仕事に悩み、社会に疲れ、気づけばそこは見知らぬ村の見知らぬ部屋。ありふれた始まりから異世界に迷い込む主人公は、心も体も記憶も子どもになっておりました。読者には疑問を抱かせながら、彼は子どもとして目一杯生き、話は進みます。この転生の裏側にもハラハラしますが、何より村に根付く習俗や信仰の描き方が行き届いています。実際にその社会のことを見聞しているかのようです。子ども目線で描かれる異世界の生活は瑞々しく、引き込まれます。
じっくり世界観を楽しみたい方、日常パートの向こうに不穏を感じるのが好きな方、おすすめです。