第7話 ノーマルエンドは甘え(2)
(では、ヒロインたちをトラウマから救うのに必要なものはなんだ?)
俺は脳内でヒロインたちの背景を思い出してみた。
ヒロインたちのトラウマや悩みは、大きく四タイプに分類される。すなわち、
1:お家の事情パターン
2:事故パターン
3:個人的な悩みパターン
4:もうトラウマちゃってるパターン
の四つだ。
1はいわゆる家庭の事情というやつだ。例えば、先述のシエルなら、血の繋がらない兄との関係性とか、他のヒロインなら、父親が浮気して家庭崩壊だの、傾いた家業を立て直すために支援者のスケベ権力者の下でメイドをしなきゃいけなくなるだの、そういった類のものである。
(このパターンは大抵、金か権力で解決できる)
家業を立て直すなら原資を融資してやればいいし、浮気云々は別れさせ屋でも雇って潰せばいい。シエルルートみたいな名家にちょっかいをかけるにはかなりの金と権力が要るが、理論上は不可能ではない……はず。
2はなんか突発的なアクシデントでトラウマを得るパターンだ。
こっちは1よりもさらに簡単だ。ぷひ子のルートもそうだが、これは事故の起こる年代を知ってるので、人を雇ってピンポイントでその事故を潰していけば問題ない。
3はそれぞれの内面の問題なので一番厄介だが、俺はそれぞれのヒロインが求めるものとゴールを知っているので、それとなく提示して、誘導してやればいいだろう。それをするのにも、やっぱり、ヒト・モノ・カネを動かす力が必要だ。
4は――
(もちろん、もう手遅れなヒロインも何人かいるが……。そいつらはこの村に入れないか、外に出すかすれば大丈夫だろう)
俺は今七歳だが、例えばヒロインを産むときに母親が死んだのがトラウマの原因とか言われても、もうヒロインが産まれてしまっていてはどうしようもない。ただし、そういうヒロインでも、ゲーム上で呪いが発動するのはこれから後――すなわち、ヒロインと主人公が接触し、二次的に何らかのイベントで過去のトラウマを刺激されてからのこととなる。それも、現段階では『ぬばたまの姫』の呪いの効力が及ぶ範囲でトラウマ刺激イベントが発生しなければ問題ない。
具体的には、今俺がいる村の周り四方には御身石という鎮護石による結界が張ってあり、その結界の中でトラウマスイッチが入らなければセーフなはず。伝奇ホラーが、地縁的なものに大きく依存するジャンルで助かったね!
まあ、要するに、もうトラウマっちゃってる地雷ヒロインは避けまくって、この田舎の外に行って頂くということだ。4のパターンのヒロインは大して数も多くないし、その中にストーリーの根幹に関わる重要キャラはいないので、何とかなるだろう。
ということで、色々検討した結果、今後の方針は、
1 頑張って金を稼ぐ
2 金を足がかりにして、権力を得る
3 金と権力の力技で、ヒロインのトラウマが発生する前に徹底的に潰す。
ということになった。
(よしっ。これでいこう)
ギャルゲーの世界だからといって、ギャルゲーの手法で挑まなければいけない理由はない。ここから俺は、経営SLGを始めさせてもらう!
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