飲酒コラボ配信 ゲスト:架空少女小説系VTuber・梨野ひめ

「こんばんきょむ! きょうは架空少女小説系VTuber、梨野ひめちゃんをお招きして、わたしの自宅から、お酒なんぞ飲みながらくだらないことをベラベラ喋る配信です!」


「こんばんは! 梨野ひめです! よろしくお願いします! きょむちゃん、実在したんだ……! あ、映像はほとんど静止画になっちゃいますね」


「それはいたしかたなし……SA文庫の編集部ラジオもこんなんなのでオッケーでーす」


「開き直ったきょむちゃん強い」


「えーっと、ひめちゃんは観測範囲ってどんな感じですか?」


「うーんと。カドミウム文庫とかソイラテ文庫とかそのあたりです。観測してないのはホワイトスペード文庫とかダビッドソン文庫とか、少女小説とひとくくりにいってもジャンルが広いので……わりと、男の子向けのライトノベルに近いものを読みますねー……ってきょむちゃんもう飲んでる?!」


(虚無、ビールをぐびぐび飲んでいる音)


「ぷはー! あ、これは乾杯の練習です」


「か、乾杯の練習?! 出身地ホニャララ県だってバレちゃうよきょむちゃん!」


「そういうひめちゃんもさっきから焼酎のボトル握りしめてる(笑)」


「期せずしてホニャララ美人VSモニョモニョおごじょ飲酒対決になってしまった(笑)」


「えっひめちゃんモニョモニョ県?! なにこの永遠に酔えない対談!」


「永遠に酔えない、わかりみ……そろそろ真面目にやりましょうか。かんぱーい!」


「かんぱーい!」


(ふたりでビールをぐびぐび飲む音)


「ぷはー! それではそろそろ、互いに交換して読んだ本の感想とか話していこうと思いまーす。わたくし虚無は、ひめちゃんからソイラテ文庫の『ケダモノ王国の監獄王女』という作品を借りて読んだんですけど、獣の一族が治める王国に嫁いできた人間の国のお姫様、サリアが主人公で、夫でライオンのアルフレッド王がうっかり触ってけがをさせないようにサリアを檻に閉じ込めちゃう、っていうお話で、もだもだした距離感とか心の揺らぎとかが丁寧に描かれていて好感を持ちました~」


「わたしはきょむちゃんから、『未来少年ヨシハル』を借りました。えっと、わたしはヨシハルくんの胸板が挿絵に描かれるまで女の子だと信じてました」


「わ、わかるうー! 表紙からみてもう完全に女の子ですよね、ヨシハルくん……ライトノベルには一巻の表紙が正ヒロインという伝統があってですね」


「あっ聞いたことあります。でもその理屈でいくと『ケダモノ王国』シリーズのヒロインはアルフレッド様ということになりますね」


「ううーむ。アルフレッド様カッコイイからなあ……逆に一巻の表紙が攻略対象ということですかね? いわゆる恋愛ゲーム的に言うところの……ひめちゃんはどう思います?」


「攻略対象(笑)それならラノベの伝統も通りますね。でもそれだとヨシハルくんは攻略対象で……乙女ゲー? 乙女ゲーについても語れるんですけど、きょむちゃんのチャンネルは男性ファンが多いそうなので静かにしておきます(笑)」


「いえいえ! ライトノベル界隈でも乙女ゲーの攻略対象になっちゃった系の作品いろいろあるので……たとえばしびれびれ文庫の『だからなんで俺なんか攻略すんだよやめろよ』とか。これは乙女ゲーの世界に転生した陰キャの男の子が、愛を与えることで明るくなるキャラクターだと勘違いされて、ひたすらヒロインにアタックされる作品なんですけど(笑)」


「陰キャの前髪を上げたらイケメン、よくある……(笑)懐かしの『眼鏡を取ったら美少女』のノリだ。そろそろなにかおつまみが必要な感じですね」


「実家の母氏が送ってきた枝豆茹でてありますよー」


「ホニャララ県って枝豆採れるんでしたっけ。おおーおいしいこの枝豆」


(ふたりで枝豆をはむはむ食べる音)


「ひめちゃんは恋愛ものって好きです?」


「恋愛ものかあ……好きっちゃ好きですけど、そればっかりだとおいしくないですね。もっと、いろんな展開ができるのが小説っていうものだと思うんです。個人的にはカドミウム文庫の『青き狼のニコ』みたいな作品がバンバン出てくれたらなーって。あれ、もうビール終わっちゃった」


「二回戦は焼酎いきましょう。『青き狼のニコ』というのはどういうお話ですか?」


「草原の王国を舞台に、ふつうの男の子のニコが狼のアオと二人で成り上がるお話です。ニコは姉を後宮にとられていて、姉を奪還するためにアオに魂を売るんです」


「おおー面白そう」


「でもこれ、ごくごく軽ーくですけどBL味するので……焼酎おいしい……」


「焼酎おいしい(笑)お酒今回のためにいろいろ買ってきてるのでのんびりやりましょう。BL、中学のクラスメイトがよく読んでたなあ……カドミウム文庫にもBL風味の作品あるんですね」


「ソイラテ文庫もそうですよ。あとカドミウム文庫には百合の大本山、『アップルパイ・シスターズ』があります」


「アプシス……! 世の殿方を狂わせたアプシス……!」


「アプシスは男性ファンも多いんですよね。女子寄宿舎学校が舞台で、姉妹関係を結ぶ少女たちが描かれてるやつ。アップルパイの儀式とか、花の名呼びとか、クセが強いんですけど」


「実はアプシス、タイトルと大まかな内容しか知らないんですが、花の名呼びってなんですか?」


「アプシスの舞台の紅玉学園には、下級生を妹にしていいっていう制度があって、妹に指名された下級生は姉を花の名前で呼ぶんです。たとえば『ガーベラさま』とか『シクラメンさま』とか」


「おお……興味深い世界……! あ、枝豆だけじゃなくていぶりがっこもあります」


「ホニャララ県の肴でモニョモニョ県の酒を飲む……」


「カオス(笑)」


(いぶりがっこをポリポリする音)


「なんかこうやってもの食べてるとASMRとかできる気になってくるね、ひめちゃん……」


「我々は飲酒を伴うのでまともな動画にならなそうだけどね」


(虚無、ノイズが入るレベルの大笑い)


「……くだらないことでここまで笑えるところを見るときょむちゃんすっごい酔っぱらってるでしょ」


「単に笑い上戸なだけですよー。いやー焼酎おいしい。史上最強のお酒は高●水だと認識してたけど焼酎こんなにおいしいんだ」


「これ●島。芋は飲み慣れるとめちゃめちゃおいしいよ」


「まあまんつ飲んでけれす」


「まっことありがとさげもす」


(しばらく無言で飲酒)

(しばらくして二人とも酔った口調)


「架空ライトノベルにせよ架空少女小説にせよ、これからどんな作品が出てきたら嬉しいですかぁ~?」


「えーっとねえー、なんかこう……魂を揺さぶる熱い作品ですかね~。なんかこう……ヒロインの目線になったとき、壁ドンとか正直怖いと思うんですよ~。俺様キャラとかそういうテンプレートな恋愛小説じゃなくて、もっとこう……アプシスみたいな、人と人とのつながりを楽しめる作品、というかぁ」


「わかりみが深い……テンプレートのストーリーというものを打破する必要がありますな。もっとこう、エポックメイキング的な」


「それな! 新しいストーリー! 新しい価値観に沿った新しいストーリー! きょむちゃんいいこと言った!」


「ただ可愛いだけのトロフィーヒロインなんざいらねーんだよ! 業を負わせろ! 宿命を描け! そちらはいかがであるかひめ殿!」


「顔がいいのは前提として、深みのある物語や価値観をきちんと描くだけで『少女小説www』っていうイメージを打破できると思うですよ! スイーツ脳の読者だけじゃねんだよ!」


「ライトノベルの読者も脳みそ股間じゃねんだよ! ……ああっ。荒れてしまった。反省」


「反省……また飲酒コラボやりましょうか……あっそろそろ電車がなくなる……」


「次回はもうちょっとアルコール控え目にしましょう」


「そっすね……それではきょむなら!」


「きょむなら! 次回も見てくださいね!」

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