第15話
現状を要約すると、創り主が強くても他が弱いとアレだから、どうせそうなるなら皆強くさせた方が速くない?と成り、だから、全体の底上げイベントを行って来た、と、成ります。……強化を促した奴は完全に自分の為でもあるよな、これ……。
ゲームで言うならスキルツリーと言う概念が有るが、ああ言うのって派生元からどうしてそれが得られるのか?的な物が可能に成る場合が有る。まあ、そうだな。此方が出した奴で言うと、ソーラービームとか水でどうしてそれが出来るの?検案だろうが、要は水で光を全反射させて光を集約して一点にぶつけただけだ。威力に付いては大規模なそれをやる事で、その集まる光量が大きく、威力もそれなりだと言うだけである。つまり、広範囲にレンズ代わりの水を展開と制御を出来たら良いだけだ。水の制御のみが前提に有る能力なら水の制御を頑張るだけでやれる。いや、これは理屈的には当然な話な訳だが、やるための前提が水の制御から逸脱しない能力で有れば努力次第で此方はやれるというだけ。つまり、他の物に属性を付けただけの別物をそのままやるのは出来ないが、そうでなければ努力次第で大抵の同一ジャンルの物は出来る。元と成る物とは離れて居る只の全く違う物を付け足して一つの能力ですと無理矢理しているのでも無ければ、努力と工夫で何とかやれる。そういう意味では元ネタだけでは説明出来ない物も色々と足してそれも元と成る能力に含まれる物だとは言って居ない。個人的にはそれは元と成る物の解釈を拡大出来て居ないで別の能力か何かを付け足して拡大解釈だと言って居るだけ的な意味で拡大解釈では無いと思う。ソーラービームを撃つ専用の能力なんて物を俺はそもそも持っていない訳だ。……持って居ると思われるから、所有能力数が多過ぎと言う評価をされるのだろうけども……。
それはさておき、……正直な話、この条件で強化イベントすら無かった場合を考えると、侵略戦争を起こされた場合アレな状況に成る事が容易に想像出来る。要するに運営する上で前提としてのレベルでの該当上位存在に極めて依存した世界。事実上の世界掌握をされる訳だ。……いや、まあ、それの通常時の恩恵は大きいが、仮にその上位存在が倒されるレベルの戦力を用意された場合でもその上位存在が此方に協力するかは解らないし、それに上位存在が倒されない保証も無い。更にそうなった際に上位存在を倒せた奴に対して此方の挽回のしようが無さすぎる。……いや、搦め手とかまともに戦って勝った訳じゃ無いならば、また話は別に成るのだけども。更に言えば今回の交渉は明確にそうなると言う物を提示出来た訳では無い。言うなれば、不確定要素の致命的な爆弾が有ると言う事を強く意識をさせた事が交渉の肝だった。此処で勝ててもやられるだけだってさ。……いや、だから、相手は新しい手札を出しても状況が悪化するだけだったので、現状の手札だけで色々とやった上であまり変わらない状況なら、まあ、それは通る交渉と言えるだろうけど。だから、ある程度消耗戦をしたからこそ通る交渉だと言えるわけだ。……だから、その判断は別に勘違いと呼べるものでは無いのだが、まあ、それでもそいつを即仲間にと言うのは厳しいがね。似ているだけの別人の殺害者とは言え、それを殺されるのは自己強化の機会損失だった訳だし、似た奴が殺されたと言う感情的な嫌悪感以外でも実害が十分に有るからだ。いや、まあお釣りが来るぐらいの自主的な強化イベントを可能にしてくれてはいるけども。
さて、交渉で得た技術について話す事にしよう。それは細かい説明抜きでざっくりいえば、世界を取り込み、その取り込んだ範囲での世界掌握を行う能力だ。要は対象を取り込む事が前提の支配能力だと思えば良い。但し、それは相手の極一部だけでも良いし、何なら相手のエネルギーでも良い。それさえ取り込めば支配能力を対象にその取り込んだ物を端末に行う事が出来る。と言う物……いや、これは過大広告だな。それが出来るならそもそもまともな消耗戦になど成る物か。これよりも実情としての条件は厳しいだろう。システムの最上権限を持ち出せば後は全部勝てるなんて出来るのは該当システムで説明出来る物のみで構築されている物のみだろう。システムが全てを掌握して居る訳では無いので、それを埋め合わせる為の物が必要と言うだけだ。そうだな。恐らくは、相手の全体の何割かのエネルギーの回収とか、相手の身体の何割かの回収だとか、ある程度以上の集めたそれで、該当の対象を此方の権限の支配下の物だと定義してしまえば良い。条件が厳しくとも、これならまだ現実味は有る。要はある程度以上の長期戦の時に相手側に使われたエネルギー等を回収し続けて居れば良いだけだし、相手側がエネルギージャグリングでそうされるのを防いでいたとすればエネルギージャグリングをしていた事とも合致する。一言で言えば長期戦時のみに使える特殊条件勝利と言う奴だ。まあ、使うためには長期戦に成るのは基本的には確定事項と言えるが、相手側が大技を撃ちまくるならその限りでも無いだろうけどね。
『水霧。どうするの?取り敢えず情報提供は貰った訳だけど、試す?』
『……試すは試すが、俺らはこれ以上するのは止めておこう。先の奴はエネルギーに変換された上で、此方の支配下の物に相手側が調整してくれたから問題無く回収出来たのだし、その変換作業を此方がやれない以上はやめた方が無難だろう』
『何らかの化身系に対して、その対象物を根底に据えた存在を創り、ぶつける。それが対象の模造品だと言うなら、化身系の存在に似せて来ているでしょうから、化身系の身体の一部に大量に力を盛り、さあそれでその大元側と戦おうという話で、なら化身側からすれば自分の体を動かす範疇で、化身の模造品はどうとでも出来る訳だけど、疑似神格個体相応の力が丸ごと手に入るのは確かに十分すぎる物ね。デメリットが有る可能性を考えるならこれ以上の欲張りはアレでしょうし』
『疑似神格個体一体分の力の丸ごとの獲得も十分欲張りなレベルだろうがね。さて、危険性を説明した上で犯罪歴が有る奴は抜きで希望者が出るようなら取得させようか……いや、まあ、実質ある程度以上の希望者が出た後はもうほぼ強制なのだがね』
『それで強化されない事を選ぶのは周りの人達が強化されるイベントで自分は強化されない事を選ぶと言う事なのだし、それは仕方無いでしょう』
『デメリットが有る場合を考えると、それをしない人員もそれなりに必要だろうが、まあ、話を通しに行こうか。一先ずケールハイトの場所に行こう。アレでもエウミア連合国のトップだし』
『彼女は私達が後ろ盾の一部であの立場を得た人間だけど、そうする上で私達もそれなりに対価は貰っての話では有る訳だけど、じゃあケールハイトの居る場所に行きましょうか』
☩
私はケールハイト・スプリングス。……一応はエウミア連合国の代表をやっているけど、今の力を得るまでは実質お飾りのトップだったのよね。実際、エウノミア連合国の領土基盤の成り立ち上で水神が受け持つ部分は多いし、私は今の力を得るまでは本当に足手纏いと言えるレベルだった。……いや、私が出来たのはある程度の立案で、結果的には様々な能力を使う事で、お金をまともに掛けたら最初の小団体ではとても出来ない様なレベルの事をやれた。私は発案者とは言えても、その指導者……と言って良いかは疑問ね。水霧を含めて、ある程度の事ならやれる人材が他にも居たから。……いや、本当な話、発案者だから、代表に居座るだけの人呼ばわりも仕方無いレベルだったのよ。まあそれでも本来ならば能力を使わずにエウミア連合国の海底の領土を構築する場合に掛ったのであろう金額と実際に掛った金額の差を考えると、結果的にはお金の節約的な意味で(数千億単位)仕事はある程度は出来ていたけど。それはさておき、別サーバーの自分を取り込み、統合する事で、自己強化、ね。要は自分のエネルギーを模倣したエネルギーの塊を得られるのだから、そりゃあそう言う効果が有っても当然だけど、ゲームで言うなら一つの統合に付き、経験値の塊として扱われる物がそれで自分が得ていた分だけ得られる。自分の今まで集めた経験値と扱われて居るものの量が統合する数だけ上乗せで上がって行く。強い奴に成ればなるほど大々的な強化が起きるのも当然な話よね。今迄集めた経験値が約一万なら一人統合するだけで、約二万に成り、今迄集めた経験値が五万なら一人統合するだけで経験値総量が十万に成るのだから。しかもそれが大量に出来るとも成れば効果は莫大と言えるでしょう。経験値をそれなりに集めた実力者がやらなければ所有の経験値量が例え十倍になっても大きい結果は得られない結果に成る。つまり世界内での力関係は変わらないどころか強化した奴に関しては開いた形に成るけど、他の世界と戦うならいい結果だと言える訳ね。……実力者に成ればなるほど恩恵が大きい底上げイベントとかまるでレベルを大幅に上げるアイテムを大放出されたような感じだから、しないと不味いレベルの物で実質強制参加イベントみたいな物だけど。と、其処に水神と浄土が来た。得たデータと危険性を織り込み済みの説明を行い、それでもやると言う希望者に力を与える……胡散臭い検案と言えるけど……それはキチンと説明を行い、危険性をちゃんと説明はするらしいけど。
「……いや、成功例がそれの危険性を説いても仕方無いですよね?と言うか自分の利益を大きくするために怖がらせているようにも見えてしまいますが?」
「ケールハイト……いや、それはそうなのだが、これは降って湧いた出所の解らない奴で」
「ですから、初期に先んじて動く事で、水関連のリソース掌握に成功して居る人が強化イベントに参加するのをするなだとか、しないように促すだとか、やるなだとか言うのはアレですよ。成功して居る人が後続に似た事をするな、なんて成功例側の人が言う事じゃ無いです。それが只の煽りなら話は別ですけど」
「……ある程度以上それをするのは只の博打だと言う事を把握させればそれで良い」
「警告してもそれでもある程度は確実に無理をして取り込む奴は出ると思います。他より多くそれをやればやるだけ上との差が縮むのですから」
「……自分の制御出来るレベル以上のエネルギーの塊を取り込みエネルギーが暴走なんてしたらアレな訳だが……」
「それは恐らく自分のコピーを吸収する以外の事に手を出した場合の話です。自分が制御下に置いて居たエネルギーとそれを制御していた自分を吸収するのですから。制御基板も上乗せで、制御下に置けるエネルギーでは有るはずでは有りますが、自分以外の奴を吸収する場合、制御基盤の他との合一が上手く行かなければエネルギーが暴走すると思います」
「……創作的にはそれが出来るとか言う奴が出そうだからアレだろ……」
「つまりはリソースの掌握量を多くしたければ早い者勝ちの状況なのに、制御力を超えるそれを急いで取り込んだら自滅する状況です。それを皆がやれると言うのですか?」
「……いや、成功例持ちが失敗するぞ、なんて言ってもアレだけどさ、やる奴は出るだろ。ならせめて管理して失敗例が出ても対処出来るようにするべきだ」
「その対処に当たる人達は強化イベントを丸ごと逃す事に成りませんか?」
「だが、ある程度はそう言う人員も必要だろう?」
「そうですね。ですが、その方々の生活保障もしてあげなければ、アレです。他の奴達が超強化されるのにそうしなかった道を此方の要請で敢えて選ぶ人達な訳ですから、全体の強化量次第ではその人達は自衛も厳しく成りかねませんし、その人達の生活援助も含めてやる事を考えると、そんなにはそれをやらない人員は用意出来ませんが」
「ケールハイト。だが、それは必要では有るだろうさ。シュライク・バースディの件を考えるに特定能力を持った奴で無いとそもそも戦いの舞台にもそもそも上がれない類の能力は他にもあるだろうし……今回の物がそう言う物の準備の為の奴ならアレだしな」
「前提条件上今回は実力の底上げイベントですが、新しい力を付け足すわけでは無いので今回強化をやらないと困るメイン層の人は、格下狩りだけ出来れば最強無敵だとか宣う人がメインだと思います」
「ええい、要は問題なのは制御力を超えるエネルギーを得る奴が多い状況だと言う事。ならその問題が起きた奴の過剰分のエネルギーを別の奴に渡せる奴がサポートで居れば良い。そのサポートのエネルギーを渡す奴だってその作業中にエネルギーを貰えば良いはずだ」
「それが出来たら一番良いですが、早い者勝ちの構図がそのままの状態でそれをやる奴しか居ない訳では無いはずです」
「ケールハイト、ならなんだ?その被害者の実例が出るまでは対処しても無駄だって?」
「成功例の人が止める場合は、そうですね。有りもしないリスクを恐れず成功して居る人がそれを他には恐れろ。なんて言って居る形に成るのですから」
「……いや、今回については此方の類似個体を取り込んだだけだし、話が違うはず」
「世界を壊す規模の奴をやれる奴が少量とは言え出て来てしまいましたから、例えば兵器の保有量で戦争展開を防ぐ為の見せ札にする手段をするには今回の他のコピーを吸収する事をしない限り、既に瓦解しています。そう言う類の手段をやっている国の何人かはそれをせざるを得ないです。し無いと戦争展開もあり得ます。最低でも軍拡の為の動きをせざるを得ないでしょう。兵器の保有量で戦争を事前に防ぎたいなら例えそれが成功する可能性が低くとも、他の国が成功させたので有れば、対抗する為には同じ手段をするか、別の手段で似たレベルの物を早急に用意しなければなりません。新型の核開発に一国だけ成功して居る国が出たような物です。その国にそれを批判して軍縮や放棄を求める……なんて今の情勢ではするのは無理ですし。核の傘が成立しなく成った状態ですし」
「……それでもいいからとにかく対策するぞ……なんだ?氷雲神の造り手が何の用だ」
其処に氷雲神の造り手が来て話に割り込んで来る。
「これは失礼しました。お三方様方に折り入ってお話が有るのですが」
「……後にしろ。人的被害が出る可能性が有る検案中だ」
「いえ、
「……いや、それはわざわざやる必要有るのか?今でも十分だろう」
「いえ、貴方方の時よりか私どもには大きな公的な大義が無いので、先ずは簡易的にでも国を名乗れる状態にしたいのです」
「……ふむ。つまり、此方が国だと定義して居る物に新しく枠ごと加わり、その後に独立して、国を起こそう。と言う訳か」
「なんてことをしようとしているのかしら。ケールハイト、認める必要は有りませんよ」
「……いえ、それを飲むかは対価次第ですね。それを此方が受け入れる事での継続的なメリットを提示してください」
それに対して氷雲神はにやけた顔で言う。
「思想対立時の更なる棲み分け、ですかね」
「……それは私達が既にやっています。改めてやる必要は無いでしょう」
「これは貴方方が建国時に使った理屈だ。やられても問題無い様にしているはずでは?」
「……そうはしていますが、不要な国の内部分裂を見逃せと?」
「不穏分子の追放には成るじゃ無いですか。それを此方が受け入れましょうと言う話です」
「……いや、それは余計な気遣いよ。結局は此方の国から人員を引き抜きたいだけじゃない。ですから、参入は認めません。そもそも個人でそんな事を宣っても……」
氷雲神の造り手に其処である程度な厚さの冊子を突き出され、
「此方はそれの賛同者のリストに成ります」
「……いや、これだけ居るなら自分で国を起こした方が速いじゃない」
「ですから、私どもには国を興す上での大義名分が無いのです」
「……だから、小国だとされる小団体にまず成ろう、と言う訳か。段階を踏むのはまあ解る。が、断る。此方にメリットを提示しろと言ったのに言って来たのは此方の手法の模倣とそちらのメリットを提示してきただけだからな。唯一のも今回の事の一部の奴の生活保護関連の援助を対価に国の成立を認めろ、だなんて暴論が過ぎる。それを此方が受け入れる上でのまともなメリットを提示してくれよ。話はそれからだ」
「……」
「なにも此方は意地悪をして居る訳じゃ無い。それが成功した場合、此方にそれを模倣する奴がそれなりに追加で来るだろう事は予想が付く。だから、此方のまともなメリットが無い形のそれを受けるのは今後の事を考えると、無理が有る。だから、相応なメリットを提示しろと成る。……いや、まあ国産みの国みたいな立場は美味しいだろうが、此方が国として其方を定義する以上、エウミア連合国が君らの後ろ盾に形式上成る。なら好き勝手したいだけの輩は弾いておきたいからこの形に成る訳だ。相応なメリットが無いならそれを用意してからまた来い。そしたら返事は変わるかも知れないぞ」
「……また来ます」
「おう。それじゃあ此方は対処に動くとしますかね」
そして問題の対処に当たる事にした。……いや、おいおい、待て、待て、待て。渡されたリストに載る奴らの大部分が一定水準以上に成ってやがる。……偶然?いや、そんなまさか何かそれを可能にする理屈が有るはず……いや、ハハハ、簡単だったな、これは。要は取り込むエネルギーを取り込んでも、暴走し無い類いの物に変えてから、その上で取り込んでしまえば良い。それを此方だってした後じゃ無いか。それを氷雲神は自前で味方の奴らにやったのか。……あはは、ああ、要するに交渉は時間稼ぎかよ。氷雲神の造り手さんよ。……つまりは、大義の無い過剰な戦力の武力集団の誕生と言う訳だ。まあ交渉には来ていたのだから、穏便に済ます気は有るのだろうが。さて、割と笑えないぞ、これは。何かエネルギーを取り込む事で不都合が起きた方が良い展開かも知れないが、そしたら俺にも都合が悪いし。いや、ちょ、待て、エウミア連合国外では有るが、海の一角から巨大な氷樹を生成され始めた!おい待て、何してくれとんじゃい。其処に介入しにそこ辺りの水を操り、遠隔で話す。
「何をやっている?お前らはっ」
『此処は“公海”です。ですから、貴方方のエウミア連合国の領土では有りませんし、侵略拠点的な物でも有りません。文句を言われる筋合いは無いかと』
「なら教えろ。何をして居る?」
『我が国の領土を創っています』
「此方に援助を受けると言う話はもうしない方向か?」
『いえいえ、国としての体裁を持たせるために貴方方は必要です。ですから、戦争をするとしてもエウミア連合国の方々と戦うつもりは有りませんよ』
「……なら助言を一つ。北極や南極付近にそれを作るのは止めとけ。利権絡みに絡みまくって誰の物でも無い扱いに成っているけど、利権を主張する奴が主張を取り下げた訳じゃ無いエリアだからな」
『ご警告、どうも。では後で其方に伺いますね』
「……まあ待っておくさ」
そして分身を俺はその場から排除した。……いや、シャレに成らないってば。まあそうだな。条件を整理しておこう。まず公海を領土にする為に整地手段として氷系を使い巨大な氷樹を出現させた。これ単体に対して此方は批判出来る立場では無い。能力で整地して海底を領土とするのはエウミア連合国の建国時にやって居る(他国の領土には能力無しでは成り得ない所だからそう主張し易い場所では有ったが)次に此方に該当の場所を国として認めさせる為の足掛かりにしたいと言う思惑が有る以上は、此方とは、敵対関係に成りたくないはず。更に言えば、国としての成立の前提を此方から得られなければ、武装集団が勝手に土地を占拠して建国しただけに成る。そんなの即制圧戦争ルートだろう。まあ占拠したのは公海なのだが、条件を多少弄ればそう見る事も可能では有る。そんなのは流石に避けたいはずだ。なら、此方との交渉こそが肝だろう。相手の目的通りでアレだが、此処で国として彼らを認めれば、以降はその定義を盾に彼らと交渉出来る様に成る。そうすればある程度のかじ取りを促すくらいならやれるはずだ。此方が定義して居る物が前提で有る以上それで何とか出来るはず。まあ只海の海水凍らしただけですとかして来たら海面の大幅低下とか起こして批判されるのは止む無しの検案が大量に起きるのだけども……いや、海面上昇が問題視されている状況ならある程度までならむしろ公益に成るのかもしれない。氷樹がある程度以上大きく成れば航空機のルートの邪魔とか海流の流れを滅茶苦茶にするとか問題視されるネタは他にもそれなりに有るけども。最低限の口出しなら立場上は出来るはずだ。
「……水霧、どうするの?これ」
「これで仮に相手方を国として認め無ければヤバイ戦力と全面戦争展開も有り得る訳だが、認めた場合は此方のある程度の制御下に置ける。そうでなければ認定を棄却すれば良い」
「武力行使で永続的にされないかしら?」
「それをすると要は公称を自称に戻す行為をやる羽目に成るのだが、やると思うか?」
「やるかも知れないでしょう?」
「やるならばそもそも此方に国として認めさせようなんてしないでも、建国だけをすれば良かった訳だがね。まあ、テロリスト国家扱いされるかもしれんけど」
「うわぁ……」
そして暫く話し合うと。氷雲神の造り手が再び来た。
「お待たせしました。交渉を行いたいのですが」
「どういう手法でやったかは知らんけど、手法次第では国際規模なバッシング受ける事をやったって解っている?」
「海水の問題に付いては貴方方に言われる筋合いは有りませんが」
「いいや、有るね。此方は整地の為だけじゃなくて、海流とか海面上昇を防ぐために海底を領土に必要なだけ掘っている。つまり、基本的な海流変動や海面変動は起きないように配慮はされて居る。其方はどうだ?」
「海流はともかく、温暖化による海面上昇は問題視されて居るはずですが?此方の今回の物はそれを解決する手段に成り得ますから」
「地球温暖化の解決と、海面上昇の抑制の手段。まあそれは大義名分に出来なくは無いが、そう主張をしたいなら、ある程度以上海水を使う氷樹で海に領土を創るなよ?海面が下がり過ぎてもアレだろうしな」
「……水霧さん。つまり、海水を其処迄使わなければ良いと言う事ですか?」
「能力で足場を永続的に出せるならそれで広げれば良いだろう。まあ能力で出したものだとシステム崩壊検案が起きたら消えるのも有り得るから永続的に全依存は駄目だが」
「……」
「水霧。寄生虫を体内で飼う類の能力の奴がヤバイ事に成るから止めてくれと要請が来ているわ」
「話が途中だが問題が起きたようなので俺はそちらに行くが、この話はもう後で良いか?」
「……此方も考えないといけない事が有るのでそれで良いです」
「それじゃあまた後で。どうせ合流は容易いし今の件が片付き次第で」
「解りました。それではまた」
新規登録で充実の読書を
- マイページ
- 読書の状況から作品を自動で分類して簡単に管理できる
- 小説の未読話数がひと目でわかり前回の続きから読める
- フォローしたユーザーの活動を追える
- 通知
- 小説の更新や作者の新作の情報を受け取れる
- 閲覧履歴
- 以前読んだ小説が一覧で見つけやすい
アカウントをお持ちの方はログイン
ビューワー設定
文字サイズ
背景色
フォント
組み方向
機能をオンにすると、画面の下部をタップする度に自動的にスクロールして読み進められます。