしくて」

「かなちゃんバイトなんだね、残念」

 あすかは残念そうにしていた。

「バイトやりながら生徒会頑張ってるよね」

「頑張ってますね」

りながあすかに共感していた。

「かなちゃんが出してくれた学校変革プロジェクト実現できるといいよね」

「はい、みんなで頑張りましょう」

 りながうきうきして頑張ろうという気持ちをぶつけた。







その頃、かなは今日の学校変革プロジェクトをアルバイトの最中でも考えていた。

(これからあの企画どうしようか、悩むなうーんやりたいこと意外とあるんだよな、あっお客さんだ)

「こんばんは、店内でお召し上がりですか?」

「持ち帰りで、チキンバーガーセットと1つとお願いします」

「かしこまりました、お時間5分ほどいただきますがよろしいでしょうか?」

「はい、大丈夫です」

「890円です、チキンバーガープリーズ、右手の端でお待ちください」

「お次の方どうぞ」

「はい、あの何がおすすめですか?」

「このタコライスセットが期間限定ですね、温かいドリンクが無料でついてきます、いかがでしょうか?」

「おお、いいわねこれ、じゃあこれにしようかしら、お姉さんサービストークうまいわね」

「ありがとうございます(やった、褒められた)

そして20時になったのでかなのシフトが終わった。

 「では、お先に失礼します」

 「あっ、かなちょっといいかな?」

 「何でしょうか?」

 「来週シフト三時間だけ入れない?」

 「なるほど、来週ですか大丈夫ですよ」

  かなは少しだけ驚いていた。

 「ありがとう、じゃあよろしくお疲れ様」

 「お疲れさまです」

  店長から挨拶され、アルバイト先であるセカンドデイを後にした。

  



かなは、そのあと行きつけのカフェであるカフェブラウンに向かった。

「じゃあ、いつもので」

「はい、250円です、アイスティーお願いします」

「ありがとうございます」

席に着いてからかなは学校変革プロジェクトについて考えていた。

(うーん、なんかよいアイデイアないかな、悩む、あっ私音楽とかライブみたいな感じ好きかも、ということは楽しく?していくとか、フラッシュモブ?パレード?)

かなはアイデイアをたくさん出していった。

(文化祭みたいにならないかな?不安、あっでも少しでも楽しくしないといけないしな

部活を活かすみたいな感じ?とか、こんなアイディアでいいのかな)

 かなは、学校変革プロジェクトについて考えることが楽しかった。なぜなら、こんな大きい企画をするのは、はじめてであったからだ。




次の日、この日も生徒会のミーティングが行われていた。

「かなちゃん、そしたら企画の中のアイディア教えてくれる?」

  あすかがかなに企画のアイデイアを聞いた。

「はい、分かりました、少々お待ちを」

「あっそういえば、アィディア共有するんだったな」

「私もそのこと忘れてた」

  田辺とかんなの2人はアイデイアの共有をすること自体を忘れていた。

「一応、少し考えてきました」

「りなちゃん偉い」

  あすかがりなを褒めた。

「先輩、これです」

「ありがとう」

「あと、私のも渡しますね」

  りなとかな2人が企画書をあすかに渡した。

「浅見ちゃんは地域の大会などイベント系を増やすことか」

「かなちゃんのは」


次の日、全校集会が行われた。相変わらず全生徒はざわざわしていた。

「皆さん、静かにしてください、これから生徒会からお話があります」

「おい、そこうるさいぞ」

  女性教員が全生徒に静かにするように促した後に、生徒指導担当の教諭が改めて注意した。

そしてかなが話し始めた。

「皆さん、こんにちは生徒会副会長の朝倉かなです」

「今回、学校変革プロジェクトということで、そのプロジェクトについての提案についてお話があります。」

「学校変革プロジェクト?」

  ある生徒が疑問に思い、とっさに口にした。

かなが立て続けに話をしていった。

「このプロジェクトを遂行しようと思ったのには理由が2つあります。まず1つ目は、先日この学校のある生徒が犯罪を犯し、新聞に載るくらい有名になったたことで、さらに湘南北風高校が悪名高くなってしまったこと、2つ目は湘南北風高校に何か一つ特性をつくることで学校に変化をもたらされればよいと思ったこと」


全校生徒は、一瞬凍り付いたようにあっけらかんとしてかなの話を聞いていた。 


「これだけの理由で学校変革プロジェクトを進めていくのは、果たしてどうなのか?ということを疑問視されるとも考えました。けれども、やはりこの学校は変わらないといけないとも感じ、このプロジェクトを進めることにしました、学校全体を変えていくならば、生徒会ではなく、校長先生がやればいいだろうとも思いますよね?それでも、まずは生徒自身が変わり、そのあと全体的にコントロールしていき、校長先生が舵をとっていけばよいと思います、このプロジェクトは校長先生には了承済みです。生徒一人一人がまずは行動して変わることが一番だともおっしゃっておられました。さて、具体的にプロジェクトの内容について話していきたいと思います」

 

かなは熱意を持ってプロジェクトの内容について話し始めた。

 生徒会メンバーもこの内容についてはじめは、戸惑いがあったもののかなの熱意に負けてしまったというのもある。

 先日の生徒会ミーティングでのことだった。

「浅見ちゃんのは地域の大会のイベントなどを増やすか」

「かなちゃんのは、一貫して学校を変革していくことで、部活の特性を活かすことか」

 会長のあすかがかなに質問した。

「部活の特性を活かしていくことですね、そして、楽しくですね、もちろんただ楽しくしていくわけではありません、周りを巻き込みながらですね、イメージはイベントのような感じですね、デイズニーランドのようなテーマパークみたいな感じです」

「うーんそれだと文化祭みたいにならないかな?」

会長のあすかが心配したような顔つきで質問をした。

「何ていうか、普段の部活やあとは少々文化祭的な要素を取り入れていく感じですね」

「なるほど」

「フラッシュモブみたいなのもやりたいですし、部活の特性活かすとかもいいかなと思って、朝から夕方ないしは夜などにやっていく感じです」

「なんか面白くなってきたな」

田辺がかなにそう言った。

「でしょ」

「私もそれはやってみたいな、その他にはどんなこと考えているの?」

かんなが質問をした。

「吹奏楽の音楽隊の行進だったりだね、サッカー部の試合中継もあったらいいなと、野球 部、それぞれの部活の発表とかいろいろ、こればかしは部活に交渉していくしかないけど」


「なんかすごいですね、かな先輩」

「やってみる?というか提案してみる?」

会長のあすかがかなを後押しした。

「あっこれで大丈夫ですか?」

「校長先生に一応話しておく?」


「なかなか面白いアィディアね」

 校長がいきなり生徒会の前に現れて賞賛した。

「校長先生、どこから聞いていたんですか?」

「はじめからよ」

「まじすか、どうですか?」

 田辺が校長先生に尋ねた。

「なかなかいいんじゃない?」

「ありがとうございます」




そして全校集会の日を迎えた。今日まで熱意を持って内容を考えた。ここでひるむわけにはいかないとも思った。

「学校変革プロジェクトの内容は、楽しい雰囲気の学校にしていくことですね。ディズニーのようなテーマパークをイメージしたものが理想です」

「デイズニー?」

「まじかよ、大丈夫なのか?」

生徒がざわめきだした。

「これ大丈夫なんですかね?生徒会の企画」

「まあ様子見でしょう」

何人かの教師が少し首をかしげるほど、あまりよくは思ってない感じでもあった。


しかしながら、かなはそんな様子は分からなかったが、ただひたすら学校変革プロジェクトの内容について話し続けた。

「学校変革プロジェクトということだといきなり大きいことをするわけではありません、まずは身近なできることからしていこうと思っています。皆さんが楽しいと思えるものにしていきます、私がまずやろうとしているのは、ここの部活動全ての特性を活かしていくものです、例えば吹奏楽であるならば、フラッシュモブのように演奏をできたら面白いかなとも思っています」


それを聞いていた吹奏楽部の顧問は驚いた顔つきで、しかもびっくりしていた。


「えっちょっと待ってよ、そんなことしてたら、演奏会や大会などに影響でるし、何考えてんのよ、生徒会は」


他の生徒も少し驚いたけれども、興味を持っている生徒もいた。


「なんか楽しそう、ディズニーみたいで」

「分かる、ここの学校の一つの特徴になりそうでむしろ楽しみかも」


「先ほど提案した部活については、募集形式を取り、人数が集まらなかったら

こちらから営業をかけるかもしれません」

かなは、自分の想いを伝えるとともに、話を終えることにした。

「では、生徒会からの話は以上です」

話が終えてから生徒会に対してのざわめきはおさまらなかった。

「まじか、本当に変えていくのかよ」

「少し楽しみだけど、なんか大変そうなものだなとも思うけど」

 何人かの生徒が口々に言っていた。

「はい、静かにしてください」

 あすかが全員に対して伝えた。

「ではこれで全校集会を終わります、一年生から順に行ってください」

他の教師がアナウンスをした。



全学年が退場した後、生徒会メンバーが残って話をしていた。

「さて、かなちゃんはとりあえずお疲れ様でした、全員に想いを伝えられたかな?」

「はいなんとか伝えられました」

「なら良かった、それにしてもまあ今回のプロジェクトはかなり大きなものだからね、

 全員の協力は必要ということね」

 あすかがかなに声をかけた。

「はあ、私もこれからいろいろ考えることはあるかもしれませんけど、楽しみです」

りなが不安を抱えていながらも少し意欲を見せていた。

「頑張ろうよ」

 かんなも同じように意欲を見せた。

「生徒会だし、まあやるしかないだろ」

田辺が生徒会メンバーに対して活をいれた。



「よし、頑張ろう今日から動きましょう」

かなは熱意を持ち、動き出すことに決めた。。



 放課後、生徒会メンバーは、生徒会室に集まった。

「さて、どうしましょうか」

かなは、悩みながらもどうするかを提案した。

「私はまず、部活動の人にアポを取っていきたいなと思う。」

かなは、その後すぐにはじめにやっていきたいことを述べた。

「なるほどね、まあ他にやっていくべきことがあることがあるかをまずは書いてみるのはどう?」

 あすかがアドバイスを送った。

「分かりました」

「ここからいろいろ動くんだよな?」

「そうだよ、さぼるなよ」

 かなが田辺に質問をされたので、かながしぶしぶ答えた。


「かな先輩、部活たくさんありますが、どの部活にはじめ協力してもらうのですか?」

「えーとね、まずは、あっそういえば部活動協力してもらうのは明日からだったね、明日から一週間様子見で、どの部活が先に応募して書いてくるか次第かな」

 りながかなに質問をして、かなが丁寧に答えた。

「そうなんですね、短期間での募集だから、たくさん集まるか不安ですよね」

「だね」


「かな、私さダンス部、あと少しで行くんだけど、先にダンス部に話つけとくわ」

「あっなんかごめんね、行って大丈夫だよ、えっかんなありがとう」

「全然大丈夫だよ、他の大会の練習も必要なんだけど、この学校変革プロジェクトも視野に入れてこれから活動していくように話すよ」

「なるほど、それはありがたいよ」

「じゃあ、私ダンス部行ってくるね」

「おお、行ってらっしゃい」

「かな、俺も部活の友達に話つけてみるよ」

「ありがとう」

 生徒会メンバーは徐々に動きだしていった。


かなは、このプロジェクトを成功させたいと本当に感じていて、学校を変えたいという気持ちも強まってもいた。

会長のあすかが、かなに話しかけた。

「かなちゃん、この後さ移動して打ち合わせしない?」

「あっいいですよ」

「りなちゃんも一緒に打ち合わせする?」

「はい、いいですよ、場所はどこですか?」

「軽くご飯食べる感じでもいいし、カラオケとか?

 あえて歌わずにという感じで」

「行きましょう」

 3人は、カラオケ店に移動するために、学校を後にした。

「かな先輩のこの学校変革プロジェクトの企画、私、少しわくわくしてるんですよ」

「えっそうなの?」

「はい、何ていうか、何か新しいことをするのってかっこいいじゃないですか、こういうこと一度はやってみたかったというか」

「なるほど、そう言ってくれるとなんかモチベーション上がってきたよ」

「かなちゃん、私もこういう発想なかったからね、かなちゃんみたいな子がこれから生徒会や学校をリードしていく存在になるのかもね」

「えっあすか先輩、急ですね、なんか真面目な話」

3人は学校変革プロジェクトの話をし始めて、あすかが急に真面目な話をしたので、りなとかなは少し驚いた顔つきで一瞬沈黙した。

「なんだろうな、その組織づくりに必要なことって、ただやりたいこととをみんなに指示してやらせるとかではないような気がしてね、ようするに一緒に協力してやっていこうみたいなものが必要なのかもね」

あすかが真面目な話をするとりなとかなは真剣に話を聞いていた。

「先輩は昔、なんかあったんですか?」

「えっと、うーんなんかあったようなでもたいしたことではないから大丈夫だよ」

あすかは落ち着いた顔つきでかなに言った。

「そうですか、ならいいですが」

 かなは少しだけあすかを心配していた。

「あっここですかね?」

 りながあすかとかなに聞いた。

「うん、ここだね」

「私ここの会員なのよね」

「あっ私もです」

「かなちゃん会員になる?」

「あっじゃあなります」

3人はカラオケの受付を済ませ部屋に向かった。

「おお4号室だね」

「おお部屋やっぱりきれいですね」

「そうだね」

かなとりなはカラオケの部屋に驚愕した。

「さて、打ち合わせしますか?」

かなが提案した。

「まずは一曲だけ歌わせてよ」

あすかがかなに懇願した。

「二時間しかないんですよ、まったくさっき歌わないと言ったじゃないですか」

かなが少しあきれた感じであすかに言った。

「まあ、少しだけだからさ」

「分かりましたよ」

あすかが入れた曲は『恋ダンス』だった。

「うわっ始まった」

「営みの~」

あすかは踊りながら歌った。


そして曲が終わってあすかは満足した。

「先輩、上手でした。」

りながあすかを褒めた。

「ありがとう」

「良かったですよ」

「かなちゃんもありがとう」

「じゃあやりますか打ち合わせ」

「なんか私も歌いたくなってきました」

「よし、じゃありなちゃんの曲聞こう」

あすかが提案した。

「とりあえず打ち合わせやらせて」

かなは2人にそう言ったが、かなりテンション上がってる2人の姿見ていて、穏やかな気持ちにもなりえた。




次の日、職員会議では、学校変革プロジェクトのことが議題に上がっていた。


「では、朝のミーティングを始めます。おはようございます」

 「おはようございます」

  教師一同は、司会者である教頭の国木田に挨拶をした。

 「では、生徒会の進めている学校変革プロジェクトについてですが、これについて意見がある方はいますか?」

  何人かが手を挙げた。

 「はい、では大森先生」

「そもそも、このプロジェクトって少し文化祭ちっくになったりしませんかね?

何ていうか学校を変革するのに楽しさというのが少し私はひっかかりますがね」


彼女が現在、かなたちの学年を担当している、国語の教師であり、また生徒指導を担当ししている。

生徒の間では、あまり好かれてはいない。

 「意見ありがとうございます、その他に意見はありますか? はいでは鹿島先生」

 「楽しく学校を変えるということで、こういうのを普段の学校生活に果たしてやっていいのか?というのがひっかかります、そもそも学校という場所をもう少し考えさせていかないといけないんじゃないですか?」

  彼は、三年の担任をしている、数学の担当教師であり、東京大学を卒業し、そのまま大学の大学院まで進んだけれども、研究職で大学のポストを狙うよりも教師になって行くほうが良いと考え、そのまま現役で教員になった。やたら堅苦しく、ルールや校則が大切だと常に思っている。

 「あの私も意見があります」

 「どうぞ、板倉先生」

 「はい、ありがとうございます」

  他の新人女性教師が手を挙げた。

「あの、私は朝倉さんたちが進めている楽しく学校を変えていく、学校変革プロジェクトは面白そうだなと思っています」

「ちょっと板倉先生何を言ってるんですか」

「確かに学校という場所に対して、少しテーマパークぽい感じの雰囲気にしていくのは、ふさわしくはないと思う人はいるかもしれません、でも彼女たちがやろうとしてることは学校を少しでも変えたい、多くの方がこの高校に興味を持ってらえるように努力しています、私は学校という場所は変わっていくことであり、また堅苦しいルール、雰囲気を壊していくべきだと考えます」

「朝倉先生、今自分が何を言っているかわかりますか?」

他の先輩教師が板倉に発言した。

「はい、私は自分の意見を述べたまでです」

「はい、私も賛成です」

  校長は電話対応業務が終わり、コーヒーを持ちながら職員室に入ってきた。

教師一同が一斉に振り返った。

「校長先生?この生徒会プロジェクトに賛成ですか?」

  頭の固い先輩教師が校長に質問した。

「そうですけど、何か問題でもありますか?」

「その何ていうか」

  校長が質問した後に、その教師が不満そうに何か言いたそうな感じではあった。

  そこで、校長が意見をぶつけた。

「そもそも教師って何ですか?学校って何ですか?皆さんが考える学校運営とは何ですか?今までそのレールをたどりそれをやり遂げていくことだけが正しいのですか?」

   教師一同は沈黙した。

 「今回の生徒会の楽しく変えて行く学校変革プロジェクトは、今まで皆さんが携わってきた行事と少し異なるものでありますが、変化せずにこのままの学校でいいのです

か?ただ新しいことを拒み学校はこうあるべきだという感じにしか私には聞こえな  いですが、教員という職業で、しかも校長がこんなこというのはいいのか?と疑問を持たれる方もいるでしょうが、少なくとも今の学校では来年の生徒数の獲得も難しいとも感じます、少なくともこのプロジェクトに反対している方は少しでも受け入れる覚悟が必要です、以上です。」


校長が、学校変革プロジェクトについての意見を言うと、教師一同は全員何も言わずに、

ただそれについて沈黙するだけであった。職員室の雰囲気は音沙汰もない、気まずい雰囲気にもなっていた。校長の名は、早川結衣、彼女は女性初若干36歳にして校長になった。民間人校長からの公募でこの年齢で校長になるのは珍しく思われる。いつも普通の教員に間違われることが多い。彼女がここまでのキャリアを築けたのには理由がある。早川は高卒認定試験を受けて高校卒業資格を得ている、その後の進路は、商品販売のアルバイトをしてフリーター生活を約2年間続けて、アルバイトから正社員になり、店長には2か月で昇進し、そこからさらに頑張りエリアマネージャー、その上のブロックマネージャーになるというスピード出世を果たした、当時はまだ28歳であった。彼女自身もこんなにすぐに役職に就くとも思っていなかったらしく驚愕していたほどだった。さらに運がいいことに、取締役昇格の話もでて、推薦されるほどであったが、お断りをした。それは彼女が他にやりたいことがあったからでもあった。海外の大学に行き、卒業して日本に戻ってこようと思った。そして学位を取得して、たまたま民間人校長の募集要項を見て、そして校長になったのだ。そこからは批判もありながらもこうして今に至る。早川は決して固定観念を持たずに、いろんな意見を聞き、吸収し軸を立てる人間である。かなたちがやろうとしているプロジェクトにはかなり期待もしている中で、こういう批判があるのも想定内でもあった。それは当時の自分がそうであったように、新たなことをやるというのはリスクもあるというのを言われてきているのでそれも大切にしていた。


不穏な空気の中、チャイムが鳴り、職員会議が終了した。同時に、他の教員たちはホームルーム教室へと走った。


校長の早川も先ほどのことで多少イライラしたものの、この学校を変えていくために彼女も必死であった。それは校長としての責任もあるが、これからの学校はいろんな形で変えていかないといけないとも感じていた。彼女は窓を開けて肘をついて、空をただ 眺めていた。


ホームルーム教室にて、かなは参加部活動の募集を確認していた。


「全然参加していない、やばいかも、これは」

すると田辺がかなを驚かせようとしたが、かなが少し落胆していたので、驚かせるのはやめた。

「どうした?なんかあったか?」

「いや、何ていうかその部活の募集があまり集まってなくてやばいかもと思ってね」

 かなが田辺に質問をされたので答えた。

「なるほどな、まあでもさ明日までだし、ギリギリで書くかもよ」

「だといいけどさ、なんか不安でさ、まずはこれをやらないと成功に近づけないしさ」

「確かにな、気持ちは分かるけども大丈夫だろ」

 田辺がかなのことを心配し、また田辺自身も少し不安ではあったが、大丈夫という言葉をかけ、自分自身でも言い聞かせた。

「かな、ねえねえ、今大丈夫?」

 同じ生徒会のかんながかなの教室の前にいて、かなに声をかけた。

「何?かんな」

「あのさ、今日ダンス部に話してみようと思ってて私からさ」

「え、まじありがとう」

「うん、私部長だしさ、まあ顧問にも相談するけど」

「だよね、かんな本当ありがとう」


 かんながかなに学校変革プロジェクトに自分の所属しているダンス部にかけあってみるという提案をした。かなは、少しずつでも動いているという感覚があった。

「よし、私も頑張らないと」


かなは学校変革プロジェクトの部活動募集の白紙の紙を持ち独り言のように自分で言葉を言い言い聞かせていた。


その頃、会長のあすかはこれからのことについていろいろ計画していった。

「さて、どう進めていこうかしら」

すると生徒会室のドアが開いた。

「あすかさん、今日、習い事があって集まれないです」

「ああ、そうなんだね、浅見ちゃん習い事やってたんだ」

「はい、ピアノとサックスと習字です」

「おお、たくさんやってるね」

「はい、いろいろ試したくて」

「今度、字を書くの手伝ってもらおうかな」

「私でよければぜひ」 

 りなはかなり嬉しそうにワクワクしていた。






部活でダンス部が校内で活動していて、ダンス部で使ってる音がかなりの音だったので、他の教員が注意をした。


「もう少し、音を小さくできないのか?ボリューム下げなさい」

「これくらいでないと盛り上がりませんし、集中できませんけど?」

一人の部員がその教員に少し反抗をした。

 「君はそういうことを言っていいのかな?先生に向かってそんなことを」

 「だから練習なので、仕方ないんですが」

 「口答えか、君は指導だな、明日職員室に来なさい」

  その教員はダンス部員である神崎ゆかに向かって、そのように言葉を言い放った。

  ちなみに教員の名は、渡辺あきら、生徒の中ではめんどくさがられている教員№1で、

  何かと指導をしたがる教員である、担当の国語の授業ではスムーズにいかず常に講義形式の授業を行っている。

 「はあ、めんどいわ、またバイト遅刻だ」

 「まじ渡辺きもいし、かたい、うざい」

  神崎ゆかに共感した部員の一人である関山ゆいなも同様に、この教員がめんどいとも思っている。すると職員室から部長であるかんなが歩いてきて、広間で練習中のダンス部員を招集した。

  

   




「みんな、今からミーティングやるよ」

「かんなさん、今日バイトなので、集まれないです」

「あっそうなんだ、分かったよ、そしたら他の子から詳細は聞いてね」

「あっ了解です」

かんなが神崎ゆかに今日のミーティング内容を他の部員から聞くように促した。

 すると、関山ゆいなも行けない旨を伝えた。

「部長、今日私も行けないです」

「あっそうなんだね、じゃあ2人とも詳細は誰かから聞いてね」

 

「分かりました」

「分かりました」

 神崎ゆかと関山ゆいなは部長であるかんなにミーティングの情報共有をするように言われたので、そのことについて返事をした。




「これで全員かな?今からこれからの活動についての話をします、大事なことだから聞いてね、あと今から副部長が年間活動計画表を配ります、先にこっちから配っていって」

「分かった」

副部長である今井咲が年間活動計画表を配っていった。

「全員に渡ったかな?」

「みんなも知っているように湘南北風高校は学校変革プロジェクトを実施することになり、

はじめ、部活動は積極的に変革プロジェクトに関わることになります、

学校を楽しく変革して進めていきます」

「あれか、例の」

「まじあれね」

周りのダンス部がざわめき始めた。

「みんな落ち着いて」

かんなが部員たちに注意した。

「今回このダンス部がこの学校変革プロジェクトに関わっていく予定で考えています」

「えっちょっと待ってくださいよ」

一人の女子ダンス部員が発言した」

「ただでさえ、大会や練習で忙しいのに、この学校変革プロジェクトになんか関わった  ら私たちの身が持ちませんよ」

「そうですよ、部長来月も大会近いですし」

「ここに費やしてたら、練習時間取れませんよ」


便乗して、他の女子部員が意見を言った。

かんなは、とりあえず意見を聞いてどうするかを決めようと思った。

「みんなの意見は分かった、とりあえずこっちでもいろいろ考えたい、あとはみんなも、もう少し考えてみてほしい、では今日のミーティングは終わり」

  ちょっとばかり、気が晴れない思いで、ミーティングを終え、かんなは

  教室をあとにした。

 

  ダンス部員の何人かは、自分たちの練習に専念していきたいと思っているのがほとんどであった。

かんなは、このことをとりあえず受け止めて、明日の生徒会のミーティングに報告することにした。


学校の放課後の予鈴が鳴り

いつものように、かなは学校が終わると行きつけのカフェブラウンに行った。

今日は、英語の課題がでていたので、それをやり、終わったあとに学校変革プロジェクトのことを進めることにした。

「とりあえず買いますか」

「じゃあ、いつものでお願いします」


「えっといつものって何でしょうか?」

「あっすみません、アイスティーです」

「かしこまりました。250円です、いつも来られてるんですか?」


「あっはい、まあ、ほぼ毎日いってますね」

「なるほどそうなんですね、私最近入りました、立山愛華と申します」

「新人さんなんですね、私は朝倉かなと申します」

「お願いします、かなちゃんは今は高校生なのかな?」

「あっはい、高校二年生です、立山さんは大学生ですか?」

「私はただのフリーターです、高校生うらやましいな」

「いえいえ、勉強大変ですよ」

「確かに、私は勉強苦手だったな、特に数学とか」

「私も数学苦手です」

「やっぱりそうですよね」

「だよね、じゃあごゆっくりどうぞ、いつもの覚えておくね」

「ありがとうございます」


「(いい人だな、あときれいだし)」


かなは行きつけのカフェブラウンの新しいスタッフさんと話してモチベーションを上げていった。

 「(さて、勉強しますか、それにしてもまだ学校変革プロジェクトやることあるな、他の部活の営業交渉いかないと、やること多すぎてさばききれないな)

  するとかなの背中を誰かが叩いた。

 「とんとん、何してるの?」

 「わっびっくりしたな、かんな驚かさないでよ」

 「ごめんね、ここにいると思ってたわ、何してるの?」

 「ここは私の唯一1人になれる場所なのに、まあかんなならいいや」

 「あっあのかなさ今日の進捗状況を伝えてくて、あと相談があってさ」

 「あっうんどうしたの?」

 「ダンス部にさ、声をかけてみたんだけど、賛成してくれる人少なくてさちょっとてこずってるんだよね」

  かんなはかなに今の不安を打ち明け、相談に乗ってもらうことにした。

 「どんな感じ?」

  かながかんなの相談について内容を尋ねた。

 「なんか、ダンス部のみんな練習や大会などに集中したいらしくてさ、それに学校変革プロジェクトには協力できないと言ってたんだよね、確かにダンス部は大会や練習が多いから、仕方ないけどね」

 「そういうことね、ちょっとさダンス部は様子見ていくことにしようか、時間が経てば気が変わるかもしれないしね」

 「だよね、言うて26名いるから、その中で興味ある子もいるかもしれないしね」

 「うんうん、希望は捨てちゃだめだよ」

  かなはかんなからのアドバイスを受けて、自分でいろいろ考えることにした。

 「そういえば、今週生徒会の集まりなかったから、みんなに会ってないよね」

 「みんなに久々に会いたいなと思う」

 「なんだかんだ、生徒会メンバー仲よいしね」

  かなとかんなは、2人でわくわく会話しながら今後のことについて話した。

 



 次の日、生徒会メンバー一同は放課後生徒会室でミーティングを始めた。

「では、生徒会のミーティング始めようか」

あすかが司会を務めた。

「まずは部活募集についてのことをやっていきましょうか、どれくらい集まったかな?」

「じゃあ私から、吹奏楽部は現在今週の大会が終わってから回答したいということと茶動部、天文学と声楽部、演劇部はちょっと厳しいみたいです」

「そうなんだね、まあ仕方ないね、とりあえず吹奏楽はぜひお受けしていただきたいね」

「ですね、ありがとうございます」

あすかはかなに称賛し、かなは照れ臭そうに顔を隠した。

続いて、会長のあすかは司会を続けていった。

 「他の人たちはどうかな?」

 「あっじゃあ俺いいですか?」

 「はい、田辺どうぞ」

  あすかに指され、田辺は話始めた。

 「俺は、運動部を中心に営業かけていったよ、あっ少し文化部にもね、この一週間かなり大変だったよ」

 「すごいです」

  りなが驚いたような顔つきをした。

 「ありがとう、部活は野球部、サッカー部、イースポーツ部、アナウンス部、剣道部、軽音楽部、アニメコスプレ部、イベント部、イベント部は今地域のイベントが明日から三日間あるから終わったら回答するみたいだけど現状厳しいみたい、あとの部活もちょっと難しいみたいだね」

 「田辺、ありがとう、まあいきなりだから仕方ないよね」

 「まあ、まだいくつか協力してくれるところもあるかもだし、もう少し頑張ろうな」

 「うん、そうだね」

  かなが田辺にお礼を言った、それでもかなは満面の笑みを浮かべ、希望を持った。

 「じゃあ私からもいいかな?」

  あすかが尋ねた。

 「お願いします」

 「私は個人でスキル持っている子にあえて声をかけた、あと気になる部活にね」

 「どんな人たちにですか?」

  かんなは、あすかに質問をした。

 「まず、浅見ちゃん、それからピアノが学校1得意な女子で今は一年生の小泉ゆりなちゃん、今はニ年生、橋本優ちゃん、彼女はディズニーのアトラクションキャストのセリフを言うのが得意なのよね、部活には所属していないけどもサックスソロがとてもかっこいい山崎愛実ちゃん、なんか全員女の子ばかりだね、ただやっぱりみんなちょっと厳しいみたい、なんかあまり目立ちたくないみたい」

「まじすか、残念です」

  田辺がちょっと残念そうにしていた。

「じゃあかんなちゃんはどう?」

「私は、ダンス部に伝えましたが、練習とかいろいろ忙しいと言ってて、なん難しいかなと思ってて、この現状なのでまだ結論がだせないです」

「なるほどね、少し時間おいてみて、機嫌がよくなったりもすることもあるから、今は声かけしなくていいんじゃない?」


あすか時間を置いてからダンス部に改めて声をかけるように言った。

「ですよね、分かりました」

「あの、ダンス部私に一度行かせていただけませんんか?」

「かな?今の話聞いてた?」

「聞いてたよ、けどあまり時間がないし、だめもとでやっていくしかないかなと思うんでだよね」

「なるほど、かなちゃんの意見は分かった」

「じゃあダメ元で行ってみる?」

「あすかさん?今の現状で大丈夫なんですか?」

  あすかが、かなにダンス部に行くゴーサインをだした、それに対してかんなが驚いた顔つきをしていた。

「俺もちょっと心配だけども」

 田辺もそれに便乗した。

「大丈夫、なんかクレームとか来たら私が責任を取るから、そもそも校長がもう全て認め

てるのだから、心配ないと思うしね」

「たしかに校長があんなに興味を持って認めてるなら、心配ないですね」

「そうだよりなちゃん、大丈夫」

「こういうのってちょっとした試練があるもんだと思うよ?なんかのドラマとか映画で主人公が壁を乗り越えて成功するみたいな」

「先輩、それ映画とかドラマ見過ぎですよ」

 かながあすかにツっこんだ。

「なんかそういう感じで少しワクワクワクしちゃった」

それを聞いて生徒会メンバー一同はみんな笑っていた。






 その日の夕方、放課後の職員会議があった。

「では、遅刻指導対象者に、明日の朝連絡をお願いします」

生徒指導担当の担当教員が教師全員に伝達した。


「とりあえず3年の渡辺こよみはあと一回で校長説諭になります、本人には伝えてあります」

「分かりました」

 職員会議が終わり、教師全員が職員室に移動した。

「終わったわ、さて部活いきますか」

 がたいの体育教員の一人がうきうきしながら、部活へ向かった。

 そして、職員室に向かう途中、三人の教員がなんやらひそひそ話していた。

 教員の鹿島と大森と上田だ。教員の中でこの三人はいつも一緒にいて、だいたい仲が良い。

「とりあえず移動しましょうか?」

教員の上田が提案した。

三人がいつもいる場所は理科実験室の倉庫だ。ここでいつも何かの打ち合わせをしている。

 彼らはかなたちが計画している、学校変革プロジェクトにはあまり共感してないし、むしろ反対だ、つまり新しいものに耐性がないのだ。

 校長より年上だが、早川もこの3人には頭が上がらない。


「とりあえず、この学校変革プロジェクトをとめるんでしょ?」

 大森が質問した。

「そうですね、でもどうやってとめますか?」

 教員の上田が学校変革プロジェクトをとめるということを前提に、話を進めて、鹿島に質問をした。

「うーん、実際このプロジェクトにどのくらい賛成の先生がいるのですかね?」

 鹿島が賛否がどれくらいあるか調べようとしていた。

「たしかに、分からないけどもまだいるはずよ」

 大森がいるかもしれないということを言っていた。

「少なからず他の教員でまだ意見したくて、手をあげてた人はこの前の職員会議でもちょっといたし」

 大森がこの前の職員会議でちょっとまだ意見したい人がいたことに気づいていた。

「一度、何人かの先生たちの意見を集めるのはどうでしょうか?」

教員の上田が提案した。

「いいわね、とりあえずやってみますか?」

「はい、そうしましょうアンケートを作っておきます」

 鹿島がアンケートを作ろうとした。

「悪いわね、お願いね」

「了解です」

「今日飲みいきますか?」

「いいわね」

 上田が大森と鹿島に提案を促した。

「じゃあ決まりですね、いつもの所で」





放課後の生徒会室では、片付けを始めていて、かなたちもみんな帰宅準備をしていた。


「よし、終わった、あっ俺バイトだから先帰るわ」

「お疲れ、田辺、また明日」

「おお、朝倉みんなお疲れ」

田辺はバイトに行くために、急いで学校を後にした。

「ねねそうだせっかくだし、今日4人でお茶しない?」

  かんながうきうきしながら他のメンバーに聞いた。

「行きましょう、私のどが乾きましたし」

  すかさず、りなは行く意思を伝えた。


「いいね、あっデザートも食べたかったからさ」

  あすかも行く旨を伝えた。

  かんなはおそるおそるかなに聞いてみた。

「かなも行くでしょ?」

「あっそうだね行きたいけど、今日はちょっと考えたいことあるから、また今度で」

「あっまじか、まあまた行こう、あまりプロジェクトについて考えすぎないようにね」

「ごめん、ありがとう」

「今度は絶対4人で行くからね」

「分かったよ」

かんなは残念そうな顔をしていたが、また行けることを期待することにした。

「じゃあ途中まで帰りましょう」

「おおそうしようか、ところでりなちゃんは彼氏とかいないわけ?」

「いないですよ、かんな先輩はいなんですか?」

「私は、今他のことで忙しいからね」

「なるほど、来年三年生ですよね?早いな、もうあと一年くらいですね」

「言われてみれば、そうだよね」

「あすかさんは彼氏さんとかいますか?」

「えっ私?まさかりなちゃんからそんなこと聞かれるとは」

「私は前いたけど、一年前に別れたよ、生徒会業務あるし、受験とかあとバイトもあるから難しいなと、あとあなたたちとの時間が大切だと思ってね」

「そういうことですか、先輩らしい、こんなにきれいなのにもったいないな」

りながあすかを褒めた。

「まあ今は受験に向けて勉強もしないといけないしさ」

「先輩かっこいい、バイトやってたんですね、どこでやってるんですか?」

「カフェだよ」

「おお、今度行きますね」

「恥ずかしいから来ないで」

  あすかのバイト先のカフェに来てもらうことを拒んだ。

「行きたいな」

「かな?さっきから何考えてるの?珍しく話題についてこないからどうしたのかなと?」

  真剣な表情をしているかなにかんなは質問をした。

「あっいやなんでもないよ、ちょっと考え事をね」

かなは視線をそらして横を向いた。

「また、学校変革プロジェクトのことでしょ?」

「あっいやその」

「一人で抱え込まないで、私たちに考えてること言ってくれれば、協力するからさ」

「ありがとう、あのさやっぱり私も行ってもいい?ちょっと話したいことあって」

「いいよ」

「かな先輩来るんですか、やった」

「うん、変わるよ、じゃあ4人で写真撮りますか、せっかくこの仲間でそろってるし、田辺ごめん」

かんなが四人で写真を撮った、いない田辺にはあえて謝った。





湘南地域の駅周辺は、帰宅するサラリーマンや女子高生や子供づれの姿がたくさん歩いていた。


  駅の改札前でコートを着て立っている女性の姿があった。校長の早川結衣だった。

 「まだかな、遅い」

 「遅くなりました、すみません」

 「時間厳守って言ったのに」

 「校長すみません、遅くなりました」

 「あなたたち2人は何でこんなに遅刻ばかりするのかしら」

 「時間内に来れるようにします」

 「まあ移動しましょうか?」

  校長の早川は2人にイライラしながらも、いつものことかと思い、呆れた顔をしていた。

 「さあ、店に移動するわよ」

 「はい」

  早川に促されながら2人はついて行った。

 


「すぐそこだから走って」

「はい」

「ここね、個室があるからそこにしましょう」


 3人は店に着き、個室へと言った。」

「いらっしゃいませ、何名様でしょうか?」

「3名様ですね」

「個室でお願いします」

「かしこまりした」



「さて、やっと飲める、仕事早めに終わらせて良かったわ」

「校長なのに早上がりってすごいですね」

  校長の今日連れてきた男性1人が反応していた。彼は、新山壮太 現役のゲームクリエイター兼エンタメ系のイベントをメインの仕事をしている。

「私なんて、定時で帰ったことない、まあ今は特にそういうしばりないけど、壮太なんて前の会社大手で残業だったよね」

  彼女の名は神山ゆき アミューズメントの会社で勤務し、ブラックで辞め、その後はプロジェクションマッピングの会社を立ち上げ、宇宙やエンターテイメント系の会社 

を経営している。

「ああ、そうだったな、やばかったよ」

「2人とも今日は突然、ごめんね、まあ私の中で印象に残っている2人だからさ」

「私たちそんなに印象残ってましたっけ?」

 新山と神山は印象深かったことにちょっと疑問を持っていた。

「アルバイトの中でだいたいそうだったよ」

「お前相変わらず仕事やばかったからな」

「どういう意味よ?」

「いや、そのままの意味だよ」

「むかつくな」

 新山と神山は相変わらずの喧嘩だ、それを見ていた早川は仲介役となった。

「まあまあ2人とも仲良く、さて本題に移りたいんだけど、大丈夫?」

「はい、どうぞ」

 神山は前のめりになって、話を聞く体制になった。

「お前、前のめりすぎだから」

「はいはい」

「実はね、私の今勤めてる湘南北風高校で、生徒会からの提案で学校変革プロジェクトをやることになったのよ」

「え、すごそう」

「神山ちゃんありがとう、それで学校を楽しく変革していく予定なのよ」

「楽しく学校を変革?」

「変革?学校を?」

「神山二回同じこと言わなくていいから」

「あっうん、はいはいそれでどんなことをする予定なのですか?」

「いろいろ生徒会が決めているみたいで、これからいろいろ企画が上がってく予定なのよね」

「なるほど、面白そうですね」


「ありがとう、それでぜひあなたたちの力を借りたいと思ってね」

早川は神山と新山2人にお願いした。

「どんなことをすればよいのでしょうか?」


「学校を楽しく変革していくということで、あなたたちができるスキルを活かしてほしいのよ」

「どう?厳しそう?」

「まじですか、ライトとか使えそうなもので機械操作とか可能です」

「音響とかの操作であればできます」

「ありがとう、じゃあお願いしますまた連絡するね」

校長は2人にお願いして、うきうきしていた。

「はい、わかりました」

「私も早めに言ってくれれば、行けます」





「それで、かなちゃん話って何?恋?」

「えっかな先輩恋してるんですか?」

「かな、恋とか一人だけ抜け駆け?」

「だから、恋じゃないって」

「もう、あすかさん変なこと言わないでくださいよ」

「ごめんごめん」

 あすかがからかうように、かなの悩みを恋だと勝手に決め、りな、かんなも便乗して、恋だと思い込んでからかっていた。

「あの、実はちょっと廊下を通りかかって、聞いてしまっただけなのですが、

何人かの先生が、学校変革プロジェクトを反対してると言ってて、私たちがやろうしていることを止めようとか、どうとか言ってて、それが心配で、どうなっちゃうんだろうとか思ってて」

「ちなみにその先生たち誰か分かったりする?」

あすかがかなに先生の名前を尋ねた。

「えーと、大森先生と上田先生と、「か」という名字から始まる、ルール、校則にうるさい先生」

「鹿島じゃない?」

かんながかなに該当する教員の名前を言った。

「鹿島先生?ああ思い出した」

「うん、そうそう、あいつまじめんどくさいから」

「私も好きではないです、なんかスカートが短いからちょっと長くしろとか」

「あっ私もだわ」

「まあ、2人ともたしかにちょっとスカート短いかもね」

「かなまでそういう?」

「とりあえずさ、それが確信ならちょっと校長先生に相談してみるのもいいんじゃない?」

「ですね、ちょっとしそうしてみます」

 かなはちょっと校長に相談してみることにした。



「じゃあ、またね、私とりなちゃんこっちだから」

「また、お疲れさまでした」

「お疲れ様です」

りなとあすかは、帰宅方向が茅ヶ崎駅の南口なので、2人はその方向へと帰っていった。

「はあ、私はいつものカフェ行ってから帰るわ」

「いつものカフェか、いいね」

「そこがストレス発散できるところだからね」

「いいね、私もそういう場所ほしい」

「探してみたら?でもかんなはさ、高級感でてるようなところが好きなんでしょ」

「まあ、そうだね、結構東京の方の店に興味あるからね」

「なるほど、いいね、あっ電車来たね」

「ほんとだ」

「かんなもこっちだったっけ?」

「いや違うんだけど、あえてこっちに行ってみようかなと」

「なるほど、なら一緒に行きつけのカフェ来る?」

「あっ行ってみたい」

「よし、じゃあ行こう」

「どんな所か、楽しみだな」

「実は、仲良いスタッフさんがいてね、その人すごい、いい人なんだよ」

「そうなんだね」

「かなはいろんな子と仲良くできるから羨ましいよ」

「そんなことないよ」

かなは照れながら、ちょっと否定した。

「私さ、最近仲良いクラスの子いないよ」

「あっそうなんだ」

かなが今の友人関について吐露した。

「まあ、言うてさ私もそんなにだし、ダンス部も全員と仲良いわけでないしね」

「そっか、まあ生徒会メンバーいるし、いいんじゃないかな?と思う」

「だよね、生徒会メンバーが卒業してもずっと一緒にいれてしまう仲かもだしね」

「よし、着いた、ここ」


「あっ他の地域でもよくあるカフェだね、ここ好きなんだよね」


 かなとかんなはカフェブラウンに入店した。

「いらっしゃいませ、あっかなちゃん」


「こんばんは、立山さん」

 かなとかんなは、はじめに席を取りに行った。

「さっきの人があのいい人と言っていたスタッフさん?」

「そうだよ」

「きれいな人だね」

「やっぱりそんな感じするよね、よし買いにいこう」



「お疲れ様、かなちゃんいつもので大丈夫?」

「はい、それでお願いします」

「ご注文何にされますか?」

「あっアイスカフェラテで」

「かしこまりました」


「かなちゃん、やっぱり制服似合うね、かわいい」

「あっありがとうございます、そんなことあまり言われたことなかったので」

「えっそうなの?いいな、女子高生、楽しそうだよね」

かなは照れくさそうにしていた。

「あの、私かなの友人の和田かんなと言います」

「あっかなちゃんの友人の子か、立山愛華と言います、よろしくお願いします」

「よろしくです」

「では、ごゆっくりどうぞ」

「ありがとうございます、立山さん」


 オーダーが終わり、かなたちは席に戻った。

「さて、私の居心地タイム、かなタイムが始まる」

「何それ?まあ確かに、ここでゆっくりしていきたい気持ちは分かるけどね」

「だってただでさえ、先生うるさいし、進路とかもういろいろ、私なんか人に言われるの嫌いだからね」

「分かる、本当うるさいよね先生たちは、うちの高校特にそうじゃん」

「だよね、高校行く気なくすよね、一度辞めようかと思った時期もあったし」

かなとかんなは学校の話題で盛り上がっていた。

「それにしても、かながあの学校変革プロジェクトをまさか思いつくとは思わなかったよ」

「そう?ずっとやりたかったことでもあったんだよね」

「そうなんだ、うちの高校が犯罪犯したからとかではくて?」

「ちょっとかんな声が大きいよ」

かなはかんながその話題に触れた途端、周りをきょろきょろとみてしまい、人目を気にしてしまった。

「そんなにきょろきょろしなくていいよ」

「そうだけど、誰が聞いているか分からないしさ」

「まあね、他にも理由があるの?もしかして」

「たいしたことではないけど」

「えっ聞かせて」

「今度話すよ」

かんなはしぶしぶ同意した。

「分かったよ」

「かんな明日のオーラルコミュニケーションの英語プレゼンの準備終わった?」

「明日の選択授業の英語プレゼンだっけ?」

「そうだよ」

「いや、全然やってないかも」

「明日、先生に言われるよ」

「やらないと、やばいよね?またダンスばかりとか言われそう」

「前、言われてたもんね」

「うん、それだけはあまり言われたくないからね」

「そうだよね、まあテーマは自由だしさいろいろ見つかると思うよ」

「うん、そうね」

「高校生って意外と忙しいね」

「それが仕事だしね」

「うんうん、私さ、最近バイト入ってはないけど、生徒会、学業、バイトと3つだから大変よ」

「あれ、かなバイトやってるんだっけ?」

「そうだよ」

「何系のアルバイト?」

「ファーストフードだね」

「おお、なかなか忙しいところだね」

「うん、まじで忙しい、というか人が並ぶ行列好きじゃないんだよね、見たくないというか」

「分かるわ、なんかそんなに並ばなくてもとか思うしね」

「うんうん、私、絶対並ばないもん、並ぶくらいなら他のお店で食べるし」

「かな、本当並ぶの嫌いだもんね」

「まあね、テーマパークとかならもう仕方ないとか思うけどさ」

   かなとかんなは日常のたわいもない会話をしていた。

「さて、そろそろ出ようか」

「だね、私もプレゼンの内容考えないといけないし」

「頑張ってね、なんかあったら聞いてくれればいろいろ教えるよ」

「かな、ありがとう」

「いえいえ」


    かなとかんなは、カフェブラウンを後にした。


次の日、湘南北風高校の朝が始まった。かなたちのクラスでは、またいつものようにホームルームが始まった。

「はい、今から進路希望調査票を配りますね、進路はこれから決めるけども学校の方針なので、期日までに提出してくださいね」

担任の片平が生徒全員に進路希望調査票を配り、全員に伝達した。


  「はあ、これいろいろ考えないといけないな、まじ将来のことなんて分からないし

   考えたくもないわ」

  「私もだよ」

   女子生徒の何人かがなんやら雑談をしたていた、そんな会話を聞きながら、かなもちょっと将来について考えていた。

  「(私は、何をしたいのかな?大学?就職? 言うてそんなに進学とか就職とかも考えてないんだよね、今は先のことなんて考えられないな)」

  「かな?お前はどうするの?」

  「うん?何が?」

   田辺がかなに質問をした、するとかなは何のことかと思い、聞き返していた。

  「いや、その進路のことだよ」

  「なんだ、田辺も進路のこと尋ねてくるの?あんた先生かよ?」

   かなは、進路の話題に触れた途端、ちょっと嫌そうな顔をして田辺の方を向いた。

  「いやでも、俺たち来年三年だしさ」

  「まあ、そうだけどね」

「生徒会活動も三年だとあすかさんだけだしさ生徒会活動やりながら進路を決めるし」

「たしかにね、それはそうだよね、ああ私なんてやりたいことそんなにないし、今の

ことでいっぱいだからさ」

「ああ、学校変革プロジェクトな、まあそれもそうだよな」

「うん、大学とか専門の進学意欲もないし、就職もあんまりかなという所だしさ」

「じゃあ、もうアルバイトしかないだろ?」

「なんでよ、フリーター生活なんてしたくないよ」

「でも結局、進学と就職も該当しなくて行く希望なかったら、そうなるだろ」

「まあね、田辺はどうするわけ?」

「俺はやっぱり大学かな?大学時代に海外行きたいなと思ってるからさ」

「なるほどね、田辺も案外ちゃんと将来考えてるんだね、偉いじゃん」

「なんで上からなんだよ、考古学に興味あってさ研究したいんだよね」

「インディーン博士かよ」

「まあ、そんなところだな、考古学はさはまると、世界観が広がるんだよな」

「そうなの?」

「そうだよ、ああいう感じのロマンス最高だよ」

「田辺がそういう夢をね、まあ頑張って」

「おっおう、本当に応援してるのかよ」

「してるに決まってるじゃん」

田辺は本当に応援してるのか?という疑問を抱きながらちょっとかなを疑った。

まあ、内心はいつものことだと思って軽いノリだと思い、受け流した。





授業が終わり、生徒会メンバーは、ミーティングを始めようとしていた。

「はい、じゃあミーティング始めます」

あすかが司会を務め、ミーティングが始まった。

「前回の協力してくれる部活動に新たな進捗はありましたか?」

「ありました」

すかさずかんなが手を挙げた。

「はい、かなちゃん」

「吹奏楽部が大会終わってぜひとも、「やらして下さい」とのことです」

「おお、いいね、吹奏楽が協力的なのは嬉しいね」

「はい、まさかとは思いましたが、積極的でした」

「あのあすかさん、今大丈夫ですか?」

「うん?どうしたの?」

 かんなが会長のあすかに声をかけた。

「この後、ダンス部の臨時ミーティングがあって、今でても大丈夫ですか?」

「あら、そうなんだね、分かった、いってらっしゃい」

「すみません」

   

かんなは生徒会室を途中で抜けた。

「今って吹奏楽部とどの部活が同意得られてるんだっけ?」

「吹奏楽部だけだった気が、ダンスは保留ですし」

  かなはあすかからの質問に答えた。

「私さやりたい部活の組み合わせがあるんですよね」

  かなが部活の組み合わせについて話した。

「うん?どんな組み合わせ?」

  あすかがすかさず聞いた。

「まだ回答は得られていないけど、吹奏楽とダンス部の組み合わせ

  踊りながら、吹奏楽は曲を演奏する感じですね」

「なんか楽しそうだな、どこでやるの?」

  田辺が少し興味を持ってかなに聞いた。

「校内と校庭かな」

「えっ校内ですか?」

りなが驚いたような顔つきをしていた。

「そうだね、前に動画で見た時校内だったし」

「校内はちょっと厳しいんじゃないか?せめて外とか?」

 田辺は少し険しい顔をして言った。

「うーんそれだと意味ないんだよね」

かなは校内でやりたい気持ちがあるが、校内だと厳しいという田辺の意見には納得できなかった。


「面白いんじゃない?」

あすかが、かなの提案に興味を持った。

 「でも、校内ですけど、大丈夫ですか?」

 「そうね、反対する教師はいるとは思うけどちょっと試してみよう」

 「ですね、ちょっとワクワクします」

  りなが嬉しそうに言っていた。

「そうだな、まあなんか言われたらその時で」

  生徒会メンバー全員は少しずつ意見をかためていった。

「さて、それをいつ実行するかだよね」

会長のあすかが全員に質問をした。

 「これからゴールデンウィーク始まりますもんね」

  りなが生徒会メンバーに言った。

 「ゴールデンウィーク終わったあとくらいかな?」

 「まあ、それくらいだろ、でないとみんな忙しくなるし」

  かなが質問をすると、田辺がかなの質問に反応をした。

 「まずかなちゃんが提案してくれた、ダンス部と吹奏楽部ね」

 「ですね、あっでもダンス部に一応交渉に行かないとですね、まだ保留状態ですし」

 「そうね、ダンス部に行かないといね」

  かなはダンス部にまずは行って交渉をしていくことであるとあすかに伝えた。

 「かなちゃん、今からダンス部行ける?」

 「今ですか?」

 「そうね、明日とか先延ばしにするより、今日とかくらいのがいいかなと思うもうだいぶ時間も経ってるし」

「分かりました」

「じゃあ、今から行ってきます」

「いってらっしゃい頑張ってね」

「かな先輩頑張ってください」

「朝倉頑張れよ」

「ありがとうございます、頑張ります」

  かなはダンス部に交渉に向かい、生徒会室を後にした。


生徒会メンバーは徐々に学校変革プロジェクトのために動き出していた。

 

  ダンス部では、まだミーティングが行われていた。

  かんなは大会の日程について話が終わりミーティングも終わろうとしていた。

「はい、では大会の日程については以上です、何か質問をありますか?」

  かんなは周りを見て、質問者がいないかどうかを確認した。

「はい、では終わります」

  するとダンス部で行われている第一教室のドアが開いた。

「失礼します」

かなはおそるおそる教室のドア開けた。

「えっかな?どうして?」

  ダンス部員はちょっとざわめき始めた。



「あの突然すみません、ちょっとお話したいことがあり来ました、私は生徒会副会長の朝倉かなと申します、ご存じの方もいるかと思われますが、今生徒会で学校変革プロジェクトを推進しております、目的は楽しく学校を変革していくというものです」


ダンス部員は、その話を聞いてからちょっと静まり返った。

かなはそのあと前置きをいれずに、単刀直入にお願いをした。

「はじめの活動としてダンス部の皆さんの力を借りたいと思っております、どうか協力をしていただけないでしょうか?」

「部長からその話を聞きました、大会や練習があるので、なかなか難しいなと思うんですよね」

 二年生の女子部員一人が発言をした。

「しかも最後の大会かなと思っているので失敗したくないとも思っています」

 今度は三年生部員一人が率直な意見を述べた。

すると一人の二年生の女性部員がかなたちが進めている学校変革プロジェクトに興味を持ち、質問をした。

「あの私はこの学校変革プロジェクトとても興味を持ちました、何ていうかその面白そうだなと思ってぜひやってみたいなと思うんですよね」

「かなさんがやろうとしていることはその、たしかに大きいことで、誰かに反対されるかもしれないようなものだとは思います、でもこの学校は少しでも変わっていくべきかと思いました」

「ちょっと何勝手なこと言ってんのよ、二年生のくせに」

「そうだよ、まじでうちらのやること増やさないでよ」

「ただでさえ、練習や大会が忙しくて全国大会目指してるのにさ」

「だいたいこの学校変革プロジェクトというのを生徒会で始めたからこんな話になってるんでしょ?」

 ダンス部員の一部の三年生部員が質問と意見を述べた二年生部員にイライラして強くあたった。

すると三年生部員がかなにまたもや強く意見をしてきた。

「あんたさ、生徒会の副会長か何か知らないけど、まじで真剣にやってて大会をやってい る部活を巻き込んでまで、このプロジェクトやりたいわけ?」

するとかなはちょっとイライラしていたが、頑張っておさえた。

「だいたい、それやったところでこの学校変わるとは思わないとけいどね?」

「あの意見したいことは分かるんですが、ちょっと言い方とか考えてくださいね」 

部長であるかんなが少し止めに入った。

  かなはおさえていた感情を吐き出すように、その三年のダンス部員に強く言い放った。

「私は生徒会副会長として、この学校変革プロジェクトを本気で成功させたいと思っております、このプロジェクトを考えたのは自分です、私の一存では全て決められませんし、他の生徒会メンバーとも協力してやっています、多くの部活やサークルなど忙しいのは存じてあげておりますが、それを承知の上で声をかけています。あなた方がどのような意見を持っているかは分かりませんが、これについて反対していただいても別に構いません、多少の不満や意見はあるでしょう。けれども一つだけ言えるのは学校が変わるかどうかまずやってみないと分からないのと、そのような態度が一番の問題かと思います」

「あんたね、三年に向かって何て口の聞き方してるわけ?」

「あの、部長として、意見を言います、今回みんながくれた意見は私と副部長でまとめていきたいと思います、たしかにダンス部にとってはちょっと大変だとは思うけど、一つの新しい活動をやると思って考えてみてほしいなと思う」

「かな、とりあえずあとはまとめていくから、大丈夫だよ、ありがとう」

「分かった」

かなとかんなは互いに見つめあってアイコンタクトをとった。


かなが教室をでようとしたとき、ある先生が教室に入ってきた。


「朝倉さ、先輩に対してそんな口の聞き方していいわけ?それってダメだよね?

 先輩や先生には敬意を払うと習わなかったか?」

「いや、私は生徒会として意見に答えただけですが?問題ありますか?」

「ほら、口答えか?お前生徒指導だ」

「ちょっと待ってくださいよ、何でこんなことで生徒指導なんですか?」

  かんながどうしてこんなことで生徒指導になるか、疑問に思ったので、口をはさんだ。

 「和田、今までのやりとり見てたら分かるだろう?朝倉は先輩に対して敬意を払わず、しかも教員に対しても口答えをした、だからそうなった、お前も生徒指導になりたいか?」

  かんなはそう言われた瞬間、何も言わなかった。

 「まあ、朝倉は反省文も書いてもらうからそのつもりで」

  教員の鹿島は、第一教室をあとにした。

 「何あのくそ教員、鹿島って頭おかしい教員だよね」

  かながちょっといらっとしてかんなと廊下で愚痴をこぼした。

 「ね、鹿島って、本当くそだよね」

 「とりあえず、私は帰るね、失礼しました」

 「お疲れさま」

  かなは、ダンス部が行っていた第一教室をあとにした。

 「なんだか、変な気持ちだな、生徒指導か」

  先ほどのことがちょっとひっかかり、ひとり言を言った。

  すると会長のあすかとたまたま廊下ですれ違った。

 「あれ、かなちゃんお疲れ様、ダンス部のことありがとう」

 「いえいえ」

 「あれなんか、元気ないけどなんかあった?大丈夫?」

 「あのなかなか言いづらいことなんですが」

 「とりあえず、移動しようか、今日のミーティングは終了するからさ」

 「分かりました、田辺とりなちゃんは帰りましたか?」

 「あっ田辺はバイト行って、りなちゃんは生徒会室かな?」

 「あのここにいますよ」

 「りなちゃん」

 「あれ生徒会室にいたのではないの?」

  あすかがりなに聞いた。

「移動したかっったので、出てきてしまいました」

「あっそうだったんだ」

「まあ、じゃあお茶でもしましょうか」

  会長のあすかが2人を誘った。

「かなちゃんがなんか元気なさそうだし」

「いろいろ聞いてあげよう」

「かな先輩大丈夫ですか?」

「まあ、大丈夫だよ、今回はちょっといくら私でもメンタルやばいかも」

「辛いことがあったんですね」

「私でよければ、いろいろ聞きますよ」

「ありがとう、りなちゃん」

あすかとかなとりなの3人は学校をあとにした。





湘南北風高校の職員室は夕方の17時以降でも電気はついていた、もちろん夕方まではついているのだ、何人か残っている先生が少数いた。

「やばい、今日授業で、実験資料配り忘れてた」

「大丈夫ですか?」

 


  そのような状況の中、校長の早川はいつも通り、定時退社をして学校をあとにしていくところであった。

「よし、今日も定時退社いつもの2人と合流」

 校長が学校をでようとした瞬間、ある教師が声をかけた。

「早川校長先生、今よろしいですか?」

「もう今帰宅しているところですが、何かありましたか?」

「まあ、たいしたことではないのですが、学校変革プロジェクトについてどう思われていますか?」

「そういう議論みたいなのは勤務中にしてくれないかな?」



「そうでしたか、まあでも今の状況をお伝えすると、何人かの先生はこのプロジェクトに反対しています、少なくとも他の教員の協力もないと成り立たないはず、これが失敗したら、学校でも白い目で見られると同時に、さらには校長としての品格も落ちることになりますよ?」

「なるほど、それをあなたは言いたかったのですか?」

「まあはいそれだけではないですが」

「ご忠告どうも、まあでも私はこのプロジェクトを成功させることしか考えてないので、そこについては気にしません」

「そうですか、ならどうなってもしりませんよ」

「大丈夫ですよ、まあそんなことより鹿島先生、生徒から授業がわかりづらいと授業アンケートで書かれています、今までの経歴や功績は大変すばらしいものではありますが、学校の教育公務員としてなすべきことは教育をすること、授業が成り立たなかったら教員として欠落ですよね?私のことを気にするより、ご自身のことを気にされたらいかがですか?少なくとも私の品格はどうでもいいのです、あなた自身がそのような教員であり改善の見込みがないと判断した場合には、指導不適切教員としてあなたを教育委員会に報告いたします」

   教員の鹿島は、それを言われた瞬間、何も言えなかった。

「それではお疲れ様でした」

  校長が学校を去ったあと、鹿島は舌を鳴らし、校長の早川の暴言を吐いた。

「まじあのくそ校長、ふざけるなよ」

 

この状況、誰もいなかったと思った鹿島は職員室に戻った。



すると教員の玄関口でたまたま見ていた一人の女子生徒がいた。


「やばいな、この光景、録音してしまったよ、かなたちに報告しておこうかな」

  ダンス部のミーティングが終わり鍵の返却をしようとしていた所、たまたまその光景を見てしまったので、あえて録音しておいたのだ」

「校長にも報告するべきかな」

かんなはちょっといろいろと戸惑い、迷ってしまった。


あすかとかなとりなの3人はお店を探していた。

「さて、今日はどこにしようか?」

 あすかが決めようとしていた。

「そうですね、ここのファーストフード店はどうでしょう?」

りなが続いて提案をした。

  「あっうん、違うところにしません?」

   かなはちょっと冷や汗をかいていた。

  「うーんでもあまり行く場所ないし、今日はここにしましょう」

  「分かりました」

   かなはしぶしぶ了承をした。

「なんか理由あるとか?」

あすかがかなに直接聞いた。

「いや、別にないですが」

「分かった、じゃあ入りましょう」

「こんにちは」

ファーストフードの店の店員が、3人が入店したと同時に、挨拶をした。

「ご注文をどうぞ」

「かなちゃん、りなちゃん何にする?今日は私のおごり」

「えっいいんですか?じゃあ私は箱ポテとコーラで」

「全然いいよ、かなちゃんは?」

「私は期間限定のスムージーにします」

「おっ分かったよ、そしたら箱ポテ一つと」

かなは周囲をきょきょろ見ていた、するとある人が声をかけた

「あれ?かなか?今日は食べに来てくれたんだね」

「うわ、びっくりした、お疲れ様です」

「なんかごめんびびらせてしまったかな?」

「いや、大丈夫ですよ」

 するとそれに気づいた、りながかなに話しかけた。

「ここってかな先輩のバイト先だったんですね、拒んでたのはそういうことなんですか」

「いや、ばれてしまったか、恥ずかしいからあまり言いたくなかったんだよね」

「まあ、いいじゃないですか、いずれにせよバイトしてたらばれますよ、ここうちの高校かなり来るみたいですし」

「えっまじか、なんかめんどい」

「りなちゃん、かなちゃん買えたよ、上で食べようか」

「わっ本当にありがとうございます、ごちそうさまです」

「いいのよ、全然大丈夫、席もとれたね、さてかなちゃん今日どんなことあったか教えて」

「実は今日ですね、先輩に意見したら、その姿を先生が見ていて、生徒指導になってしまったんです」

 かなは、ダンス部であった出来事をあすかに話し始めた。

「なるほど、今日ダンス部の交渉でどんな感じだったの?」

「ダンス部にお願いをして、何人かの部員の人たちが反対をしたんです、一人だけ賛成をしてくれる人がいてその人くらいが興味を持ってくれたんです、そのあとに三年生部員が反対をしてきて私にいちゃもんをつけてきました、そこで私は生徒会副会長として意見を言いました」

「なるほどね、どんな風に言ったの?」

「こんな風に言いました。私は生徒会副会長として、この学校変革プロジェクトを本気で成功させたいと思っております、このプロジェクトを考えたのは自分です、私の一存では全て決められませんし、他の生徒会メンバーとも協力してやっています、多くの部活やサークルなど忙しいのは存じてあげておりますが、それを承知の上で声をかけています、あなた方がどのような意見を持っているかは分かりませんが、これについて反対していただいても別に構いません、多少の不満や意見はあるでしょう、けれども一つだけ言えるのは学校が変わるかどうかまずやってみないと分からないのと、そのような態度が一番の問題かと思います」

「ああ、そういう感じか、ちょっと内容が強すぎちゃったかもね」

「内容ですか?」

「そう、まあかなちゃんの気持ちも分かるんだけど、ダンス部の三年生からしたらちょっと急にこんなプロジェクト来たら焦るよね?みたいな感じかなまあ分からないけど、三年生部員の人たちも大会あるから少しイライラしてた可能性もあるし、ただでさえ本気だからね」

「まあ言うても私たちのスタンスは変わらないですもんね」

 かなは意見を曲げずに言った。

「かな先輩ここでへこたれちゃだめですよ」

「かな先輩らしくはありませんし」

「ありがとう、りなちゃん、とりあえずこんなことで指導になってしまったのが悲しい」

「そうだよね、ちなみに指導にした先生って誰なの?」

「鹿島先生です」

「ああ、あいつね」

「私、あまり接点ない先生です」

りなはその先生を知らないので、素直にそのことを言った。

「鹿島はさ、何かとルールとか、敬語とかを気にして逐一いろいろ言ってくる

うるさい教師なのよ」

 あすかが鹿島について説明した。

「ああ、そうなんですか」

 かなは呆れたように返事をした。

「これはあくまで予想だけど、今回の学校変革プロジェクトもおそらく反対して何かやろうとしているとは思うよ」

「なるほど」

「その腹いせにかなに目くじらを立てて、このプロジェクトをつぶそうとしてるとかね」

「ええ、それってひどいですよね」

りなが驚いたような顔つきをした。

「あくまで想定だけどね」

 あすかは予想であるという考えを2人に伝えた。

「私、なんかあまり納得できません」

かなは少し強めの口調で言った。

「あんなことで生徒指導対象になるのが理解できないですし、もっと他のやるべきことがあるでしょうと思いました」

「そうですよね、私もあまり納得できません」

 りながかなの意見に同調した。

「ありがとう、りなちゃん」

「まあ、今日のことは忘れて次のこと考えましょう」

「ですね」

 かなはあすかに励まされながらもなんとか元気を取り戻していった。

「そういえば、最近田辺先輩あまり放課後みんなで合流しないですよね」

「そうだね、まあ田辺も他のことで忙しいんだとは思うよ」

「バイトもやってますしね、かな先輩も」

「ああ、バイトね、最近あまりシフトはいれてないんだよね、だからあまり来たくなかったのよ」

「そうだったんですか」

「そうそう」

「かなちゃんはいろいろ頑張って偉いね、本当に」

「えっそうですか?」

「そうだよ、かなちゃんがずっと元気ないのはかなちゃんらしくないよ」

「そんなこと言ってくれるなんて、本当いい仲間持ちました」

かなは少し泣きそうになりながら、涙を必死におさえた、

「あっかな先輩なんか泣きそうになってますよ?」

「えっ泣いてないよ」

「かなちゃんなんか涙でてるよ」

「だから、泣いてないですよ」

かなはあすかとりなにからかわれていた。

「せっかくなので、写真撮りません?」

「りなちゃん写真好きだね、撮ろう」

 りなに写真を撮ろうと言われてあすかはノリノリだった。

「だって思い出ですし」

「まあ、りなちゃんの最高な年にしたいもんね」

「はい、じゃあ撮りますよ、はいチーズ」

「わっいいね、この感じの雰囲気の写真、好きだわ」

 かなが撮った写真を気に入っていた。

「あとで送ってね」

 あすかはりなにそう伝えた。

「分かりました、グループに貼っておきますね」

「ありがとう」

「さて、じゃあ出ますか」

 あすかが解散の合図を伝えた。

「はい、出ましょう」

「はい、行きましょう」

 りなとかなの2人が言った。

「明日も学校ですね、なんか行きたくない英語の小テストあるんですよね」

「りなちゃん英語得意なら大丈夫じゃない?」

「そんなことないですよ、6月に中間だって始まるのに、緊張ですよ」

「あったしかに勉強しないとね」

「そうだよね、私も受験勉強とかもやらないと」

「あすかさんは受験で大学行くんですか?」

「そうだよ、推薦とれるくらいの成績あるけど、推薦枠に行きたい大学ないからね」

「なるほど、ちなみにどこの大学希望なんですか?」

「東京大学だよ」

「東、東京大学?あの国立の赤門の?」

かながそのあとに驚いたような顔つきの反応をした。

「そうだよ、まじで今勉強してるけどね」

「ですよね、生徒会の活動やってて大丈夫ですか?」

「まあ、大丈夫よ」

「東京大学ですか、凄いですね、あすかさん行ったらこの学校変わりますね」

「まっ私が行ったからと行って変わるわけじゃないからね」

「まあ、そうですけど」

 かなたちは話しながら店をあとにした。

次の日、生徒会では、ゴールデンウィークが始まる前までにいろんなことを取り決めていた。

「休み入る前までに、いろんなことを取り決めておきたいので、少しずつまとめよう」

あすかは学校変革プロジェクトについてのことをまとめ始めた。

「あの、実は私からお知らせをしてもいいですか?」

「あっうんいいよ、どんなことを知らせてくれるか楽しみ」

 あすかがわくわくした感じでかんなに言った。

「はい、ダンス部の部員からゴーサインでました」

「おお、良かったですね」

 りなが嬉しそうな目をしていて、かんなを見つめていた。

「りなちゃん、そんなかわいい目でみないでよ」

「えっあっすみません」

「まあ、別にいいんだけど、かわいいし」

りなは顔を赤くしながら視線をそらした。

「ダンス部がぜひともやらしていただきたいと言ってました」

「なんか急な展開だな、俺あまり詳しい話知らないけど」

「あっいろいろあったんだよ」

 かながその場で片付けようとしていた。

「いろいろってどんな?」

「まあいろいろ、あまり言えないけど」

 かなはちょっと恥ずかしそうであった。

「なんだよ、教えてよ」

 田辺が以前かながダンス部に交渉しに行ったことが気になり田辺がかなに聞いてきた。

「ダンス部に交渉しに行って、先輩にこのプロジェクトについていちゃもんをつけられたので、反論したんだよ」

「あっそういうことな、いちゃもんをつけられたなら仕方ないな、どっちもどっちだな、お前も反論してしまったからな」

「いや、私はちゃんと正論を言ったまでだけど?」

「そういう時は、あえて何も言わなければいいんだよ、反論も時には大切だけど」

 田辺がかなの例の件についてアドバイスをした。

「そうだけどさ」

 かなが田辺のアドバイスを何か受け入れられない状況のようであった。

「とりあえずダンス部から承認でてよかったじゃないですか」

「そうね、これでいろいろ進められるしね」

あすかとりなが安心した顔つきをしていた。

「あと吹奏楽部から提案がありまして、曲はこちらで選曲したいとのことです、

それはいいですかね?任せても」

かなが吹奏楽部について伝達した。

「あっうんそれくらいならいいと思う」

 あすかは吹奏楽部が選曲をチョイスすることに了承した。

「分かりました」

かなは、吹奏楽部の件についてあすかからの質問に返事をした。

すると、生徒会室の扉から音が聞こえた。

「はい、どうぞ」

「失礼します」

「えっ校長先生?」

「校長先生どうして?」

校長の早川が生徒会室の扉を開けた。

「そのあなたたちに朗報があるのよ」

「えっ朗報?」

「実は、今回の学校変革プロジェクトに協力してくれるとっておきの2人を紹介するね」

「えっ誰ですか?」

「まずは神山ゆきさん、アミューズメントの会社で勤務し、ブラックで辞め、その後はプロジェクションマッピングの会社を立ち上げ、宇宙やエンターテイメント系の会社を経営している人ね」

「えっそれはすごい」

 校長の早川が紹介すると、かながすごい声で驚いた。

「でしょ?」

「もう一人は、新山壮太くん 現役のゲームクリエイター兼エンタメ系のイベントをメインの仕事をしている人」

「なんかすごい人たちですね」

 かながさらに驚いていた。

「この方たちは、どういう関係なんですか?」

「あっこの2人?私の以前の職場の後輩よ」

 あすかが校長に尋ねた。

「職場の後輩なんですね、これなら実現不可能なことがちょっとずつできますね」

「そうね、これから細かいこととかを決めていかないといけなくなるけど」

「あったしかに、その人たちはとはいつ対面するのですか?」

「かんなちゃん早く会いたいのかな?」

「まあ、どんな人か見てみたいし」

「ああ、まさか彼氏とかつくりたいとかじゃないですよね?」

「違うよ、なに言ってるのよ、りなちゃん」

かんなが助っ人2人について聞くと、りながからかってきた。

「ちなみに、新山くんは結婚してるよ」

 校長の早川はかんなに言った。

「ああ、そうなんですね」

「残念でしたね、せっかくの彼氏候補だったかもしれないのに」

「いや、別に狙ってないから」

 りながかんなをまたからかうと、かんながちょっと笑いながら否定していた。

「じゃあ、今日はお開きにして、ご飯でも食べにいきましょうか?」

「え、校長先生とご飯ですか、すごい」

「学校変革プロジェクトのことでいろいろ話していきたいし」

「そうですね、これからいろいろ進めていかないといけないですが、頑張りましょう」

 早川が、生徒会にご飯の誘いの提案をした。

「田辺は今日行けるの?」

 かなが直接田辺に聞いた。

「今日は大丈夫、バイトも予定もないし」

「そっか久々に生徒会メンバー集合という感じだね」

「なんだかんだこのメンバーチームワークいいよね」

「そうですよね、あすかさんが生徒会長で良かったです」

りながあすかに想いのまま伝えた。

「みんなが頑張ってるおかげだよ」

あすかは以前中学の生徒会長だった時の過去を思い出してしまった、このことをずっと胸にため込んだままでもあった、中学の時の生徒会長時代は、自分でいろいろ決めてしまい、部員からも信頼がなくなってしまっていた、彼女のリーダーシップで先生たちはちょっと困っていた、危うく生徒会長を交代させられそうにもなった。あすかにとってこれは大きな挫折でもあった、高校になってから彼女は生徒会長を希望するものの、過去での失敗をしくじらないように気を付けていた。

「あれ、あすかさんどうしたんですか?」

「えっあっなんでもないよ」

 りなはあすかの顔がちょっと暗いと感じたので、心配して聞いた。

「なら良かったです」

「みんな何食べたい?」

 早川が何を食べたいか聞いた。

「何でもいいんですか?」

 かなが早川に聞いた。

「何でも大丈夫だよ」

 早川はなんでもいいこということを伝えた。

「私は焼肉がいいです」

「じゃあ俺はお寿司かな」

 田辺が寿司を食べるのを希望した。

「ここは焼肉でしょ」

「いや、寿司だろ」

「私は、しゃぶしゃぶですかね」

「りなちゃんこの前言ったばかりじゃん」

「あっそうでしたっけ?」

「そうだよ」

「かんなとりなちゃん2人でしゃぶしゃぶ行ったんだね」

「そうそう、ちょうど2人で帰った時だったからね」

「なんだ、私も誘ってよ」

「まあ、今度行こう」

 かなが誘いをかんなに後押しした。

「あすかさんは何を食べたいのですか?」

 かながあすかに聞いた。

「私はビュッフェかな」

「ビュッフェ?バイキングですか?」

「そうだね、そっちが食べたいなと」

「高級感溢れてますね」

「よし、こうなったら多数決で決めましょう」

早川が多数決で決める提案をした。

「はい、じゃあ目をつぶってね」

「焼き肉がいい人?」

「はい、ありがとう」

「寿司がいい人?」

「次はしゃぶしゃぶがいい人?」

「そしたら最後、ビュッフェがいい人?」

「ありがとう、多数決の結果、今回は焼肉になりました」

「やった、焼き肉」

かなが満面の笑みを浮かべた。

「まあ、また行けばいいし、実はさっき話した2人も来るのよ、あとは焼肉に行くことを伝えるだけ」

「了解です」

 全員が返事をした。

「私、校長室に少し戻るね」

「分かりました、私たちはもう少し片づけます」

 あすかが早川に伝えた。

「かなちゃん、今日って日誌当番だったけ?」

「あっはい、私ですね、日誌は書き終わっているので、もう職員室に持っていきます」

「ありがとう、生徒会室閉めるから、そのついでに持っていこう」

「分かりました」

「ありがとう」

 生徒会メンバーは、生徒会室をあとにして、職員室の方に向かった。

                                

 

 すると、かんなが一人だけ隠し持っている秘密をみんなに伝えようとしいた。

「あの、実はみんなに言わないといけないことがあって」

「かんなどうしたの?改まって」

 かながかんなを心配そうに見つめた。

「あっいやその何ていうかこれはちょっと言いづらくて、校長先生にもね」

 かんながちょっと言うか戸惑っていた。

「そんな重大なことなの?」

 かなが心配して聞いた。

「そうだね、やばいことかも」

「何ですか?」

りながおそるおそる聞いた。

「この前さ、鹿島と校長先生が言い合ってるところを見てしまってさ

 その状況、私録音しちゃったんだよね」

「え、かんなそれまじ?」

 かなが目を見開き驚いていた。

「そうだよ、ちょっと気になってさ」

「鹿島先生はどうして言い合ってたの?」

 あすかがかんなに質問の理由を尋ねた。

「なんか、その学校変革プロジェクトのことに意見してた感じでしたね」


「なるほどね、なんかめんどくさいね鹿島先生、あと授業もなんか分かりづらいし」

「えっあすかさんは授業受けてるのですか?」

 かなが質問をした。

「そうだよ、だって三年の担当だしさ、東京大学らしいけどなんかかたいよね」

「東大なんだ、なんか嫌な奴っ東大とか高学歴多くないか?」

 田辺がちょっと持論を展開した。

「そんなことはないですよ、全員がそういう人ではないですし、中にはそういう人もいるということなので一概に全員とは言えませんよ」

りながいろんな人がいるというのを言いたく、田辺の意見をあえて訂正した。

「だよね、俺の先入観でした」

「ほら、後輩に言われてやんの」

「うるさいぞ」

  かなが田辺を少しからかった。

「とりあえずさ、この録音のやつはどうしようか、結構やばい状況のやつだし」

「はい、一応、校長にはまだ言わないようにしておきます」

「それがいいよ」

「まあ、これは生徒会だけの秘密だから絶対にリークがないように気をつけよう」

「了解です」

  あすかは鹿島と校長の早川との状況を録音したものをリークがないように生徒会メンバーに呼びかけた。

  職員室に着いたかなは鍵と日誌を返却した。

「失礼します鍵を返却しにまいりました」

「はい、ありがとうございます、ねね生徒会って本当に楽しい学校を目指し学校を変革すの?」

「はい、そのつもりですね」

かなが他の学年で担当ではない先生から質問をされ、堂々と答えた。



「私はさ、来年で退職する身だから、正直意見とかはしないつもりだけど、新しいことに挑戦すると、批判とかって少なからずあるからね、あなたたち気をつけてね、陰ながら応援してるから」

「あっありがとうございます」

  かなは職員室からでると嬉しさのあまり笑顔になってしまった。

「朝倉、何かあったか?」

「あっうん」

「どうしたんですか?何か嬉しそうで」

りなが興味本位でかなに聞いた。

「この学校変革プロジェクトを応援してくれると言ってくれたんだよ」

「ああ、だから嬉しそうなんだ」

  かんなはいつものかなを見ているかのようにお姉さん目線で言った。

「みんな、お待たせしました」

「お疲れ様です」


早川が職員室前に来た。

「じゃあ、行こうか」

「行きましょう」




生徒会メンバーと早川は食事をする場所に向かった。



「かなり長いプロジェクトにはなりそうよね」

 早川が突然、話を切り出した。

「そうですね、やることは山積みですしね、これからどうなっていくか分からないから怖い部分もありますね」

 かなは今の心境を伝えた。

「やっぱり不安だよね、なんせ私も不安なことがあるんだよね」

 早川自身も心配であることを言った。

「どんなことですか?」

 あすかが気になったので、突然聞いてきた。

「何ていうか、他の先生でこの学校変革プロジェクト反対している人もいて、勝手に進めやがってとか言う人いないかとか考えてしまってね」

「反対する人いますよね、私も生徒会が何か言われてないか考えちゃうときあります」

あすかは校長と同じような気持ちで、自分の今の状況を語った。

 「生徒会はこれまで、地域交流を図り、イベントメインとして学校の活動に結びつけていたから、あまり心配する必要なかったけど、今回の学校変革プロジェクトでなんかみんなの目が若干変わったなという風に思うんだよね」

 「そんな風に感じてたんですね、あすかさん考すぎですよ」

  りながあすかをちょっと心配した。

 「そうですよ、あすかさんらしくないですよ、そこまで考えなくても」

  かなはあすかがそこまで生徒会について考えていると思わなくて、逆に驚いていた。

 「なんか突然こんな話、ごめんね、でも私たちがやれることをやるしかないとは思うから、周りに何か言われても気にしないでいく方がいいかもね」

  校長は前を向いて頑張っていこうと、生徒会メンバー全員に言った。

 「よし、着いた、ああお疲れ様」

 「お疲れ様です、校長先生」

「早川先生、お疲れ様です」


神山と新山はすでに焼肉屋の前で待っていた。

「ああ、こちらが、新山くんと神山さん、私が社員をしていた頃のアルバイトの教え子たち」

「新山君、神山さんこちらが私の今の学校で生徒会をしているメンバー、例の学校変革プロジェクトを進めているのよ」

「こんにちは、生徒会長の小林あすかです、よろしくお願いいたします」

「お願いします、会長さんですか」

「はい、そうです」

「えーとじゃあ中に入ろうか」

  校長の早川がいそいそと中に全員を誘導した。




「さてじゃあみんなまずは自己紹介してくれる?」

  校長が生徒会メンバーに言った。

「分かりました、じゃあ私から紹介しますね、浅見りなです、書道が得意です生徒会では書記をやっています、よろしくお願いします」

「お願いします、浅見さん書道やってたんですね、実は私の父は書道家だったんですよ」

  神山が自分の父が書道家であることを伝えた。

「おお、なんかすごい奇遇ですね」

「だよね、すごい奇遇」

「あのじゃあ次は俺か田辺優斗です、スポーツとか好きです、よろしくです」

「おお、田辺くんスポーツ好きなんだね、自分の会社、イースポーツ事業をこれから力いれていきたいと思ってるんだよ、話が合いそうだね」

今度は新山が田辺の話に食いついてきた。

「おお、ぜひ話聞かせてください」

「全然いいよ」

「ありがとうございます」

「じゃあ次は私ね、和田かんなです、ダンス部に所属していて、ダンス部の部長をやっています、あと生徒会副会長もやっています、よろしくお願いします」

「おお、ダンスかっこいいね」

神山と新山2人が反応をした。

「ダンスってなんかクールジャパンという感じがするよね、ディズニーみたいで、ああいうダンサーとか、かっこいいとか思ったし」

 神山がダンスの魅力を引き出していた。

「ああ、ですよね、私もそういうの興味があってやってみたい感じがするんですよね」

かんながワクワクしながら話した。

「頑張ってね」

「ありがとうございます」

「そして、最後はわが生徒会のホープの自己紹介」

「ちょっとあすかさんあまり上げないでください」

 あすかがかなをちょっと持ち上げた。

「ごめんごめん」

「私は朝倉かなと言います、生徒会では副会長をやっていまして、普段はファーストフードでアルバイトなどもやっています、行きつけのカフェに行くのが日課です、自分で言うのも恐縮ですが、今回の学校変革プロジェクトを考えました」

「おお、君があの大きなあのプロジェクトを考えたんだね、すごいな、校長まで動かすとは」

 新山がかなに関心をした。

「いえいえ」

「さて、じゃあ本題に入ろうか」

 早川が学校変革プロジェクトについての話を進めようとしていた。

「あの質問いいですか?」

「どうぞ」

 田辺が質問をした。

「ゴールデンウィーク中にちょっと練習とかはしますか?吹奏楽部とダンス部合同で」

「今からそれについても話すつもりだけど、何日か練習期間は設けてるよ」

 かなが田辺の質問に答えた。

「分かった、ありがとう」

「他に質問ある人はいますか?」

 かなが質問をする人がいないかを確認した。

 全員がうなづいていた。

「いないみたいだね、先ほど、田辺から質問があったように、ゴールデンウィーク中は何日か練習する予定でいます」

「ちなみに何日間?ゴールデンウィークは10日間あるし、吹奏楽部とダンス部も自分達の部活の活動もあるだろうし」

 かんなが途中で話の中で気になったのでかなに質問をした。

「まあ吹奏楽部はできても3日間くらいだって言ってたから、3日間かな」

「分かったありがとう」

「うん、ダンス部はゴールデンウィークの練習はどうするか決めてる?」

 かなはダンス部の練習日程について確認した。

「吹奏楽みたいに何日か練習日程は決めてるね、顧問と副部長と話し合っていつにするか決めてる最中だから、合わせることは可能だよ」

「分かった」

「あの僕らはどのようなことを協力していけばよいのですか?」

 新山が質問をした。

「今回のパフォーマンスを盛り上げるための盛大のライトとかを使うからどう盛り上げられるかを考えてほしい」

 早川は新山にそのように伝えた。

 かなの代わりに校長が答えた。

「言うてさ、すぐだよね、もう時間限られてるし」

かなが不安そうに吐露した。

「まあ、なんとかなるって」

かんながかなをいつものように励ました。

「あと、校長先生質問よろしいですか?」

「あすかちゃん、どうぞ」

「はい、今回のパフォーマンスはおそらく全生徒にもてもらうとは思うのですが、日程の確保とかは大丈夫ですか?」

「ああ、そういうことね、日程は多分大丈夫だとは思う、調整はできるからさ、決まってるところはあるけど、」

「分かりました、ありがとうございます」




「さて、まずは注文しようか」

早川が全員に促した。

「ああ、そういえば注文していませんでしたね」

 あすかが、注文していなかったことを忘れていた感じであった。

「何を注文はじめにしようか」

 早川がみんなに聞いた。

「ドリンク注文しましょうか」

 りながドリンクを先に注文することを希望した。

「私もドリンクを先に飲みたいですね」

 かなも同様にそう言った。

「分かった、すみません注文お願いします」

「はい、どうぞ」

「カルビとサンチュと豚肉とレバーください」

「かしこまりました」

 早川は店員に注文を伝えた。

「ここってまだ自動注文になってないみたいだね」

 かなが疑問に感じていた。

「まあ仕方ないよ、全部が自動注文なわけでもないしね」

 あすかが最近のお店の状況について説明した。

「最近、いろいろ変わってるしな」

田辺が最近いろいろ変わってることについて共感した。

全員が焼肉のオフ会を楽しんだ、時間はあっという間に過ぎていった。

「よし、皆さんお開きにしましょうか」

「時間経つの早いですね、まだいたかったですが」

りながちょっと寂しげにぼそっと言っていた。

「まあまたやればいいじゃない」

 あすかが楽しげに次の提案をした。

「そうだね、もう一度できれば良いのだけど」

「えっ集まるのはやっぱり厳しいのですか?」

「うん、状況みてだね、まあ大丈夫だとは思うけど」

早川はあすかの次やる提案に少しだけ躊躇した。

「まあ、やれたらやろう」

  一瞬だけ、早川は少しだけ暗そうにしていた。

「明るくいきましょう」

   かなは早川の顔が少し気になったので、校長に言葉をかけた。

「そうですよ、校長先生が明るくいかないと私たちが元気なくなってしまいますよ」

   りなも便乗して言葉をかけた。

「ありがとう、かなちゃん、りなちゃん」

「いえいえ」

「あっいまそろったね」

「本当だ」

2人は「いえいえ」という言葉がそろったのでテンションが上がっていた。


「じゃあ今日は解散、お疲れさまでした」

校長が全員に言った。

「お疲れさまでした」

全員が最後「お疲れさまでした」と言った。

  校長と生徒会メンバー全員は解散して、全員は帰宅していった。解散後、かなはいつもの行きつけのカフェブラウンへと向かった。

「さて、みんなと解散したから、いつものカフェいきますか」

「いらっしゃいませ、こんばんは、かなちゃんお疲れ様」

「あっ立山さん、今日いたんですね」

「いたよ、稼がないとお金ないしさ、久しぶりだね」

「久しぶりです、最近あまり行けなかったんですよね」

「あっそうなんだ」

 かなは行きつけのカフェの立山と久しぶりに話して、会話を楽しんだ。

「お客さん全然来ないから暇だよ」

「この時間ですしね」

「だよねいつものアイスティーでいい?」

「はい、お願いします」

「はいよ、最近はどう?」

「最近はあまり変わらずですが、生徒会活動を頻繁にやってるという感じですかね」

「かなちゃん生徒会やってるんだ、まじめだね、偉いね」

「私なんて全然そんなのやって来なかったからさ」

「まあ、なかなか大変ですよね」

「頑張ってね」

「はい、ありがとうございます」

かなと立山は会話が終わり、かなは席の方へと向かった。

   するとかなは、席に着いたあとに、これからの学校変革プロジェクトについてのことを考えた。


次の日の朝、湘南北風高校は、快晴に見込まれながら今日も生徒たちが元気よく登校していた。しかし、その校門前と昇降口には教師陣が数人立っていた。これは、校則に違反していないかを確認するためだ、通る生徒たちをすかさずチェックして、例えば髪色や歩きスマホ、2人乗り乗車、ある程度決められた男女の髪型、遅刻など含めてこの一週間の校則週間で捕まれば、すぐに生徒指導となる。


  「おい、渡辺なんだそのスカート丈短すぎる、お前指導な」

  「いやもともとこれなんですけど」

  「とりあえず、放課後に職員室にあとで来い」

   

   スカート丈が短すぎてて、他の体育系の教師に指導対象になった生徒が一人確保された。そんな中、普段と変わりないスカート丈は膝より少し上のラインだが、髪の毛は黒髪セミロングの生徒会副会長の朝倉かなは、挨拶をして昇降口で靴を履き替えようとした所、ある教師に捕まった。


「朝倉ちょっと待て」

  鹿島がかなに声をかけた。

「はい?何でしょう」

「お前、この前の生徒指導の反省文は書いたのか?今日までだったよな?」

「あれ?今日まででしたか?」

「そうだよ、今日までだよ。お前まさか忘れたんじゃないだろうな?」

「えっと(やばい、今日だったの忘れてた)すみません忘れてました」

「言ったよな?今日までだって、今日から校則週間だからお前放課後職員室来い」

「忘れたので、明日渡すでもダメですか?」

「うん、だめだ期日は期日、ルールはルール、ルール、校則を破ったら守らせるのが俺たちの役目だ、分かったな?」

「分かりました(めんどいな、かたいな)」

 かなはいつものような威勢がなく、鹿島の返事に従うだけであった。

 

かなはとりあえず朝からテンション下がり、最悪な思いをした。


「はあ、まじで最悪だよ、あのくそ教師」

 「あれ?かな先輩どうしたんですか?」

  元気なさそうにしていた、かなの元にりなが声をかけてくれた。

 「りなちゃんおはよう」

 「朝からテンション下がってますよ、どうしましたか?」

 「あのね…もうなんかつらい」

  かなは泣きながらりなに肩にしがみついた。

 「生徒指導の反省文忘れただけで、今日放課後生徒指導だって校則週間に引かかった生徒たちと同じ扱いだし」

「えっ、それだけでですか、鹿島最悪ですね」

 「そうだよね、もう朝からテンション下がるし、やる気なくすよ」

 「元気だしましょう、一緒に教室までいくので、途中まで一緒ですしね」

 「りなちゃんありがとう」

  かなは元気を取り戻した。

  

 

  そして、一日はあっという間に過ぎ、放課後の時間になった。

「あすかさん、今日生徒指導になってしまったので、生徒会の集まり少し遅れます」

 「分かったよ、なんか朝いろいろ言われたんだって?りなちゃんから聞いたよ」

 「そうですね、反省文忘れただけなんですよ」

 「なんか言うことがいちいち小さいね」

 「朝から最悪ですよ、とりあえず行ってきます」

 「いってらっしゃい」

 「いってきます」

あすかは、その間、かんなと田辺、りなを待った。

「お疲れさまです、遅れました」

  一番に来たのは田辺だった。

「あれ田辺来るのいつもより早いね」

「あれ、そうすか?」

「うん、いつも遅い印象だからさ」

「まじすか?」

「うん、そうそうそういう印象」

「もう少しでゴールデンウィークで吹奏楽部とダンス部の練習も始まりますもんね」

「そうそう、まじで切羽詰まってる」

  すると、生徒会室のドアからノックする音が聞こえた。

「失礼します、私、吹奏楽部部長の多賀谷恵奈と申します、同じく副部長の上村ゆかりと申します」

吹奏楽部の部長の多賀谷恵奈と副部長の上村ゆかりが自己紹介をした。すると、部長の多賀谷から提案があった。

「どんな感じにしていくかを一緒に決めていきたいなと思って、曲は「宝島」を使いたいと思います」

「実は、そういう風に進めていく予定でした、そしたらダンス部の方とも話を進めていきたいと思うので、少々お待ちください」

「分かりました。今日ダンス部の方が来られるか分からないですが、調整してみます」

「ありがとうございます」



すると、生徒会室のドアが開き誰かが入ってきた。

「お疲れ様です、遅れました」

  かんなが生徒会室へと入ってきた。

「あっ和田早いな」

「そう?ダンス部の集まりなかったからさ」

「そうなんだな」

  田辺と和田は話しながらやりとりをしていた。

「じゃあかんなちゃんも揃ったし、ダンス部と吹奏楽部合同練習会の打ち合わせしましょうか」

「そうですね、あっ私和田かんなといいます、生徒会もやってます、よろしくお願いします」

「わざわざ自己紹介ありがとうございます、私、吹奏楽部部長の多賀谷恵奈です、隣にいるのは、副部長の上村ゆかりです、お願い致します」

「お願い致します」

「さて、じゃあやりましょう」

あすかが進行を進めた。

「やりましょうと言いたいですが、やっぱりかなちゃんいないとなんか雰囲気違うね」

  あすかが寂しげに言った。

「はい、寂しいですよね、生徒指導という話を聞きました」

  かんなはあすかの言うことに共感した、さらに生徒指導であることをすでに聞いていた。

「鹿島先生の指導にする内容の意味がよく分からないなと私は思います」

「分からないよね、あの先生そういうやり方しかできないんだろうね」

  あすかが鹿島のやり方は1つのやり方でしかできないということを限定していた。

「あっりなちゃんもいないじゃん、何か聞いてる?」

「ちょっと話聞いただけなんですが、生徒指導とか聞きました」


  かんながりなも生徒指導だということも聞いていたので、同様にあすかに伝えた。

「そうなんだね、まあ私たちだけで進めようか」

「はい、そうしましょうか」

  生徒会メンバーと吹奏楽部、ダンス部はかんなだけなので、部活動の合同練習について話し合いを進めることになった。



  そして、生徒指導の対象になってるかなとりなは、第二教室にいた。

 

「りなちゃんも生徒指導対象だったんだね」

「はい、そうなんですよ この前遅刻して、それで今回対象になってしまったんです」

「なるほどね、私なんてはじめて生徒指導の対象になっちゃったよ」

 「そうなんですか、羨ましい」

  りなは、生徒指導になったことがないかなを羨ましく思った。

かなは教室の周りを見渡した、そこには他にも髪色が明るい生徒もいれば、スカート丈の長さや遅刻などいろんな形で呼びだされているのだとかなは感じた。

「周りを見渡してどうしたんですか?かな先輩」

   りなが不思議そうに聞いた。

「あっなんでもないよ、なんかここの学校改めてやばいなと思っただけだからさ」

  かながぼそっとりなに言った。

「ですよね、それは同感です」

   すると、生徒指導担当の鹿島と体育系のがたいの大きい体育系の教員が入ってきた。

「はいでは、生徒指導を始めます、今から生徒指導原因分析・理由シートを記入してもらいます」

鹿島が進行を進め、相変わらず偉そうな態度を取りながら話していた。


「めんどいね、鹿島」

「ですね、同じく思います」

  かなとりなはまたぼそっと話をした。

「おい、そこうるさいぞ、また生徒指導になりたいのか?」

「すみません」

「すみません」

かなとかんなは鹿島に注意をされ、謝った。


かなや他の生徒指導対象者がシートに記入しているとある先生が入ってきた。入って来たのは、早川だった。

  「失礼します」

  「えっ校長先生?どうして来られたのですか?」

   鹿島が驚いた顔つきで早川の方を向いた。

  「来ちゃいけないの?私は校長だから見に来ただけだけど?」

  「あっいやそういうわけじゃないんですが」

   鹿島は早川が来て、ちょっとあたふたしてちょっといらついていた。

   早川はそのまま机間巡視をした、するとかなの生徒指導になった原因に対し疑問を持った。

  「かなちゃんが生徒指導なんて珍しいわね」

  「校長先生」

  「こういうのも校長の仕事なんだよね」

  「そうなんですか」

  「指導内容が反省文を忘れてしまったからか、何で反省文を書くことになったの?」

「ダンス部に学校変革プロジェクトの協力のお願いをするためにダンス部に行き、

 三年生の先輩にちょっといちゃもんをつけられ、生徒会として意見を言いまして、たまたま教室に来た鹿島先生に指導ということを言われ今に至ります」

「なるほど、これはちょっとひっかかるな」

「やっぱりそうですか」

「うんうん、ごめんこれはちょっと指導対象にならないから私が今言うね」

「えっまじすか」

「そうね、鹿島先生の方が間違ってるしね」

「分かりました」

   早川は、かなが生徒指導になったことが納得できずにいたので、生徒指導担当の鹿島に直接言うことにした。

「鹿島先生、ちょっとよろしいでしょうか?」

「はい、校長何でしょう?」

「朝倉さんが、先輩に意見をして生徒指導対象になったという件なのですが、これは生徒指導対象になるのが厳しいラインかなと思います、部活や生徒間との問題にもなりえるので、ちょっと私たちがここに口出していい問題かというのが微妙であるとも思えます」

   鹿島はしばらく、黙ったが指摘されたことに少しイライラして反論しようとした。

「あっでもですね、やはり言い方とかをしっかりしないと社会に出たときに変な大人になりかねませんし、ここでほっておくのはどうかと思うので」

「言っていることは、間違いではないかもしれません、ただし、生徒間や部活などの間のことなので、ここは一歩引いてみるのはいかがでしょうか?今回私は朝倉さんの件については、生徒指導対象にしないことにします、それと隣にいる浅見さんについても同様です浅見さんは確か事前に連絡をして遅刻しているはずです、今までの遅刻・欠席の所を見るとそのようになっています」

「たしかに、そうだったことを思い出しました、私全部連絡してました」

「だよね?たまたま遅刻指導期間に鹿島先生がいてその事情を知らないあなたが遅刻指導にした、さらに浅見さんはそれを伝えようともしてたはず」

「はい、伝えようとしてたのに聞いてくれませんでした」

「鹿島先生、生徒はそのように言ってますよ?」

 鹿島は少々沈黙をした。

「ということで、この2人の生徒指導はなしとします」


早川は、かなとりな2人の生徒指導を取り消した。

「鹿島先生はのちほど、校長室に来てください」

「はい」

鹿島は悔しそうな顔で下を向いた。

 かなとりなは嬉しそうに教室をでて行った。

「では、失礼します」

「失礼します」


「やったまじで嬉しい」

 かなは教室から離れたあと廊下でうきうきしていた。

「ですね、私も嬉しいです、確かに連絡して遅刻しましたし」

「うんうん、連絡して遅刻したなら問題ないよ」

「ですよね」

「急いで生徒会室戻ろう」

「はい、行きましょう」

 かなとりなは急いで、生徒会室へと向かった。




かなとりなを待ってる間、生徒会メンバーとダンス部、吹奏楽部は合同で行うイベントの話し合いをしていた。

「やる場所を確認したいのですが、校舎内と外ですか?」

 多賀谷が全員に質問をした。

「校舎内と校庭を使う予定ですね」

 かんなが多賀谷の質問に答えた。

すると、生徒会室からノックする音が聞こえた。

「すみません、遅れました」

「遅れました」

「2人とも待ってました」

あすかが目をきらきらさせていた。

「そちらにいるのが吹奏楽部の部長の多賀谷恵奈さんと副部長の上村ゆかりさん」

「はっはじめまして部長の多賀谷恵奈です」

「同じく副部長の上村ゆかりです、よろしくお願いします」

「お願いします、私は副会長の朝倉かなです」

「書記の浅見りなです、お願いします」

「ちょっと質問いいですか?」

「田辺ちょっと質問待ってね」

あすかがかなたちに話し合いの状況を説明するために質問を止めた。

「分かりました」

「かなちゃんとりなちゃん、たぶん分かると思うけど、吹奏楽部とダンス部の合同の練習についてのことを今話してるのね、メインとなる場所が校舎内と外かなとも思ってるのよ、まだこんな情報の共有だけだね」

「なるほど、分かりました」

「田辺質問なんだっけ?」

「はい、えーと校舎のどの階を使っていくとか決まってますか?」

「そこね、どこにしようか迷ってるのよね、要件等で」

「分かりました」

「あの、どうせなら全部の階使いませんか?」

 かなが提案した。

「全部?」

「全部ですか?」

 かんなとりなが一斉に反応をした。

「はい、全部の階です」

 かなが真顔の表情で答えた。

「難しいかもしれないけど、ちょっとそこも要件等だね」

「分かりました」

「全部の階だと下まで下がる体力が持つか分からないのですが」

 多賀谷が不安そうに言った。

「私たちの楽器は意外と重くて、まあ行進なら大丈夫なのですが、階段あり、しかも踊りみたいなのがちょっとあるとしたらちょっとはじめての感覚だから少しだけ厳しいところはあるんですよね」

上村が代弁した。

「それもそうね、まだ実践してないからちょっと難しい面はでてくるとは思うわね」

 あすかがそのことに少し同調した。

「大まかな流れを決めて実践、細かなところはあとでやりましょう」

「そうしましょう」

すると生徒会室のドアのノックする音が聞こえた。

「失礼します」

「あれみんなどうしたの?」

 ダンス部の部員が突然、生徒会室に入ってきた。

「いや何ていうか、そのかんなさんだけに任せておくわけにはいかないし、そのやっぱり私たちも協力しないといけないなと思ったんです」

「そうだったのね、ありがとう」

 ダンス部員たちはこの学校変革プロジェクトに協力していこうという気持ちになった。

「私たちたくさんアィディアだすので生徒会の皆さん、それから吹奏楽部の皆さんもお願いします」

「こちらこそよろしくね」

「はい、お願いします」

 かなはウエルカム精神で挨拶をした。

 ダンス部員も挨拶をした。

「お願いします」

「よろしくです」

 多賀谷、上村も挨拶をしていた。

「みんなで頑張りましょう」

 りながみんなに呼びかけた。

「俺たちが創りあげて頑張ろう」

「そうと決まったらさっそく話し合いましょう」

 あすかがいつも通り、司会をつとめ進行を進めた。

生徒会メンバーや吹奏楽部メンバー全員がお互いに鼓舞をあげていった。

「とりあえず重たい楽器の人たちは階段ののぼりおりが大変だから、外からスタートはどうですか?」

「それいいかもです、まあどれも重たいですが、比較的持ち運びができるような楽器の人たちが校内スタートでいいですね」

「それいい提案です」

副部長の上村ゆかりがかなの提案に興味を持った。

「そうすることによって、スムーズに校内の中を動けますね」

 りなが嬉しそうに話していた。

「あとダンスなんだけどさ、曲に合わせて踊るのに普段吹奏楽が弾いている曲でリズムに合わせて踊れるかとか不安というのもあるかも、多賀谷さんちなみに使う曲なんでしたっけ?」

 かんなが多賀谷に質問して確認をした。

「『宝島』ですね」

「あの『宝島』ですか?」

「それしかないだろ」

かなが田辺にすかさずツッコんだ

「あの曲すごい良い曲ですよね、私好きなんですよ」

「りなちゃん好きなんだね、りなちゃんもなんか楽器やってなかったけ?」

 あすかがそういえばという感じでりなに聞いた。

「はい、サックスやってますね」

「おお、そうだったんですか」

 多賀谷が、すごい驚いていた

「何年間やってるんですか?」

「もう8年くらいですかね」

「長いですね、ぜひ吹奏楽部へ」

「ありがとうございます、まあでも今は習い事でやってるので部活だとなかなか、生徒会もあるので」

「そうですよね、忙しそうです」

 多賀谷は残念そうであったが、りなの今の学校生活にむしろ同感した。

「かなちゃん重要なこと聞いてもいい?まあ重要かどうかは別だけど」

 あすかがふと思いついたかのようにかなに質問をした。

「はい、どうぞ」

「その、生徒会の私たちの具体的な役割とかは決めなくていいのかなと、もちろん運営していく側なのは分かるんだけど、役割分担みたいなのがほしいなと」

「あっそれですね、あすかさんの言う通り運営側ですので決めていきましょう、まあ例えで言うならば、テーマパークのスタッフさんみたいなものですね」

「おお、言い例え、かなちゃんが好きなテーマパーク系でだしてきたね」


「まあそっちのが分かりやすいかなと思ったので」

「分かりやすいありがとう」

「もうここで担当決めちゃいます?吹奏楽部とダンス部もいるので事前に分かった方がいいかなと」

かなが生徒会の運営の役割を決めることに全員に提案した。

「おお、その方がいい、俺も今決めてもらったほうがいいし」

「分かった、いくつかいろいろ考えてたんだよね」

「おお、さすがかなちゃん」

「さすがです、かな先輩」

 りなとあすかがかなに感心していた。

「まず吹奏楽部とダンス部の誘導をやりたい人?」

「かなこれさ部活の誘導一人でやるの?2人に分けたほうがいいと思うよ」

「ああ、人数分けたほうがいいかな」

「うん、その方がいいと思う」

「多賀谷さん吹奏楽部は部員何名いるのですか?」

かなが多賀谷に吹奏楽部の人数を聞いた

「人数は45名ですね」

「45人多いな吹奏楽部」

 かなりの人数にかなは驚いていた。

「そうなんですよ、いつも全員来てるわけではないですが」

「すごい賑やかそう」

 かなはさらに人数が多いので、ちょっと楽しそうということを口にした。

「はい、すごい楽しいですよ」

 多賀谷がわくわくしながら話していた。

「じゃあ、吹奏楽部の誘導誰やる?」

「私やります」

「かんながやる?ダンス部の誘導担当はどうするの?ダンス部はかんなでいいんじゃない?」

「まあたまには違う感じのがいいかなと、ということで吹奏楽部の誘導します」

「私はそしたらダンス部やるね」

あすかがダンス部の誘導を希望した。

「あすかさんわがダンス部をお願いします」

「はい、頑張ります」

「そしたら俺は何やろうかな」

「そしたら田辺も誘導でよろしく?」

かなが田辺の担当の役割を決め、田辺に聞いてみた。

「ああ、いいよそれで」

「ありがとう、まあみんなほぼ誘導になると思うしね」

「私はそしたら何の役割がありますでしょうか?」

 りながかなに尋ねた。

「りなちゃんも誘導、もう一つはアナウンスをお願いします」

「分かりました、頑張ります」

「これで生徒会の役割なんとか決まったね」

 かんなが嬉しそうにほっとしていた。

「では改めて私から役割をもう一度伝えますね」

 かなが改めて伝えた。

「吹奏楽部の誘導担当は和田かんなさんです」

「お願いします」

「はい、頑張ります」

 かんなと吹奏楽部の多賀谷と上村が挨拶した。

「続いて、ダンス部の誘導担当は小林あすかさんです」

「あっお願いします」

「よろしくね」

 あすかも同様にダンス部の部員に挨拶した。

「あすかさんわがダンス部をお願いします」

「はい、お願いされました」

 かんながあすかに改めてまた挨拶をした。

「もう一人誘導担当が田辺優斗という男の子ね」

「お願いします」

 全員は挨拶をした。

「最後は浅見りなちゃん、説明やアナウンス、誘導です」

「お願いします」

「お願いします」

 全員は改めてまた挨拶をした。

「これで、担当と当日の流れは決まりました、パフォーマンスなど細かな演出を決めていきましょう」

 あすかがまた改めて進行をした。

「そっか細かい演出なども決めないともいけないですもんね」

 あすかとりな2人が話をしていた。

「だね、難しい」

 

  生徒会メンバーとダンス部、吹奏楽部はしばらく話を進めた。


 同じ頃、職員室の先生は部活動や校務分掌などを行っていた。学校変革プロジェクトはほぼ生徒会主催でやっているものであるから、先生たちはあまりこれに関わってはいなかった。関わっているとすれば校長の早川のみであった。しかし、かなたちがやろうとしているプロジェクトの反対派の先生がいた。鹿島と上田、大森だ。この3人がまたもや何かをやろうとしていた。

「鹿島先生、アンケート結果集まりましたよ」

「ありがとうございます、上田先生」

「これを職員会議で発表するんでしょ?」

 大森が鹿島に聞いた。

「そうですね、そのつもりです」

 3人はいつも通り、理科準備室で話をしていた。

「アンケートの結果を見るとさ、なんか半々でちょっと反対が多いだけで、これ大丈夫かしら?」

大森がちょっと心配していた。

「そうですね、そういう感じです、あとあえて賛成のアンケートを反対に修正して持っていくのはどうでしょうか?」

 鹿島がアンケートについてのことを提案した。

「大丈夫かしら、それ?」

「ちょっとそれだとやばくないですかね?」

「まあ、もし何かあれば私が責任取りますよ」

 鹿島の提案に上田と大森が心配していた。



「じゃあ楽器はクラリネットやサックス、トランペット系の楽器などが軽く運べる系が校内で先に吹いていき外で合流する形でいいですかね?」

「はい、大丈夫だと思うよ」

「はい、まあ」

「うん?りなちゃんどうしたの?」

「いやその何というかいない楽器でもし演奏するとなったらそのパートだけやらないとなるとメロディがちょっと狂うような」

「確かにそうですよね、部長なのにそこ気づいてなかったです」

 多賀谷がりなから言われたことに気づいた。

「はい、なので全部の楽器一緒にスタートする方が良いかもですね、もちろん重いのは承知の上ですが」


 りながメロディが崩れてしまうので、全ての楽器が校内スタートにすることを提案した。

「なるほどね、そこ重要な所だね」

 あすかがりなからそう聞いて納得した。

「多賀谷さん、それでどうですか?」

 あすかが多賀谷に尋ねた。

「そうですね、部員にはこれから話すと思うので大丈夫だと思います、明日また土日練習があるので、その時に一度どんな感じに運ぶかやってみます」

 多賀谷が部員にこれから話すということを言い、実際にどんな感じになるかをシュミレーションするみたいだ。

「了解です」

 あすかがそう返事をした。

「ダンス部にも再度みんなに伝えてみるね」

「かんな分かったよ、ありがとう」

「いろいろ決めることありますね、大変ですが」

 りながちょっとイベントのようなもの自体を準備することが大変だと言った。

「そうだね、まあこれが大きなものを創るということだから、ここまで苦労しないと始まらないよ」

「かな先輩かっこいいです」

「照れるよ、そんなこと言われたら」

  かなはりなに褒められたが、褒められ慣れてなかったので反応に困った。

「もう18時か、じゃあ今日は解散で、多賀谷さん、上村さんありがとうございました」

  あすかが時間を確認して解散の合図をだし、多賀谷と上村にお礼を言った。

「はい、またお願いします失礼します」

  多賀谷と上村があすかたちに挨拶をして、生徒会を出て行った。

「あれ、なんか今音しなかった?」

  あすかが音がした方に反応をした。

「いや、特に何も」

  かなは音に気付かなかった。

すると生徒会室のノックする音が聞こえた。

「はい、どうぞ」

「失礼します、私、チアダンス部部長の上条ゆかと申します、こちら生徒会室でお間違いないでしょうか?」

「はい、そうですがどうされましたか?」

「学校変革プロジェクトをやっていると聞いてその一環で吹奏楽部とダンス部が部が活動すると聞いて、可能であれば私たちチアダンス部も一緒に参加することはできないしょうか?突然で申し訳ないのですが」

 「ああ、そういうことですね、チアダンスってこの学校にあったの知らなかったです」

  かなはチアダンス部があったことに少し驚いた。

「実は少しの間休部していて、四月の部活のパンフレットは今回出てなかったんですよ、たまたまその話を聞いて面白そうだなと思ってぜひ協力したいなと思うのですが どうでしょうか?」

チアダンス部が急遽、生徒会室へとやって来て、かなはちょっと戸惑いはあったが一

緒に協力できるかと思い、少しワクワクしていた。

 「ぜひ、やりましょう」

 「朝倉、まじで一緒にやるの?」

 「うん、そうだけどなんか面白い企画が生まれそうじゃん」

 「新しい企画が完成するかもですね」

 りなもかなと同様に少しワクワクした。

 「じゃあ、明日また考えよう、もう時間だし学校でないといけないし」

  かなは明日また考えることを提案した。

 「ですね、最近夜になることが多いですもんね」

  りなが最近の生徒会は夜になることが多いということを言っていた。 

新たにチアダンス部も来て、学校変革プロジェクトは新たなことを生み出そうとしていた。

  生徒会、吹奏楽部、ダンス部、チアダンス部は、解散した。

  


 「よし、じゃあいつも通り帰ろうか」

  あすかがいつものように、生徒会メンバーに声をかけていた。

 「はい、まあまだまだやることはありますが、頑張りましょう」

  かなは、これから頑張っていこうという気持ちで、意気込みをかけた。

 「ですね、かなり進みましたね」

 「だな、まだやることはあるけどな」 

 りなは今日のミーティングでちょっと満足していたが、田辺は少し不安そうたった。

「ダンス部が協力的になって良かったと、私はほっとしてる」

かんなは、はじめのダンス部のことで、急展開したことに本当にほっとしていた。

「ああ、だよね、まさかあんなにすぐに変わると思ってなかったけど、びっくりしたよ」

  かな自身もそのことに驚愕していた。

生徒会メンバーは全員解散し、かなはいつも通り行きつけのカフェへと向かった。


「じゃあまた明日ね」

「じゃあ俺もこっちなので」 

「かなさん、かんなさんお疲れ様です」

  あすかと田辺とりなの3人は一緒に帰宅した。

「お疲れさまみんな」

かなは生徒会メンバー全員に挨拶した。

「かな今日もいつものカフェ行く?」

  かんなはかなにいつものカフェに行くかを確認した。

「うん、そうだね」

「私も行っていい?」

「うーんまあいいよ」

「うーんって何よ」

「何ていうか、今日は一人になりたかったからね」

「まあいいじゃん」

「分かったよ」

かなは一人になりたい気分であったが、渋々、同意をした。

「かなの行きつきの店のドリンクやっぱりおいしいから好きなんだよね」

「たしかに、おいしいよね、あそこはかなり落ち着くしさ」

 かなとかんなの2人はカフェに着くまでの間、会話していきながら向かった。

「学校がこれからどう変わるんだろうね」

「うん?急にどうしたの?」

 かなが突然かんなに切り出した。

「そのまあ何ていうか学校全部を変えようと思って動いてもそこにいる人たちが変わらないと意味がないかなと思ってね」

「うーんそれはかな次第だと思うよ」

「私次第?」

「うん、そうだよ、だってさ確かに環境を変えて変わらなかったとしても、それをやらないで行動しないよりかましでしょ?」

「まあね、何もしないで結果残さないより、ちょっとでも何かをして結果残したほうがいいとは思うよ」

 かんなはかなに何もしないよりは何かをする方がよいとアドバイスをした。

「かんなの言う通りだね」

「まあいろいろ考えてしまって心配だよね、あっ着いたよ」

「いらっしゃいませ、こんにちは、かなちゃんとかんなちゃんお疲れ」

「立山さん久しぶりです」

「かなちゃん久々だね、かんなちゃんも」

「久々ですね」

「じゃあいつものアイスティー用意するね、かんなちゃんは何だっけ?」

「アイスカフェラテでお願いします」 

「あっ分かった、2人とも学校はどう?」

「相変わらず、生徒会が忙しいですね」

 かなが生徒会で忙しいことを話した。

「あっ生徒会か、勉強もやりながらだから大変だね」

「はい、最近は生徒会ばかりでばたばたしている状態です」

「なるほどね、かんなちゃんも同じ生徒会なの?」

「そうです、ちなみに私部活もやってるんですよ」

「何の部活やってるの?」

「ダンス部ですね」

「おお、ダンス部いいね」

「私、高校にダンス部なかったからさ、むしろ羨ましいなと思う」

「そうだったんですか、ない高校もありますもんね」

「うん、そうだよね、またいろいろ聞かせてね」

「はい、ぜひ」

「ぜひ」

かなとかんなは立山との会話を楽しみ、席へと向かった。


「かな今日なんか空いてるね」

「まあ、平日の夜だしさ」

「確かにそうだね、そういえば、かなは田辺のことどう思ってるの?」

「わっいきなりだね、別になんとも思ってないよ、かんなこそ誰か好きな人いないの?」

「私はそうね、あまり恋愛とかはするつもりはないな、去年付き合ってたけどね」

「えっ誰と?」

「ああ、たぶん知らないと思うけど、3組の小沢海斗というスポーツバカだよ」

「あっ知らないな、ちなみにさ聞いていいか分からないけどどうして別れることになったの?」

「ああそこ聞いちゃったか」

「あっごめん、そのなんか気になってしまって」

「そんなにたいした理由ではないけど、スポーツバカだし、スポーツはすごいんだけど、空気読めないし、しかもバカだからね、顔はまあまあいいんだけどあいつと歩いてるとちょっと恥ずかしくてね、そういうのもあり私から別れを切り出したの」

「なるほどね、まあそういう人なら別れても良かったんじゃない?」

「まあね、私もダンスも生徒会もあるからそれどころでもなかったけどね」

「そっか私なんてそんなこと全然考えてなかったな」

「恋愛は興味ないの?」

「正直あまり興味ないかな、そういうの分からなくてね」

「周りからはアプローチされたことある?」

「あるけど断ったりしてるね」

「そうなんだね、かなに足りないのは恋愛かもね」

「もううるさいな」

「かなはさ、勉強もできるし生徒会の仕事もいろいろできるけどさ、恋愛の偏差値低いからな」

「そこまで言われるとなんか萎えるな」

「そんなに落ち込まないでよ」

「まあ、頑張っていこうよ」

「ありがとう」

「ちなみにさ、りなちゃんはあんなにかわいいのに彼氏とかいないのかな?」

「ああ、りなちゃんはいなかった気がする、サックスの習い事と習字で忙しいみたいだからさ」

「そっか、習い事を習ってるとそういう風に忙しくなるか」

「そうみたいだね、やること多いね、ちなみにかなは来年進学とか?」

「ああ、私はあまり決めてないな、何をしたいか分からなくて」

「なるほどね」

「かんなは決めてるの?」

「私は専門か大学、留学迷ってて、どうしようかなとダンスで生きていくといってもプロになれる保証はないからね」

「まあね、いろいろ考えてるんだね」

「だって来年三年生でしょ」

「まあね、早いよね、あすかさんは国立志望だからね」

「すごいよね」

「国立行けるくらいの頭あればいいのに」

 かんなはちょっとうらやましい感じであった。

「今から頑張ればいいじゃん」

 かながちょっと後押しした。

「今からか、まじで毎日のように本気で勉強しないときついね、国立だし、一年前からでないと私の場合は間に合わないし」

「なかなか難しいしね」

「うんうん、まあ、いろいろ頑張ろうよ、大切なのは今を生きることだと思うよ」

「良いこというね、かな」

「照れるやんそんなこと言ったら」

「正直さ、学校変革プロジェクトをかながやると言った時、まさかこんな大きなことを生徒会がやるんだなと思って驚いてたよ、もしかしたらこれをやるのは無理なんじゃないかとか」

「そんなこと思ってたんだね」

「うん、私さこう見えていろいろ気にしてしまう性格だからさ」

「かんならしくないな」

「私も最初は不安だったよ、全校集会で話した時は怖かった

し 私を白い目で見てた人は少なからずいたと思うからさ」

「うんうん」

「それでも、今は何個かの部活動が協力してくれて本当にありがたいなとも感じたしさ」

   かなは、今の想いをかんなにぶつけた。



「昔から何か新しいことをやろうとして失敗もしたし、今回もダメなんじゃないかと思ったんだよ、それが嫌で嫌で、でも変えないといけないという気持ちがあったから今は強い気持ちが来てる」

「かなその想いを忘れずに頑張ろう」

「うん、頑張ろう」

かなとかんなはお互い手を握りしめてお互いに目を見つめていた。

「よし、じゃあ帰ろうか」

「うん、帰ろう」

   2人はカフェブラウンをあとにした。

   

湘南北風高校もあと少しで、ゴールデンウィークに入るところであり、生徒たちは中だるみで、遅刻する生徒も目立った。

  「おい、予鈴なるぞ、早くしろ」

  「早くいけ」

  「分かったよ、今から急ぐよ」

   遅刻してる生徒は教師に言われるがままに急いで教室へと向かった。

   生徒が教室へと入り、教師たちはいつも通り職員室で職員会議をしていた。

  「では、30分になりましたので職員会議を始めます、おはようございます」

   教頭がいつも通り、職員会議の進行を進めた。

  「今日はですね、ゴールデンウィークが始まるので、生徒たちに十分安全に注意しながら過ごすことをお伝えください、それから先生たちで部活動の遠征に行かれる方は届け出をだしてください、ではそれぞれの担当の先生から何かあればお願いします」

  「おはようございます、卒業アルバムに掲載する写真などあれば再来週までに木下の机まで提出お願いします」

  「おはようございます、環境についてですが、環境週間に明日から入るので、本日放課後、環境委員の生徒には伝達お願いします」

  「では、他になければ終わります、それぞれの学年で打ち合わせしてください」

  「あの、教頭先生よろしいでしょうか?」

   鹿島が職員会議が終わったところを見計らい教頭に声をかけた。

「はい、何でしょうか?」

「ちょっと学校変革プロジェクトについてのことでお話があるのですが」

「どんなことでしょうか?」

教頭の国木田が鹿島に質問内容を尋ねた。

「まあ、ちょっとしたことなのですが、学校変革プロジェクトについての実施アンケートを行いまして、これの結果をお伝えしたいなと」

「あまり時間がないので、まきでお願いします」

「分かりました、実は先生方にアンケートを取らさせていただきました、それで結果なのですが、反対の人たちが60人近くいて、賛成が30人でした、この人数から分かるようにやはり学校変革プロジェクトをやるべきではないかと思うのですが」

   

すると他の先生の何人かがざわめきだした。

「えっそんなにいたとは思わないけどな」

「何であんなに多いの?」

「俺は少なくとも反対してないな」

「私もだけど」

何人かの先生が疑問を抱いていた。

「それで、このアンケート結果で何をしていきたいのでしょうか?」

「はい、それはですねこのアンケートから分かるように、先生方の意見を反映していきたいなと思うのですがね」

鹿島が悠々に語っていた。

「はい、ですがもうこのプロジェクトはすでに進んでいますし、今からこれを止めることはできないのですが」

  教頭が現状を鹿島に説明した。

「でも、それってちょっと勝手すぎるのではないでしょうか?」

「ですがすでに校長が決め、そうなりましたので難しいと思います」

 教頭が、呆れ気味に伝えた。

すると校長の早川が職員室に入ってきた、いつものように職員会議に参加予定ではあったが、電話が長引いてしまっていた。

「鹿島先生あなたは何をしたいのですか?」

「あっこれはこれはおはようございます校長先生」

「この学校変革プロジェクトは進めるつもりですし、ここでやめるつもりはございません」

「ではあなたのその独断の考えで誰かがついてくるとお思いですか?」

「私は決して、独断で決めているつもりもございません、生徒会の意思を尊重しております」

「でも実際は学校の教師の何人かがこのアンケートで反対しているわけですが、それでも話を進める気でしょうか?」

校長の早川は少しの間、黙ったがそのあとにすぐにまた話し始めた。

「おっしゃる通りですが、これからの学校全体を変えるためにはやらなければいけないことがあります、アンケート結果などで結果が割れたとしても判断は校長と教頭にあります、いろんな意見がありご不満でしょうが、方向性は変えるつもりはないです」

「校長先生、そのような感じで強気でよろしいのでしょうか?あなたのその独断での学校経営を報告してもよろしいのでしょうか?」

「報告ですか?」

「はい、あなたのその独断の学校経営を教育委員会に伝えることができますよ」

「私は、生徒の意見を尊重し、さらに他の先生にも協力を得ていますよ」

「でも、こういう現状であなたが今しっかり全体を統制できているかが疑問ですね」

「鹿島先生、もうやめてください」

 教頭の国木田がとめにはいった。

「まあ、どうなるか覚えといてください」

 鹿島は悔しさのあまりそのような言葉を言った。

 予鈴が鳴ったので、教頭の国木田が先生たちに呼びかけた。

「先生方、ホームルーム教室へと向かってもらって構いません」


鹿島も予鈴とともに教室へと向かった。

すると、上田、大森が鹿島に話しかけた。

 「鹿島先生、アンケートをあんなに修正しちゃって大丈夫かしら?」

 「確かに、あれだとちょっとまずかったかもしれないですよ」

  大森と上田がちょっと心配していた。

 「まあ、あくまでアンケートなので大丈夫でしょう、まだ打つ策はありますからね」

  鹿島は他にも方法を考えていた。

「なら良かったわ」

 「はい」

 「とりあえずそれに向けて作戦を立てましょう」

  大森、上田、鹿島の三人はかなたちの学校変革プロジェクトを止めるための作戦を考え練ることにした。

「私たちも早く急がないと遅刻するわよ」

「ですね、行きましょう」

  鹿島、大森、上田は急いでホームルーム教室へと向かった。


授業の休み時間、かなは窓を向いて考えごとをしていた。

「はあ、疲れたな」

「何窓なんか見てるの?」

「あっいや特に」

  話かけてきたのは、同じクラスの栗山千秋だ、ショートヘアをしている。

「ねね、そういえばさ、かなが学校変革プロジェクトを考えたんでしょ?」

「うん、そうだよ、凄いね」

「そんなことないよ」

「他にも何か仕かけようとか考えてるの?」

  栗山は興味本位でかなに聞いてみた。

「まあちょっとは考えてるよ」

「そうなんだ、あのさもし可能だったらなんだけど、この学校の「校則」変えてほしいとか言ったら実現できるのかな?」

「うーんそこはどうだろう校長とかの判断だしちょっと難しいかなと思うな」

「でもさ、実現できたらよくない?」

「まあね、どんなことを変えたいの?」

「例えばさ、ついこの前話題になったんだけど、近くの神奈川立海風高校なんてさ、公立なのに、「校則」がさゆるくて、制服が自由、私服もいいらしくて、髪型も特に何も言われなくてね、さらに担任制がなく、テスト、宿題もないんだって、修学旅行とかも生徒が決められるという、「校則」もだけど学校全体がそうみたいで」

「なんか聞く限りすごいね」

 かなはそれを聞いて驚いた。

「そうそう両親が一応どっちも先生でもあるから、情報がたくさん来るんだよね、今私が言ったこととか、実現できたらいいなと思ってるんだけど、生徒会にさちょっと今回のやつが落ち着いたら言ってみて」

かなは栗山から言われた案を持ち帰ることにした。

「ちょっとさ考えてみてよ」

「分かったありがとう」


放課後になり、生徒会メンバーは打ち合わせを始めた。

「はい、じゃあゴールデンウィークの打ち合わせを始めます」 

 あすかがいつも通り、進行を進めていった。

「練習日はゴールデンウィーク期間のうち、4日間だけ行います」

「えっ変わったのですか?」

 吹奏楽の多賀谷が驚いた顔つきをした。

「すみません、急遽日程が増えたんですよ」

 あすかが申し訳なさそうに言った。

「まじですか」

 多賀谷がちょっと残念そうにしていた。

「そうなんですよ」

「練習時間の日程や期間などちょっと顧問の先生と上村さんと相談して決めますね」

「すみません、ありがとうございます」

「ダンス部も練習時間の調整はできそうです」

「かんなちゃんありがとう」

「いえいえ」

「あと言い忘れてたんですが頭につけるタイプのシーバーって学校で借りれましたっけ?」

 かながあすかに聞いた。

「借りれたと思う、聞いてみるね」

「ありがとうございます、お願いします」

 かなはあすかにお願いをした。

「あと学校でやります、暑いかもしれないから水分も取ってくださいね」

「あっ分かりました、ちなみに吹奏楽部は練習で一日だけお休みであとはずっと行くんですよ」

 多賀谷が答えた。

「ほぼ毎日だね?それと今回のプロジェクトってかなりきついね」

 あすかがちょっとだけ心配した。

「まあ、楽しいので、いいんですけどね」

「いいね、私なんて受験勉強しながらだからね」

 あすかは勉強との両立について話していた。

「おお、それは大変ですね」

「なかなか大変だよ」

 多賀谷とあすかが少し雑談をしていた。

「時間は私も少し考えたんですが午前中からでいいですか?」

 かなが全員に聞いた。

「いいよ」

 あすかが答えた。

「あっ田辺は朝強いの?」

 かながちょっと田辺を気にかけて聞いた。

「まあ、大丈夫かな、朝とかよくマラソンしてるし」

「そうなんだ、それは意外」

「私、朝弱いですね、でも頑張りますね」

「そしたら、私が電話して起こしてあげるから」

「えっありがとうございます」

 りなが朝起きれるか不安と言ってたので、かながりなに電話で起こすことを考えていた。

「俺は?」

「お前は自分で起きろ」

「何でよ、ずるいよ」

「まあまあ、2人とも喧嘩しない」

 かんながかなと田辺の仲介役に入った。

「皆さんとりあえずこの流れでよろしいでしょうか?」

「はい、大丈夫です」

 全員が同意をした。

「あっあすかさん今気づいたのですが、チアダンス部がいないですね」

 かんながすぐに気づいてあすかに伝えた。

「あっほんとだ、じゃあ少し待つ?」

「そうしましょうか」

「あの、私もまだいたほうがよろしいでしょうか?」

「あっ練習行っても大丈夫ですよ」

 かなが吹奏楽部の多賀谷に伝えた。

「分かりました、では私は失礼いたします」

「ありがとうございます、当日よろしくお願いします」

 あとからかなが多賀谷にお礼を言った。

 多賀谷も会釈をし、生徒会室を後にして、練習へと向かった。

「休み前の最後の集まりだから来てほしいよね」

 かながチアダンス部に来ることを期待した。

「ですね」

 

すると生徒会室のドアをノックする音が聞こえた。

「失礼します、遅れました、上条です」

「あっお疲れさまです」

 かなが先に挨拶をした。

「良かった来た」

「待ってました」

あすかとりなは上条が来たことにほっとした。

 生徒会メンバーは上条にゴールデンウィークの練習の流れを説明した。

「上条さん、ゴールデンウィ―クは4日間練習します」

「分かりました」

 かなたちは後から、来た上条に説明をし、本番までに情報共有をした。


湘南北風高校はゴールデンウィークに入り、むしろ生徒たちにとっては幸運であった。


ゴールデンウィークはかなたち生徒会にとっては仕事みたいなものであった。

「あいかわらず暑いね」

「まじで暑いです、夜マラソンで走るとしたら絶対ムシムシする」

 かなとりなは2人であいかわらず話をしていた。

「田辺、夜も走る予定なの?」

 あすかがちょっと田辺に質問をした。

「まあ、夜も走ろうかなと思って実践しようかなと思ってます」

「いいね」

「他の部活ってこれから来るんですかね?」

 りながあすかに聞いた。

「そうだね、これから来る予定だね」

 あすかがりなに伝えた。

「てか、朝倉と浅見、和田ティーシャツでいいのかよ?」

「あっまあ暑いしさ制服のワイシャツはあるし」

 かなが田辺に制服のワイシャツを持ってきていること言った。

「あっ私もそしたら、ティーシャツになろうかな」

 あすかが制服のワイシャツのボタンをはずし始めた。

「えっ今脱ぐんですか?」

「そうよ、なんか今エロいこと想像したでしょ?」

「いやしていないですよ」

 あすかがからかい気味に田辺に質問した。

「田辺なんか顔赤くなってるよ」

「なってねえよ」

かなが田辺をからかった。

「田辺の変態」

「いやらしいですよ」

 かんなとりなもちょっと一緒にからかった。

「俺、変態じゃないし」

 田辺はちょっとだけ言葉を返した。


「皆さんおはようございます」

「おはようございます」

「多賀谷さん、上村さん」

 かながすぐに反応した。

「すごい人数」

 田辺が吹奏楽部の人数に驚愕していた。

「すみません、すでに学校に着いてたのですがミニミーティングが少しあったんです」

 多賀谷は吹奏楽部のミーティングがあったことを伝えた。

「大丈夫ですよ」

 かなが問題ないことを多賀谷に言った。

 その後すぐにチアダンス部も来た。

「かなさん、おはようございます」

「上条さん、さらに部員の皆さんも」

 かながチアダンス部の上条と部員の人にも挨拶をした。

「おはようございます」

「おはようございます」

「おはようございます」

 チアダンス部全員が挨拶をした。

「すごい人数ですね」

「20名います」

「多いですね」

 りなが人数にびっくりしていた。

「あとまだダンス部が来てないな、ちょっと待って連絡してみる」

「了解」

 かんながダンス部に連絡を取ることにした。

「すみません、遅れました」

 ダンス部員が遅れて来たので詫びをいれた。

「ああ、ダンス部だ、とりあえず来れて良かったね」

 かながほっとした。

「かんなさん遅れました」

「もう、遅いぞ」

「すみません」

 ダンス部はちょっと遅れてしまったのでかんなにちょっと怒られてしまった。

「まあ、とりあえず全員これで揃ったからいいじゃん」

 かながそのあとフォローしてその場の空気を変えた。

「そうだね」

 かんなは笑いながらかなの方を向いた。

「じゃあ皆さん、整列してください」

 かなは吹奏楽部、ダンス部、チアダンス部に呼びかけた。


「じゃありなちゃんよろしく」

 かなはりなにはじめの挨拶と説明を頼んだ。

「はい、分かりました」

「皆さんおはようございます」

「おはようございます」

「おはようございます」

 りなが今日の流れを説明し始めた。

 その後に、吹奏楽部、ダンス部、チアダンス部の部員たちが挨拶をしはじめた。

「この度はお忙しい中、集まっていただきありがとうございます

 生徒会の学校変革プロジェクトの活動の一つで部活動合同企画を行うことになり、吹奏楽部、ダンス部、チアダンス部の3つの部で活動を行います、さらにこれはただのイベントではございません、休み明けに実際にやることになり、はじめはお試しですが、徐々にこれを湘南北風高校の行事として取り組む予定です、のちほど校長先生が来られます本日はよろしくお願いします」

「ありがとうございます、では続いて生徒会長の小林より挨拶がございます」

 かなが司会を務め、そのあとあすかが生徒会長の挨拶をはじめた。

「皆さんおはようございます、この度はお忙しい中お集りいただき、ありがとうございます、幸運にも快晴に見舞われ、よいスタートをきれたのではないでしょうか、さらに生徒会一同全力投球して頑張っていきますのでよろしくお願いいたします」

「ありがとうございます、それではこれからはじめていきます」

 

「では全体の練習は5分後に始めますで、もうしばらくお待ちください」

 かながそれぞれの部員に呼びかけた。

 

「りなちゃんありがとう」

 かながりなにお礼を言った。

「すごい緊張しました、人前で話すのあまり慣れてなくて」

 りなは全員の前ではじめて話をしたので緊張していた。

「まあこういうのは慣れだよね、私もはじめは緊張したからさ」

 かなは自分もはじめは緊張したということをりなに話していた。

「このあと全体で練習だけど、練習中に監督やプロデューサーみたいにいろんなことを伝えないといけないよね」

 あすかが今日の流れを共有した。

「ですよね、ああちゃんと伝えることができるか不安だな」

 かなが少し心配していた。

「まあ、大丈夫だよ、信じて自分を」

あすかがかなを勇気づけた。

「あすかさんありがとうございます」



その後、あすかとかんなは部活を誘導した。あすかはダンス部、かんなは吹奏楽とチアダンス部を誘導して並ばせた。

「かんな、あすかさんありがとうございます」

「いえいえ」

「いえいえ」


生徒会メンバーは準備を始めた。

全員は頭にシーバーをつけはじめた。

「よしじゃあ始めます、頑張っていきましょう」

 かなの合図で全員は「おお」と言った。

そして、ついに練習が始まった、生徒会メンバーはそれぞれの立ち位置に別れていた。

 

吹奏楽部、ダンス部、チアダンス部が並んでいた。

「部活の全体練習を担当します、朝倉かなです、本日はよろしくお願いします、では行進しながら一度やっていきましょう、はじめは校内なので、その後校内から徐々に外に出ていく感じでいきます」

 かなが全体の流れを説明し始めた。 


「ごめん、ビデオは誰が撮る?準備忘れてた」

 あすかがシーバーを飛ばした。

「俺が撮りますね、ビデオカメラあるので今朝倉の所に合流しますね」

 田辺があすかからのシーバーを返答した、そして田辺はかなの所に向かった。

「分かったよ、ありがとう」

 あすかは田辺にお礼を言った。

 

田辺はかなのいる校内にたどり着いた。

「朝倉着いたぞ、ビデオこれからまわしていくから、説明頼む」

「田辺ありがとう」

「おお」

 かなと田辺はお互いアイコンタクトをした。

「皆さん、お待たせしてすみません、これからこの横にいる田辺君がビデオをとっていきます、普通にパフォーマンスをしていただけたら大丈夫です」

「分かりました」

「分かりました」 

「分かりました」

吹奏楽部、ダンス部、チアダンス部の部員はそれぞれ返事をするとともに、真剣なまなざしで田辺の方を向いていた。

「じゃあ、今から始めます」

「了解」

「了解」

「了解」

 かなの合図とともに生徒会メンバーはシーバーで明るく返事をしていた。

「では、皆さんこれから始めます」

 そして、ついにかなも吹奏楽部、ダンス部、チアダンス部に合図を送り、パフォーマンスを開始した。

 はじめに吹奏楽部のホイッスルとともに、手を使って叩く楽器からスタートして、ダンス部、チアダンス部も一緒に手をたたき始めた。

 このパフォーマンスに使われた曲は、「宝島」だ。演奏とともにダンス部が横で踊り、さらにその横でチアダンス部も応援グッズ使い一緒に踊った。

 かなは、その光景を子供がはじめて飛行機に乗るかのようなまなざしで見ていた。

「(すごすぎる)」

 かなは、驚いて一瞬遠いところに行ったような感じであったが、すぐに我に返った。

「こんな感じのパフォーマンスに私が意見していいのかな」

「まあ平気だろ、お前が創りたいものを伝えろよ」

 かなはそれなりにうまい人にアドバイスをしていいものなのかを少し躊躇したが、ビデを撮っている田辺のその言葉に救われた。

「だよね」

 見ているうちに、あっという間に「宝島」のアルトサックスのソロパートに突入した。

「わっあそこだ、あそこ好きなんだよな」

「分かるわ、かっこいいよな」

「宝島」のソロパートの部分でかなと田辺はお互いに共感していた。

「なかなかすごい」

 かなは感想をひとり言のように言っていた。



あすかは吹奏楽部、ダンス部、チアダンス部が来る地点に立っていた。

 同様に、りな、かんなも3つの部活が来る校舎のところにいた。

「あすかさん、暇ですね」

 りなは立っていて、疲れていた。

「だよね、暇だよね」

 あすかもりなに共感した。

「しかも暑いですしね」

 かんなが太陽を見上げて言った。

3人がお互い同じような気持ちであった。

「あともう少しで来るはず」

 あすかはストップウォッチで計っていた。

「あっ来た」

かんながすぐに反応していた。

3つの部活がいっせいに校庭の方へきた。

吹奏楽部もちょっと横で踊りながら、やってきた。

  階段から一斉にやってきてパレード行進のような感じでもあった。

  校庭に着くと後半のパフォーマンスになった。

そして、「宝島」のバリトンサックスのソロパートのパートに入り、さらに勢いを増した。

  ソロパートが終わり、最後の演奏のパートに入っていった。

  ダンス部の踊りも勢いがあり、チアダンスもテーマパークのダンサーなどに負けないような踊りをして激しく盛り上げた。

  もうすぐ曲が終わるところで全員は一丸となり、終わる瞬間まで動き続けた。

「宝島」の曲が終わると、全員は互いにハイタッチをした。

「終わった」

  全員は終わった瞬間にかなり喜んでいた。

  生徒会メンバーも同様に喜んでいた。

「ちょっと一度、ビデオ見て考えましょう」

「そうだね、一度見て考えよう」

  かながビデオを一度見て確認していくことにした。



 「それぞれ部の代表を呼んできたほうがいいんじゃない?でないといろいろ共有して伝えられないしさ」

  あすかが、かなに部の代表を呼ぶように提案した。

「分かりました、そしたら呼んできますね」

  かながチアダンス部の上条ゆかと吹奏楽部部長の多賀谷恵奈と副部長の上村ゆかりを呼びにいった。

  するとかんなが先ほどダンス部が踊っていたダンスの動きについてちょっと気になったことを言った。

「全体的には良かったけど、やっぱりなんかかたい感じがして自然じゃないというかんじがしました」

「あれそれ私も思ったかも」

  あすかが、かんなと同じような視点を持っていた。

「あすかさんもやっぱりそう思ったのですか?なんかダンスの才能あるんじゃないですか?」

かんなはちょっと不思議そうにあすかに聞いた。

「ダンスやったことないから分からないよ、ビデオを見てから、もう一度見て確かめるけどね」

「なるほど、まあいろいろ考えましょう」

かながそれぞれの代表を連れてきた

「あすかさん上条さんと上村さん、多賀谷さんを連れてきました」

「かなちゃん、ありがとう」



「よしじゃあはじめよう」

 あすかがいつも通り進行をした。

「まず、みなさんやってみてどうでしたか?」

「はい、そうですねまあ、なかなか難しいところもあったと思うのですが、楽しかったです」

 吹奏楽部の部長の多賀谷が感想を言った。

「なるほど、ありがとうございます、楽しかったのならよかったです」

「はい、なかなかない経験でしたし」

「いいですね、私が踊り疲れましたね、でも率直に言うともう少しクオリティ上げたいですね」

「上条さんはやはりそう感じたんですか」

 あすかが確認するように上条に聞いた。

「はい、あれくらいのことをやるならもっとクオリティ上げたいです」

 上条は真剣な眼差しでそれを伝えた。

「そうですよね、そこは私も共感します」

 かなが上条の意見に共感し、かなも真剣な表情をしていた。

「あの、部のそれぞれの練習タイムは設けますよね?」

 かながあすかに質問をした。

「そうだね、それはそうするけど」

するとかながこうしていきたいということをみんなに伝えた。

「私から具体的に言ってもいいですか?」

「あっうん、どうぞどうぞ」

 あすかが承諾をした。

「はい、ありがとうございます、まずビデオみながら確認して言ってきますね」

    かなはここだと思い、ビデオカメラの電源をつけた。

「はじめの吹奏楽部の所の演奏する小さな楽器の人たちなんですがここは少し楽器を振る感じでいってほしいなと思います、「宝島」の演奏は全体的に良かったのですが、はじめの楽器演奏がちょっと盛り上がりがないなと思って」

    かなはビデオを見ながら意見を言っていった。

「前半の部分が一番大切になってくるので、ちょっとそこを意識してほしいと思います」

   かなは率直に意見をいい、周りはちょっとだけうなずいていた。

「分かりました、そこは意識します、その他にはございますでしょうか?」

   部長の多賀谷がかなから言われたアドバイスを受け入れた、さらに気になる部分があるか一応聞いた。

「そうですね、後半もやはり盛り上げていく感じで、ディズニーのパレードの行進をイメージしてみてください、」

「分かりました、かなりハードル上がりますが、頑張ります」

「ですね、やはり大きなパフォーマンスなのでそこは大きなものを創りたいですしね」

    かなは自分が今創りたいものについて伝えた。

「チアダンスはどうでしたか?」

    上条がかなに直接意見を聞いた。

「チアダンスは、いつも練習しているような感じで良かったですが、もう少し大きく動けるかなと思いました」

「なるほど」

    上条が真剣に聞いていた。

「私自身も、運動系については素人なのでなかなかすごいことを言えるわけではないですが、そこだけ気になりました」

「ありがとうございます」

    上条はかなにお礼を言った。

「あと、田辺の撮影してくれたビデオの取り方は良かったのですが、一台だけだとちょっと厳しいかもです、あと一人ビデオをやってくれる人がほしいですね」

「分かった、そこは調整する」

   あすかは人員の補充について考えることにした。

「ダンス部は私が意見を言うね、正直、ダンス部は全体的に良かったけど、細かい動きを少し修正していく必要があるなと、結局動きがかたいという感じだね」

 かんながダンス部のことについていろんな視点で伝えた。

「私もそう思ったよ、ダンス部まだまだいけるなと」

 かなはダンス部についてもまだまだ向上していくということを感じた。

「そうだよね、ダンス部員には部ごとの練習で伝えようと思う」


 りなと田辺は休憩場所で待機をしていた。

「浅見、なんか暇だな」

「ですね、あと少しで終わると思いますが、しかも暑いです」

「まあこの時期だしね」

 すると吹奏楽部の男子部員がりなに質問した。

「お姉さんとお兄さんは付き合ってるんですか?」

「そういう質問は」

 りなは顔が少しだけ赤くなっていた。

「そういう質問は受け付けてません」

 田辺がりなの代わりに言った。

「というかまだ始まらないの?」

「まだかよ」

  部活の男性部員から少しやじが飛んだ。

「もう少しだと思うのでお待ちください」

  田辺が男子部員に伝えた。



「私は「宝島」のソロのパートが一番盛り上がる所なのでそこをもう少し盛り上げていけばよいと思います、ちなみにソロのパートが好きなんですよ」

「アドバイスありがとうございます、部員に伝えます、ソロのパートいいですよね」 

副部長の上村はかなから言われた「宝島」のソロのパートの部分の所の盛り上がりを部員に伝えることにした。

「とりあえず、こんなところですかね?あとは全体的にやりながら途中とめていき、なおしていきましょう」

かなが上村にそう提案した。

「そうしましょう、では各部の個々の練習タイムにうつりますか」

   あすかが一旦改善点の共有を終えることを全員に伝えた。

「課題はありますが、全員で乗り切っていきましょう」

「そうですね、頑張っていきましょう」

   かなが全員に向けてエールを送った。


   かなは、ついにここからスタートがきれるのだということを感じた、まだまだやることはあるけども頑張ろうと思えた。

  

   吹奏楽部とダンス部、チアダンス部は朝のように全員集まった。

  あすかがこれからの流れを説明した。

「皆さん、本日は朝早くから全体練習お疲れさまでした、次は各部活ごとに集まり練習となります、あとは各部活の部長に従ってください、練習は今から30分~40分くらいとります、終わったっらまた校庭の真ん中あたりに集合してください、ではお願いします」

  各部活はあすかの話が終わってから一斉に散らばった。

「生徒会の皆さんは集合してください」

  あすかが生徒会メンバーを招集していった。

「あすかさん、私ダンス部の方に行ってもいいですか?一度伝えに行きたくて、またすぐ戻ると思います」

「あっいいよ、またタイミングで来れそうだったら来てね」

「ありがとうございます」

  かんなはダンス部の方に行った。

 

「お疲れ様です」

「お疲れ様です」

「あありなちゃん、田辺お疲れさま、さっきの時間ありがとう」

「いえいえ」

「いえいえ」

「じゃあ残ったメンバーでミーティングしますか、あれかなちゃんは?」

「すみません、遅れました」

「じゃあかなちゃん揃ったからミーティング始めましょう、今日はお疲れさまでした」

「お疲れ様です」

 かな、りな、田辺はまずはお疲れ様と言った。

「今日さ実際にやってみてどうだった?このまま運営いけるかな?」

「そうですね、少し誘導とかがちょっと大変になってきますね、シーバーもちょっと取りながらなので、対応しながら話すというのが難しいです」

今日のことをりなが率直に言った。

 「たしかに、そうね、なかなかシーバー使うのは難しいかもね」

  あすかがりなに言った。

 「お疲れ」

「早川先生?」

 「校長先生?」

  あすかとかなが驚いた顔つきをして早川の方を向いた。

 「そんな驚くことないじゃない?」

 「急だったので驚きましたし」

  かなが少し驚いていて、ちょっと早川に不思議そうであった。

 「どんな感じ運営の方は?」

  早川が生徒会全員に問いかけた。

 「ちょっと今日初日だったので、まあまあですね、ちょっと反省点はあるかもですが」

  あすかが早川の質問に答えた。

 「なるほどね、他にもパフォーマンスの時間とか誘導、細かい演出とかを決めるのもちょっとやってかないとよね」

  早川がパフォーマンスの細かい演出についてちょっと気になっていた。

「はい、でもまだ決めるのって間に合いますかね?」

  かながちょっと神妙に聞いた。

 「間に合わないかなではなくて、間に合わせないと、あなたが創るんだから」

  早川は心配するかなに少し強めの口調で次に進ませていくためにかなに喝をいれた。

 「そうですね、ここで弱音を吐いてる場合ではないですね」

 「そうよ、あなたならやれると信じてるから、私もこの学校変革プロジェクトに期待してるからさ」

  早川がかなを後押ししていった。

「ちなみに一番盛り上がる演出ってやっぱり「宝島」のソロパートでしょ?」

  早川が今度は演出について聞いた。

あすかが一番盛り上がるところを説明して答えた。

「ソロがやっぱり盛り上がります、サックスの所ですが後半で一番華があるところですね」

「なるほどね、時間とかは夕方からとかにしたら厳しい?」

  早川がパフォーマンスの時間を違う時間に変更することを提案して聞いてみた。

「えっ夕方ですか?」

  りなが早川に聞き返した。

「夕方の方がなんか夜校祭みたいな雰囲気でいいかなとおもって昼だとなんか三年生も授業ない人もいるし、授業ない三年生も夕方このために来れて楽しみかなと思うしね、前会った新山くんと神谷さん覚えてる?彼らにもイベントなどを協力してもらったりするから、明るい時間だとちょっとライトとか使えにくいかなと思ってね」

「なるほどです、ちょっと調整してみます、あとは他の部活の人にも聞いてみます」

「あっあとビデオ担当があと一人ほしいです」

  あすかが早川に要望をした。

「ビデオ担当ね、あなたたちの周りで見つからなかったら一応こちらで紹介しようと思う」

「分かりました、ありがとうございます」

  かなたちはとりあえず周りで誰かビデオ担当を探すことにした。

「お疲れです、ダンスの練習指導抜けられました」

「あらかんなちゃん?」

「校長先生、来てたんですか」

「そうよ、今日のパフォーマンスの練習見に来たのよ」

「あっそうだったんですか」

「ダンスどんな感じ?」

  早川がダンスの練習の様子を聞いた。

「まあまあですかね、なんとも言えない感じです」

「練習あるのみね、そこが大切ね」

「まあ今回私は運営に回るので、ダンス部は指導をしていくことですがね」

「指導も必要よ、指導者いないと練習だってままならないし」

「ですね、ありがとうございます」

  早川はダンスの出来が不安なかんなにアドバイスを送った。

「あとスポットライトとか当ててちょっと幻想的にしたいのよね、可能なら新山君と神谷さんを呼んでやってもらおうかなと思う」

「なんかかっこいいですね、了解です」

  田辺が早川の提案に関心を抱いた。

「でしょ、ありがとう」

「ちょっと考えてみて」

「分かりました、ちょっとだけ考えます、アィディアありがとうございます」

  かなは早川の提案をありがたく受け取り少し考えることにした。

「よし、じゃあ時間になったから行きましょうか」

  あすかがミーティングをお開きにして、全体練習へと向かった。

「はい、いきましょう」

  生徒会メンバーは向かった。


「皆さん練習お疲れ様でした、それぞれ部で練習してみて改善すべきところは見つかったでしょうか?この練習の成果をぜひ本番のパフォーマンスにいかして頑張りまし ょう、さて、実はさきほど校長先生がいらっしゃいました、皆さんの練習を見にきたのでぜひ気を抜かず頑張ってください、最後にあと一つだけ提案がありました、パフォーマンスの時間を夕方から夜にかけてやっていきたいと思うのですが、どうでしょうか?これは校長先生からの提案です」


かなが、話を始めると、部活のメンバーの中でざわめきが起こった。

「夕方から夜?」

「遅くない?」

「ちょっと勝手すぎない?」

「まあ悪くはないけどさ」

  かながそのあと話を続けた。

「無理なことだと分かっています、このために夕方から夜にしていくのもちょっと申し訳ないかなとも思っていますが」

  すると、吹奏楽部の多賀谷が突然立って発言した。

「あの、私はそれでもいいと思います、これが一生に一度しかないものだとしたら、一回それを夕方にやるくらいどうってことないと思います」

「部長?まじですか?」

  吹奏楽部の部員が多賀谷の発言に疑問を抱き、確認するような聞き方をした。

「でもこれくらいしないと、学校は変わらないと思うから、かなさん一緒に変えていきましょう」

「はい、頑張りましょう」

「私も自分たちができるようなことをしていきたい、夕方とかで少しでも学校に変革を与えていきたいです」

チアダンス部部長の上条が同様に発言した。

「ありがとうございます、皆さんの意見を鑑みて考えます」

  かなが上条と多賀谷にお礼を言った。

「では、皆さんこれから全体練習を始めます」



吹奏楽部、ダンス部、チアダンス部が集まり、全体練習が始まった。

「ではこれから、全体練習を始めます、今度は途中で止めるかもしれないです」

 かなが説明を始めた。

生徒会メンバーは配置についていた。

りな、田辺は校舎から校庭に移っていくところのエントランスにいた。

あすかとかんなはちょうど階段を下がっていくところの下にいた。

 「では、始めます」

  かなが生徒会メンバーにシーバーで全員に飛ばした。

 「了解」

  生徒会メンバー全員が「了解」と言い、ついにパフォーマンスが始まった。

  ドラムメジャーが先頭に立ち、そして曲が始まる、楽器の音と共に曲が始まった。そしてダンス部、チアダンス部の踊りも始まった。

 「宝島」の曲が始まると、パフォーマンスに一体感が生まれた。

 「すごい」

  かなは思わず、声をだしてしまった。

  曲が続いてるところだが、かなは前半の曲のところを止めた。

 「すみません、ちょっと止めますね、あの細かいのですが、ちょっと気になった部分を言いますね、皆さんもう少し笑顔でいきましょう、パフォーマーは笑顔ですよ」

 「分かりました」

  全員が返事をした。

 「では、途中からもう一度お願いします」

 「宝島」の曲が続きから始まった。

  行進とともに演奏者たちは、体を横に移動させて、楽器を横に移動させながらパフォーマンスをした。

  かなは、もう一度、曲を止めた。

「ちょっと一旦とめますね、吹奏楽のフルート、サックスの人たちもう少しステップを意識してください、あとはちょっと踊りながらでお願いします」

「なあ、さっきからさいろいろ提案してるけど、要求多いんじゃないの?俺たちそんなところまでやらないといけないわけ?」

「より大きなパフォーマンスにしたいので」

  かなは不満を吐かれながらも一心を貫いた。

「なので、一緒に協力してください」

  かなは自分の想いをぶつけた。

  部員たちは、黙ってその話を聞いて何も言わなかった。

「では、改めて続きから始めてください」

「宝島」の演奏が続きからまた始まった。

  校内の階段の所でここで踊りながら進んでいった。

  曲は、はじめの「宝島」のソロパートに突入した。

  そして、部活メンバーたちは、校庭へとうつるところであった。

「階段の所を通過、もうすぐ校庭へとうつります」

あすかは田辺とりなにシーバーを飛ばした。

「了解」

「了解」

  田辺とりなは、あすかからのシーバーに即返答した。

「宝島」のソロの後半にうつった、ここは校庭の真ん中でやりたいと思い、一番盛り上がるところであったので、かなは一番ここをこだわった。

「はい、ちょっと一旦ストップでお願いします、「宝島」のソロパートの時、周りの楽器の方もう少しアレンジ加えられますか?」

「アレンジですか?」

「どんな感じでですか?」

  吹奏楽部部員が質問をした。

「その曲のところがたんたんとしているので、演奏する時にちょっと自由に弾いてみてください」

「自由にですか?」

「はい、ちょっと演奏がかたい感じになってしまってるのでもう少しやわらかい感じでいいかなと思います」

「なるほど」

吹奏楽の楽器演奏者たちは、かなのそのアドバイスを受け入れた。

「なかなか、いろんな視点をいうね」

「あの人」

「そこまで追及するんだね」

 吹奏楽部の部員たちは口々に言っていた。

「宝島」の演奏が後半部分に入った。

「なかなかすごい演奏」

 かなは後半の演奏に感動していた。

 ダンス部のダンス、チアダンス部のダンスも盛大であった。

「(もうすぐ終わる、もう少し何かほしい)」

 かなは、パフォーマンスについて何かをもうちょっと付け加えたいと思った。


そして、パフォーマンスが終わった。

「皆さん、パフォーマンスお疲れさまでした、初日でいろんなことを要求してしまいましたが、このパフォーマンスを成功させたいと思うので、よろしくお願いします」

 すると、かなに対して強い意見が飛び交った。

「ちょっとよろしいでしょうか? 今日感じたことなのですが、これはプロの指導者の方を呼ぶ予定とかはございますでしょうか?」

 かなは一瞬、吹奏楽部の男子部員から質問があって一瞬、間が起きた。

 すると、あすかが代わりに答えた。

「現在のところはあまり考えてません、私たちはあくまで学校変革プロジェクトのために行っています」

 あすかが、そう答えると、さらにまた質問が来た。

「でも彼女はどれくらい楽器をやられてたんですか?そもそもそんなに楽器経験がないのならば、何で彼女なのですか?」

 楽器演奏などの経験などについて聞かれ、一瞬周囲は静まり返った。

「その点について言えば、私からも質問させていただきます? チアダンスやダンスの経験はございますか?」

 同様な質問をチアダンスの女子部員から質問された。

「経験はないです」

 かながそう答えると、周りもざわめき始めた。

「すみませんちょっとよろしいでしょうか?」

突然、りなが吹奏楽部、ダンス部、チアダンス部に質問を始めた。

「皆さんは、何かの経験がたくさんないものだと感じるのでしょうか?」

「そういうものでないと、やはり厳しいと思います」

 吹奏楽部の男子部員が回答した。

「たしかに優秀な熟練の指導者などは高いコンクールだったりなどを狙っていたりする場合には必要かとは思われますが、私たちは学校を変えるプロジェクトを行っていくわけです、それなのに勝つための練習などは果たして必要でしょうか?」

「でもただの素人が教えていたら、やっている人たちのスキルのこれからはどうなるんですか?」

 そのあと、りなに続いて、かなが答えた。

「皆さんのスキルはとても尊敬に値するものです、演奏やダンスなどの経験は一切ございません、なので、少し皆さんにとってはご不満かとは思われますが、パフォーマンスやエンターテイメントについてはいろんな形で触れてきました、人を喜ばせたり、楽しませること、さらにお客様を喜ばせる接客などをずっと続けてきました、さらにそのアルバイト先の接客でベストスタッフ賞を取ることができました」

かながそう話すと、部員の何人かのメンバーの顔色が少し変わった。

「私がこのプロジェクトを始めた理由は、かなり前の朝会で話したと思うのですが、学校全体の雰囲気が少し悪いのと何か一つでも学校の強みみたいなものがあればよいと思い、このプロジェクトを始めるようになりました、地域の方の期待にも応えていけるようにできたらとも思ってもいます、それって簡単のようで難しいものだとも思います

 すぐに信頼が回復するわけではないですし、さらに数字のように目に見える形で結果が伴うわけではないので、ちょっと難しい部分はあります、楽器を練習してすぐに上達もするわけでもありませんしね、もう一つ言うならば、このプロジェクトを始めるっていろんな人たちからの反対もありました」

 たまたま早川は校庭の隣の渡り廊下を通りかかり壁側で誰かが聞いていた。

「このプロジェクトは初めてだし、こんな少ない人数で難しいんじゃないか?とも思ったほどです、何かを練習するように毎日このことについて考えるほどです」

かなは、熱心にその話を語った。

吹奏楽部、チアダンス部、ダンス部の部員全員が話を一生懸命に進めた。

「ちょっと上からになってしまって、すみません、でもきちんと皆さんと一緒にこのプロジェクトを進めたいと思っております、なので協力お願いします」


「かなちゃん、その演説最高にいい、私も見習いたいな」

 早川がかなの全員に向けて話していた内容に感心していた。

「早川先生?もうパフォーマンスすでには終わってしまいましたが」

「ああ、でも窓から見てたよ」

「えっそうだったんですか」

 かなは、校長のその言葉に驚いた。

「うん、みんなすごい良かったよ、こんな大きなパフォーマンスやるんだなというところに私はすごい嬉しい」

 校長は部活のメンバー全員に向けて話をしていった。

「本当にすごいよ、うちの学校がまさかこんな大きなことをやるようになるとはね」

「早川先生、これからですよ」

 かなが早川にツッコんだ。

「ああ、まあそうだね」

 雰囲気が笑いに包まれていた。

「私は絶対にやれるはずだと思ってます、なので皆さん頑張りましょう」

 かなは、自分の想いをもう一度ぶつけ、全員に頑張ろうという気持ちを伝えた。


 練習が終わり、ついに解散となった。

「皆さん、本日の練習お疲れ様でした、また次回もよろしくお願いします」

 あすかが、最後終わりの挨拶を言い、練習が解散となった。



そして、部活メンバーがはけたあと、生徒会メンバーが残った。

「よし、じゃあ反省会やりますか?お疲れ様です」

 あすかがいつも通り司会を務めた。

「今日は初日ということで、まあちょっと大変だったけど、みんなどうだった?」

「まあ、少し疲れましたね、ずっと立ってたので足つっちゃいました、痛いです」

「浅見大丈夫か?」

 田辺が浅見の足を少し心配した。

「田辺意外と優しいんだね」

「意外ととか言うなよ」

かなが田辺をちょっとからかった。

「俺は、運営をもう少し頑張らないといけないと思いました、例えばもう少しきちんとまわせるようにしていくとかですかね」

「なるほど、準備をもう少ししていくことかな?」

「はい、そうですね、全体的に準備不足かなとも感じましたね」

「なるほど、まあ本当に直前だったしね」

 あすかは反省するべき具体的な点を田辺にヒアリングをした。 

「どんな所をもう少し準備していくべきだった?」

「例えば、ストップウォッチ、シーバーなどを事前に持っておいて、使い方などを把握したりですね、ちょっとやり方が分からなかったり、あとはある程度のタイムスケジュールの把握などですかね」

「なるほど、まあ確かにその日に決めるようなことがもしかしたら少し多かったかもしれないしね」

 あすかは納得して、田辺が言ってくれた反省点を意識した。

「ありがとう、かなちゃんとかんなちゃんは何かある?」

「そうですね、私は部活メンバーの方々が少しいろんな立ち位置や流れがあまり把握できてなかったかなと思っています」

「なるほど、どんなところ?」

「なんか、まあ普段の練習とはちょっと違う点もありましたし、はじめにインフォメーションを流しておけば良かったかなとも思いました」

「そういうことね、言われてみればちょっと私たち全体的に準備不足だったね」

 かんなは部活の人たちにある程度の立ち位置や流れを情報として事前に伝えておくべきだったと言った。

「ありがとう、かなちゃんは何かある?」

「うーんなんだろう、ちょっと思ったようにあまりやれてないような感じがしまして」

「そう?かなり頑張ってたと思うけどな」

「それはありがとうございます、でもイベントみたいなものって運営がしっかりしないといけないものだと思いますし、ちょっと運営全体が反省点かなと感じますね」

「なるほど、かなり全体的なところね」

「まあ、それってたくさんやって慣れていくところだと思うよ?」

「えっ校長先生いつのまに?」

「ああ、仕事終わったから今来たのよ、これは初めてだし何でも完璧にいくとは限らないからね、大丈夫だよ」

早川は、かなたちを励ましていった。

「ありがとうございます」

 かなは早川にお礼を言った。

「学校変革プロジェクトをはじめてから、今日までずっとこのことばかりで、成功するかどうかいろいろ考えちゃったりしたんですよね」

「まあ、確かに不安があるか考えちゃうよね、でも希望もあるわよ」

「校長先生がまさかの名言を」

「たしかにかっこいい」

 田辺が感心をした。

「かなさん大丈夫ですよ、必ず成功させましょう」

 りながかなを励ました。

「ありがとう、りなちゃん」

「かな、大丈夫、私たち生徒会がこの学校を変えるんでしょ?」

「そうだね、かんなの言う通り、私たちがやらないで誰がやるの?」

「私たちだね」

「かなちゃん、私たちはこれから新たなことをやる、批判もあるけどその批判を乗り越えてこそ、次への希望が生まれるんだよ」

「あすかさんも早川先生みたいな言い方しますね」

「そう?」

「はい、でもありがとうございます皆さん」

「俺たち仲間だろ、一人で抱え込むなよ」

 田辺がかなをもう一度励ました。

「おっおう、田辺ありがとう」

「いいってことよ」

「さてじゃあ帰りますか?」

 あすかが言った。

「帰ろう」

 かんながそのあとに反応をした。

「じゃあ今日は特別に車乗せていこう」

「えっいいんですか?」

 かなが早川に聞き返した。

「いいよ、あとご飯もいこう」

「まさかのご飯、ぜひ行きましょう」

 りなが嬉しそうに言っていた。





  吹奏楽部、ダンス部、チアダンス部の合同練習も終わり、ついに休み明けの本番まで2日を迎えた。



「皆さん、ついに本番まであと2日を迎えました、これまでいろんなことがありましたが、一緒に最後まで頑張って乗り切りきましょう」

かなが最後に、挨拶をした、さらに早川からも挨拶があった。

「皆さん、今日まで練習お疲れさまでした、これまでたくさんの練習で辛いこともあった とは思いますが、ここをぜひ糧にして頑張ってください、お疲れ様でした」

 早川の話が終わって、全員がはけようとしていた。

「あと最後にですが、当日の観客は全校生徒です、生徒の皆さんには教室の横で見てもらう感じです、最後に校庭に移動してしまうので、窓からみてもらう感じです、ちょっと見にくいかもしれないですが、最終的にはビデオにするので大丈夫だとは思います」

「ありがとうございます、では解散で大丈夫です」

 かなが部活全員に呼びかけた。

「ありがとうございました」

「よしやった終わったよ」

「さて、帰るぞ」

「おお帰ろう」

「帰りご飯いこうぜ」

吹奏楽部の男子部員たちが終わったので、騒いでいた。

部活メンバーが解散した後、新山と神山がやって来た。

「校長先生お疲れさまです、パフォーマンスで使うライトの調整をしたいのですがよろしいですか?」

「お疲れさまです、私もイベントで使う機会の音源を持ってきました、少しですが打ち合わせいいですか?」

「あっ新山くん、神山さん、お疲れありがとう、じゃあちょっとだけやりましょう」

 早川は新山と神谷と打ち合わせに行った。




 

「あの、かなさん今大丈夫ですか?本日はありがとうございました」

 多賀谷が直接かなにお礼を言ってきた。

「大丈夫ですよ、多賀谷さん?こちらこそ練習ありがとうございました」

「いえいえ、あのこれ手紙です」

「ああ、ありがとうございます、あとなんか練習中にいろいろ部員の皆さんにたくさん要求してしまってすみません」

「大丈夫ですよ、そんなこと気にせず、むしろあれくらいの方があの子たちにはぴったりかなと」

「それなら良かったです」

「まあ頑張りましょう」

「はい、頑張りましょう」 

多賀谷とかなはお互いに励ましあった。

 すると、誰かがかなの方に来た。

「部長、これ忘れてたよ」

「ああ、ゆかりちゃんありがとう、かなさん良かったらこれ生徒会の皆さんで食べてください」

 多賀谷が渡すお菓子を忘れてたので、上村が持ってきた。

「えっありがとうございます、みんな喜ぶと思います」

 

かなは多賀谷と上村にお礼を言った、多賀谷と上村はあとにした。

「かなお疲れさま」

「ああ、かんなお疲れ、なんか練習終わると気が抜けるね」

「確かにね、まあちょっと休むのも大事だよ、今日さカフェブラウン行こうよ」

「おお、行こう行こう」

 かなとかんなはいつものカフェブラウンに行く約束をした。

「久しぶりだし、行きたい、立山さんにも会いたいし」

 かなはワクワクしてかんなと行く約束をした。

「お疲れまです、かなさん、かんなさん」

「りなちゃんお疲れ様、りなちゃんもいろいろありがとうね」

「いえいえ」

「りなちゃんもカフェブラウン行く?」

「ええ、行きたい」

 かな、かんな、りな3人は一緒にカフェブラウンへと向かった。




3人は、カフェブラウンに着き、席をはじめに確保をした。

「よし、席とれたわ」

「あまり人いないね」

「じゃあ買いましょうか」


「こんにちは、わっかなちゃん、かんなちゃんとあともう一人かわいい女の子いるけど名前は何ていうの?」

「はじめまして、浅見りなと言います」

「りなちゃんね、私は立山愛華と言います、かなちゃんがよく来てくれてて、あとはかんなちゃんも最近来てくれてるの」

「そうだったんですか、じゃあ私も行こうかな」

「ぜひぜひ」

「立山さんがいると、いつも雰囲気楽しいです」

「かなちゃんありがとう、私もかなちゃんたちが来ると楽しいなと思う、いつもなんか笑顔になるんだよね」

「そんな言われると照れますよ」


3人は、話が終わると席へと向かった。

「とりあえず、お疲れ様です乾杯」

「乾杯」

「乾杯」

りなが乾杯を始めてから、かなとかんなが、そのあと乾杯した。

「まあ、カフェで乾杯ってなかなかないけどね」

「かな、たしかにそうだね」

「でもここはあえて行きつけの店でやりたいなというところがあるからね」

「かなの一番の行きつけの店だもんね」

「確かにいつのまにか行きつけの店になってたね」

「そういうの羨ましいです」

「私そういうのあまりないので、むしろかなさんがいいなと思います」

「なるほどね、りなちゃんもつくろう」

「はい、作ります」

 3人は、いろんな会話を楽しんだ。

「あっそういえば、吹奏楽部の多賀谷さんから手紙をもらったんだよね」

「お手紙ですか?なんかかわいいですね、小学校みたいで」

 りなが、小学生の時にも手紙などを書いてたりしてたので、あえて例えでそのように言った。

「ああ、たしかにそういうのうやってたわ、懐かしい」

 かんなが小学校の時、自身もやった経験があったので同じく懐かしがっていた。

「ねね、良かったら読んでくださいよ」

 りながかなに読んでほしいことを頼んでみた。

「ええ、恥ずかしいな」

 かなが多賀谷からもらった手紙をも読むのを少し恥ずかしがった。

「まあ、分かったよ」

かなは渋々同意をして、読むことにした。

「かなさんへ生徒会業務お疲れ様です、学校変革プロジェクトの一環として、私たち吹奏楽部に声をかけていただき本当にありがとうございます、まさかこのような大きなことをやるのを私は想像しておりませんでした、本当に嬉しいです、大きな期待や今後の湘南北風高校の未来を変えるかもしれないものなら私たちも大きな責任を感じます。私事ではござまいますが、今回のこのプロジェクトイベントが終わるとともに、私は吹奏楽部の部長を辞めるとともに、吹奏楽部も退部しようと思っています、まだ部員には相談はしておりません。退部理由は第一志望の国立大学に行くため、受験勉強に専念するためです。実は湘南北風高校は第一志望ではありませんでした、もっといい学校でなおかつ第一志望の学校にいきたいと当時考えておりました、今度は失敗したくないという気持ちがあり、このような決断に至りました、なのでこのプロジェクトイベントが終わるまではなんとか頑張ります」

 かなは、手紙を読み終えた後、ちょっと複雑な気持ちになった。

「なんか自分の将来のために、部活を辞めないといけない決断をしたのはかなり悩んだんだね」

「きっとそうだよね、私もそういう選択をしないといけなくなっちゃうのかな」

 かんなはちょっと来年のことを心配した。

「来年、私たち三年生だし、ただでさえ生徒会もやってるからなおさら他の人より忙しいし」

「でも、人によると思うよ」

「そうですよ、人によりますよ」

 かなとりなは、人によるということをかんなに伝えた。

「そうかな?」

「そうだよ、かんな考えすぎだよ、生徒会とダンスと学業両立してきたんでしょ?なら大丈夫でしょ?」

「そうかな?」

「あまり心配しなくても大丈夫だよ」

「だから頑張ろうよ」

「ありがとう、かな、りなちゃん」

「とりあえず今はプロジェクトイベントを頑張ろう」


「頑張ろう」

 かな、りな、かんなの3人はお互いを励ましあった。

 その様子をはじで見ていた立山はにっこりほほ笑んだ。

 

「よし、じゃあ帰ろう」

 かなが2人に言った。


そして3人は店をあとにした。




プロジェクトイベント当日、生徒会室で朝からミーティングを開いていた。


「おはようございます、今日の流れとかはみんな大丈夫?」

あすかがいつも通り司会を務め、みんなに確認した。

「この前の練習みたいな配置とかのことですかね?」

りながそのあとに確認して聞いた。

「うん、そうだね、配置とかあとはりなちゃんはアナウンスをしてもらうからその確認とかだね」

「なるほどです」

「あとはシーバーの使い方などをみんな確認しといてね」

「分かりました」

 田辺はシーバーの使い方を入念に確認した。

「かなどうしたの?」

かんなが、かなを心配していた。


「あっ大丈夫だよ、そのなんかちょっと心配でやっぱり」

「そっか、まあ気持ちは分かるよ」

「なんとか、」

するとかなは言葉を言いかけそうになった時に急に倒れてしまった。

「かな?かな?大丈夫?」

「とりあえず保健室に運びましょうか?」

あすかが、かなを保健室に連れていこうと言った。

そして、かなは保健室に運ばれた。



「(あれここはどこだろう?)」

「気がついたみたいね」


 保健室の教員である藤宮ゆりがかなに気づいた。

「かな?大丈夫?」

  かけつけていたかんながかなに話しかけた。

「ちょっとした疲れね」

  藤宮ゆりが言った。

「やはり疲労ですか」

  あすかも一緒に来ていた。

「あっプロジェクトイベントは?今何時?」

「大丈夫落ち着いて、今まだお昼だから1、2限の時間については先生に話しておいたから、心配しないで」

あすかがかなに伝えた。

「とりあえずかなちゃんはお昼休みは休んでてね」

「ああ、はいでももう大丈夫ですよ、3限はでれます」

「そう?あまり無理しないでね」

あすかはかなを心配していた。

「すみませんありがとうございます」

かなはなんとか3限の時間は出れるくらいの体力はあった。

「失礼します、かなちゃん平気?」

「早川先生?」

早川も保健室へとかけつけた。

「あすかちゃんから話聞いてかけつけたのよ」

「ご迷惑かけました」

「全然大丈夫よ、まあななんとかなるよ」

 早川も同様に心配をしていた。

 「かなちゃん、一つだけこんな話があるよ」

  早川がかなに話を語ろうとしていた。

「どんな話ですか?」

かなが真剣なまなざしで早川に聞いた。

 「その子はアルバイト時代に大きなイベントを考えてました、自分でアィディアを考え ていき、それを達成するために毎日のように内容や運営などを考えていました、そのイベント内容はお客さんと映画を見るイベントで、狭い空間の中でいかに楽しみを与えるか?というようなものでした、でもある時その子もかなちゃんと同じように倒れてしまったのよ」 

 「その子は結局どうなったんですか?」

 「疲労だったから、ちょっと寝たら大丈夫だったのよ」

 「なら良かったです」

 「その子はちょうどかなちゃんくらいの私なのよ」

 「えっそうなんですか?」

  かなは、すごい勢いで驚いた。

 「そうよ、それでアルバイト先の先輩には「大切なのはイベントじゃなくて、何よりも自分の健康が大切よ、命がないと何もできないでしょ」と言われたことがある、本当にそうだなと感じたわ、だからかなちゃん体大切にしてね」

 「はい、ありがとうございます」

かなは、早川の話を聞いて少し感動した。

「よし、じゃあ今日頑張ってね、無理しないでね、じゃあ私は行くから」

「ありがとうございます」

  早川は、かなの様子に安心したあとに、保健室をあとにした。

「朝倉大丈夫か?」

「かなさん大丈夫ですか?」

「あっ大丈夫だよ、2人ともありがとう」

田辺とりなの2人が保健室に来てくれた。

「本当に心配しましたよ、どうなるかと思っちゃいました」

「そうだよ、朝倉すごい焦ったよ」

  田辺とりなは、かなのことをとても心配した感じであった。

「まあ、体は大切だね、とりあえず昼は休むよ」

「そうですね、ゆっくり休んでください」

「ありがとう」

  かなは笑顔でりなにお礼を言った。



  放課後、ついにプロジェクトイベントが始まろうとしていた。

「本日、生徒会の学校変革プロジェクトのイベントがもうすぐ始まります、パレードのようにイベントに出る方々の通る横で見る形となります、クラスごとになってますの で、前のめりにならないようにお願いします」

ホームルームで担任が、生徒にプロジェクトイベントについて説明と注意喚起をしていた。

  生徒会は最後生徒会室で準備をしていた。

「なんか緊張する」

 かなはとてつもなく緊張していた。

「まあ大丈夫だよ、頑張ろう」

 かんながかなを励ました。

「なんとか頑張りましょう」

「だね、りなちゃん」

 かながりなに励まされた。

「よし、じゃあみんな行こうか」

シーバーを全員が頭につけて、あすかがみんなをリードした。

「まあ、かなちゃん成功することを願おう」

「あすかさん、ありがとうございます」

「朝倉まあ心配するな、大丈夫だよ」

「かな頑張ろう」

「かな先輩頑張りましょう」


 生徒会メンバーは吹奏楽、ダンス部、チアダンス部が待機している階段の広い廊下のようなところに向かった。

「皆さん、お疲れ様です、本日はよろしくお願いします、とても緊張するとは思いますが、諦めなければ大丈夫です、頑張りましょう」

「はい、頑張ります」

 部活メンバー一同は、その言葉を言った。

「ではあと5分お待ちください」



「あのかなさん?」

「ああ、多賀谷さんどうしましたか?」

 多賀谷がかなに話しかけてきた。

「その、この前の手紙読んでいただけましたか?」

「はい、読みました、あのここだけの話、本当に退部されるんですか?」

「一応、そのつもりでいますね」

  「なるほど、もう少し考えてみたらどうでしょうか?」

  「考えるですか?」

  「はい、すぐに決断するよりいろいろ考えてみるのがいいと思います、私が言えたぎりではないですが」

  「かな、あすかさんが呼んでるよ」

  「分かった、すぐ行く」

  「とりあえず、多賀谷さん自身でいろいろ決めてみてください、まずは本番頑張りましょう失礼します」

   かなは、多賀谷に手紙のことを考えることを提案すると、かんなに呼ばれたのでその場を去った。

  

  

  

   吹奏楽部、ダンス部、チアダンス部の3組の部活が廊下に並んだ。もうすぐ湘南北風高校の初の試みになるプロジェクトイベントが始まる。

  「緊張する」

  「まじ吐きそう」

  「紗栄子まじで吐くなよ」

   チアダンス部の女子部員が、本番前に少し話をしていた。

  

  「あすかさん、かんな、りなちゃん、田辺今から始めます」

   かなは、生徒会メンバー全員にシーバーを飛ばした。

  「皆さん、今日は楽しみましょう」

   かなは部活のメンバーにそう伝えた、彼らはゆっくり頷いた。

  「宝島」の曲とともに、彼らの行進が始まった。「宝島」の曲が校内に鳴り響いた。

   全校生徒が横にいる前を通った。生徒たちの顔はとてつもなく満面の笑みであった。

   さらにダンスの踊りも入り、一層パフォーマンスの勢いが増した。

  

  「わあ、凄い」

  「やばいね」

   見ていた女子生徒が彼らのパフォーマンスを見ていて、かなり驚いていた。

   そして、吹奏楽部、ダンス部、チアダンス部の一番はじめの盛り上がりであるサックスのソロパートに入った。

   

   かなは今回は誘導などをメインでやっているので、彼らの後ろの方にいた。

  「もうすぐ、階段降りて一回に行きます」

   かなが次の配置にいる、あすかとかんなにシーバーを飛ばした。

  「了解」

  「了解」

   2人は即返事をした。

吹奏楽部メンバーは楽器を揺らし、ダンス部とチアダンス部メンバーも激しく踊った。



「(すごい、練習よりうまくなってる)」

  かなは、その様子を見て感動した。

  ドラムメジャーに続いて、行進をしていった。

  すると早川がたまたま、かなの隣に来ていた。

「かなちゃんお疲れ様」

「早川先生、ついに始まってなんとか頑張ってます」

「ここからがスタートだから気を抜かずに頑張ってね」

「ありがとうございます」

  かなは早川に褒められ、モチベーションを上げた。

  「次、校内から外にいきます」

   あすかがシーバーをりなと田辺に飛ばした。

  「了解」

「了解」

   りなと田辺の2人が返事をした。

   パフォーマンスは「宝島」の後半の盛り上がりであるバリトンサックスのソロパートにいった。

   吹奏楽部、ダンス部、チアダンス部は校庭に入っていた、夕方で少し暗くなってきたが、早川の提案でスポットライトを当てて、幻想的な雰囲気になっていた。

   今は、バリトンサックスのソロパートに当たり、かなり注目されている感じだ。

   ソロパートが終わると、吹奏楽、ダンス部、チアダンス部全員が踊った。  

  吹奏楽の演奏も後半も盛り上げていき、演奏を続けた。

  そして、最後は楽器を上にあげパフォーマンスを終えた。

  全校生徒たち全員は校庭に出てきていた。  

  そして、一斉に拍手が起こった。

  

吹奏楽部、ダンス部、チアダンス部はなんとか終わったので、ほっとしていた。


かなたちや他の生徒会メンバーも達成感を感じている顔であった。


「ついに終わったね」

  かなは満面の笑みで、生徒会メンバーに声をかけた。

「やったね、達成感がやばいね」

  かんながすごい喜んでいた。

「かなさん本当にお疲れさまでした」

「ありがとう、りなちゃん、りなちゃんもいろいろありがとう」

「いえいえ、とんでもないです」

「かなちゃんがこの企画をして良かったよ、ありがとう」

「あすかさん、ありがとうございます」


「かなさん、お疲れさまでした」

「あっ多賀谷さんお疲れ様です」

  吹奏楽の多賀谷がかなに声をかけてきた。

「私やっぱりいろいろ考えたんですけど、まだ続けようと思います、今日の演奏楽しかったですし」

「おお、良かったです、自分の可能性を信じてみてください」

  かなは多賀谷が退部を考え直して良かったと感じた。

「はい、頑張ります」


「かなさん、皆さんありがとうございました、すごい楽しかったです」

  チアダンス部の上条が今度は声をかけてきた。

「良かったです、お疲れ様でした」

「皆さん、お疲れさまでした」

「早川先生?」

「校長先生?」

 かなとりなが一斉に反応をした。

「私もすごい終わって嬉しいよ」

「そう思っていただいてなによりですよ、良かったです」

「かんなちゃんもダンス部お疲れ様」

「はい、なんとか終わって良かったです」

「これで、学校もだんだん変わっていくね」

 早川は次への期待に対してワクワクしていた。

「あれ、なんかかなりの人が学校来てるよ」

「えっほんとだ」

 田辺が先に気づいてそのあとかなが気づいた。

「鹿島先生だ、何であんなに人が来てるんだろう」

 鹿島が地域の人30人くらいを連れて学校に来ていた、また大森と上田もいた。

「校長先生もう、あなたのその学校運営は終わりです、もういい加減こんなもので、学校 を生徒会で変えさせようとするのやめませんか?」

 ここにいる周りの全校生徒は何も言わずに黙っていた。

「後ろにいるのは学校評議員の方々です、彼らの意見を聞いてください」


「どんなもので「学校」を変えようとしているかご存知ありませんが、公立学校でこんなことして子供たちのためにもならないと思います」

「本当に困るんですよ、こういうことやられるとね、たかが部活程度のイベントで変えようとして、遊びで学校運営をしているのですか?」

「うちの子ども来年受験なんです、こんなくだらないことに付き合わされて勉強がおろそかになったらどうするのですか?」


地域の人、そして湘南北風高校の保護者の何人かが「学校変革プロジェクト」について意見を述べてきた。


「私たちは別にそんなつもりでやっていません」

 かんなが鹿島に意見をした。

「じゃあ和田お前これがどういう風に変わると思うんだ言ってみろ?」

 かんなは黙っていた。

すると、早川が反論をした。

「鹿島先生、あなたがやっていることは確かに正しいかもしれません、けれども学校というのはいろんな形で変わっていかなければなりません、これは以前にお伝えしておりますが、時代のニーズに合わせた学校づくりが必要です、さらにそれを見込んで私は生徒会が案をだして学校づくりに参画していくようにしました、あなたのような生徒の邪魔をするような意見は教師としてふさわしくありません、そして学校教育法施行規則第49条にも書いてあるように、学校評議員は校長の求めに応じはじめてその効力が発揮されるようになっています、ですのでせっかく来ていただいた方々の意見はまた改めて保護者会などを設けて聞くことにします」


 鹿島は悔しそうに、唇をかんでいた。

「それと鹿島先生、あなたこそそんなことしてていいのですか?普段の授業力、指導についても他の先生から様子聞いていますが、私が聞く限り最悪ですね、これはどうしようもないくらいです」

「そんなことは」

「さらに、今回生徒からこんなことを言っていたと聞きました」

「和田さん、例のものを」

「はい、校長」 

かんなは例のものを早川に渡した、それは録音するレコーダーだ。それには以前、鹿島が早川と戦っていた時にかんながたまたま聞いていた時にかんなが録音したものだ。

早川が録音レコーダーを再生した。

「(ふざけんなあのくそ校長が)」

「こういうことを言っていたんですね、鹿島先生」

「たかがそんなことをわざわざ録音して、それは盗聴だ」

 鹿島が盗聴であると反論をした。

「教師としての仕事、校長に対しての暴言、それと他の先生からもヒアリングさせていただきましたが、インターネットのサイトでさまざまな意見を言って暴言を言っているという情報を聞きました、これは地方公務員法第33条の信用失墜行為にあたると思われます、なのであなたを指導力不適切指導教員として教育委員会に報告します」


鹿島は何も言えなかった。

  そのあとに、かなが鹿島に反論した。

「鹿島先生、私たちはこんなことを遊びでやろうとしているつもりはいっさいございません、あなたが言っていることは正しいかもしれませんが、私たち生徒会はそんなきれいごとを並べるだけで学校を変えるつもりはありません、新しいことをやり試していくそういうことをやっていくつもりです、今までにない、型にとらわれない方法で、あなたのような考え方で学校が変わるとは思ってません」

「私たちからもよろしいでしょうか?」

  ダンス部とチアダンス部の部員も反論した。

「これだけ毎日練習してるのに、そんなこと言われる筋合いはない、ふざけんなよ」

  鹿島は黙ったままであった。

「上田先生、大森先生もあとでお話がありますのでそのつもりで」

  上田と大森の2人も今回関わったことで早川に呼ばれることになった。

 


  鹿島と上田、大森はこの場を立ち去った。さらに地域や何人かの保護者も立ち去っていった。

「さあ、みんな楽しいことを考えていきましょう」

  早川がみんなを励ました。

「気を取り直して、楽しんでください」

あすかが、さらに楽しくしていくように働きかけた。

 「あっじゃあもう一度パフォーマンスを聴くのはどうでしょうか?」

  かなが全校生徒に提案した。

 「いいですね」

  りなが賛成した。

 「皆さんそれで良いですか?」

 「はい」

   全校生徒全員は賛成した。

  先ほどのパフォーマンスを聴くために、生徒は先生たちの指示に従い、移動した。「宝島」の曲とともにダンス部とチアダンス部の踊りも始まった。もうあたりは暗く、21時を迎えようとしていて静けさがあったが、この日だけは明るい雰囲気になっていた。

  

湘南北風高校は、このかなたちが推進した「学校変革プロジェクト」により、少しずつだが変わっていった。多くの部活動が今回のようなパフォーマンスイベントを希望し、湘南北風高校は部活動の活動自体が一番の強みにもなった。最近ではゲーム部と放送部が一緒に協力し、テレビの試合のようなゲームの実況中継などもした。





7月に入り、本格的に暑い時期になった。

「さて、次は何の企画を考えようか?」

 かなは次の企画を提案しようとしていた。

「えっもうかな決まってるの?早いな」

 かんながちょっと聞いてみた。

「ちょっといろいろ考えていることあってね」

 かながワクワクして答えた。

「なんかまた面白いの楽しみにしている」

 あすかが期待している感じであった。

「かなさんまたヒーローになれますね」

「朝倉のネタ面白いしな」

 りなと田辺がかなを少しからかった。

「とりあえずやりましょう会議、私から提案いいですか・」

「どうぞどうぞ」

 あすかがかなを優先した。

「はい、私が企画したいのはこれです」

「えっこれ?難しくない」

 かんながちょっと驚いていた。

「まあでもいけなくはないでしょ?」

「じゃあやってみる?」

あすかがやるような提案をした。

「やるんですか?そのプロジェクト」

  りながあすかに聞いた。

 「うん、やろう」

  「新しいことをやり、型にはまらない考え方で「学校」を私たちが変えていくんでしょ?私たちにやれないことはないよ、やるしかない」

  かなが全員にそう言った。 

  かなが次に提案したプロジェクトは「校則」と「学校のシステム」を変えることだ、以前同級生の栗山が提案してくれたことを胸に秘めていたのだ。例えば担任制廃止や宿題、試験をなくす、制服の自由化なども含めてだ。かなたち生徒会はこのあともいろいろ行動していくことになった。

 「じゃあ皆さん学校を変えるためのプレゼン考えましょう」

  かなは今日も放課後、「学校変革プロジェクト」について考えていた。

  いろんな視点でいろんな考え方で学校を創るためにかなは今日も動き出した。

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クリエイティブスクール リュウタロウ @suzu06199

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