「消毒殺菌ユーコちゃん」 サンダル文庫

 おはきょむ! カルシウム、摂ってますか? カルシウムを摂ろうと煮干しかじってたらまた歯が欠けました。これ「服を買いに行く服がない」状態じゃないですか……。

 そんなこたぁどうだっていいんです。きょうも架空ラノベ紹介していきまーす!


 きょうはこれです!


「消毒殺菌ユーコちゃん」著・日吉刑 イラスト・小野田隆 サンダル文庫


 ◇◇◇◇

 とある年の五月の連休。主人公の暮らすマンションに、隣の部屋に住んでいるガリガリに痩せた少女、ユーコが訊ねてくる。ユーコはフィクション世界から汚いものをなくそうとする組織、『ビカビカ団』に両親を殺され、どうすればいいのか分からなくなったのであった。ユーコを助ける主人公だが、ビカビカ団の魔の手が、主人公たちにも迫ってきて……。

 ◇◇◇◇


 まず目立つのは「フィクション世界から汚いものをなくす」っていう、メタな構造だと思うんですけど、この物語の登場人物は全員自分がフィクションの存在だって知っていて、そこからすごくいろいろなメタセリフが飛び出すんですよね。メタ構造は好きな人とそうでない人がいると思うので、そこは好みなんですけど、わたしはこういうの大好きです。


 ユーコの両親は、父親が「新婚の部下にわざと残業させた」、母親が「同じマンションのレズビアンカップルを非難した」という理由でビカビカ団に殺されました。いま、フィクションの世界ってそういう悪意とか差別を排除しがちですけど、それって現実にはありえることじゃないですか。なんていうか、たとえばテレビを見ていてすごく太った人が出てきたら、「わっ太ってる」って思っちゃうじゃないですか。そういうのをフィクションからすべて排除しても、現実は変わらないわけです。


 それで、ユーコは小学一年生のころに美人すぎるという理由でいじめられて十年引きこもっていた子なんですけど、引きこもっているあいだ一言もしゃべっていなかったので、声が出なくて喋れないんですよね。そのユーコが物語終盤で、意志を伝えるためにちゃんと喋ろうと頑張るところは、ひたすらに泣けました。


 ビカビカ団もビカビカ団で、自分たちがフィクションから出られないことを知ってるんですよね。ビカビカ団が生まれた経緯、考察してみるとすごく深いです。


 あと小野田先生のイラストが素晴らしいです。さすがレジェンドのイラストレーターだ……と思いながら読みました。いまもぜんぶアナログ作画なんだそうです。この作品と同じタイミングで小野田先生の画業三十周年記念画集がものすごい装丁で発売されたんですけど、わたしには手が出ませんでした。ぎぎぎょむ……。


 続刊が出るらしいですがこのオチだと二巻はどうなるんでしょうね? 楽しみです!


 それではスクショタイムです!(ISBNと日本書籍コードと表紙画像)


 それではまた次回! きょむなら~!

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