第3話 彼女の故郷
セレスティーナと並んで《
幼樹の村で
「お
「カミラ! どうした? てっきり幼樹の村だと思ってたのに。
「お
2人、というのはもちろんキーヴァとエイリンのことだろう。
幼樹の村から
「そうか。また、世話になりそうだ。よろしく
「お任せ下さいませ。いつでもお役に立ってご覧に入れます」
二人して笑いながら、
しばらく、そうして再開を喜ぶとカミラは
「戦士殿――いえ、正式に
「カミラさんも」
少し
「シズク殿」
「え?」
「やり方はご存じでしょう? さあ」
さらにずいっとカミラが一歩前に出る。思わず後じさりになったところで、セレスティーナと目が合った。
「そういえば、シズクとは
「ジ、ジーガ?」
そう
「位階に
と、セレスティーナはシズクの
「こういう感じだ。これは世界樹の枝と枝が
「あ、ああ」
思いがけず、目の前に接近したセレスティーナの顔にどぎまぎする。ほとんどの時間を
照れくさそうなシズクを見て、自分も
「ま、まあ、こういう感じだ。わかったか?」
「な、なんとか」
なんとも、お
おずおずとカミラと
その力の流れに負けじとぐっと力を
それだけで、不思議と足場がしっかりしたような、そんな安心感が
「シズク殿。あなたはきっと良い
カミラもシズクとの
シズクにそう
「それではそろそろ、中へと向かいましょう。
「一族の
「ええ。クリモアの主立った者ははせ参じてございますよ」
どこかおかしそうにいうと、カミラはさあとばかりに
†
〝トゥーン人の貴族社会は地球でいうところの氏族社会によく似ているのですよ。要するにとにかく
カミラによって案内された世界樹の
さすがにジャーガフォライスの夜会の時よりはずっと少ないが、それでも親族の
「これ、全部セレスの
「まあ、主だったところだけだが」
「こんなにいるのに全部じゃ無いのか!?」
さすがにビビるシズクにセレスティーナはしれっとした顔で軽くうなずく。
むしろ、シズクがなぜ
「
「うちはみんな入れても10人もいないって」
せいぜい、両親の祖父母に父方の
「それだけしかいないのか!? 何か大きな事故でもあったのか? いや、決して興味本位というわけではないのだが……」
「俺の国はみんなそんなもんだって」
一番
席の数は3つ。
おそらくはセレスティーナとその両親のものだろうとあたりをつける。
しかし、そんなシズクの想像とは裏腹にカミラが案内したのは少し
「さ、お
「ああ」
「シズク殿はこちらへ」
「あ、はい」
カミラに
「セレスはあっちじゃないのか?」
「あそこは領主とその直系の血族の席だ。今の私は聖樹
「そういうものか?」
「当然のことだ」
家族なのに家族ではない、というのがどうもしっくりこない。だが、
中には
セレスティーナはともかく、どうやらシズクはあまり
「セレス。俺がここに居てても
自分だけならいざ知らず、セレスティーナまで
が、
「そんな情けない顔をするな。堂々としていろ堂々と。なに、すぐにシズクの価値に気がつく」
「そんな簡単な話じゃないと思うけど」
「簡単な話をややこしく考えるのは悪い癖だぞ、シズク」
などと言い合っているうちにも視線にさらに
その視線に対して
「そろそろ、父上と母上が見えられる。シズク、とりあえず今回は私が
「
セレスティーナの指示に従い
夜会の時と同じく、やはりここでもそれ相応の複雑な
もちろん、そんなものはまったく覚えていないので完全にセレスティーナにお任せすることにする。
空いたリソースにセレスティーナが同期させたスキルが
(スキル様々だな)
(
などと言っているうちにも、
その歩みに合わせて、座席を
少し
こちらはまだ若い、というよりも幼い少年のようだった。
従
ということは、セレスティーナの弟だろうか。
この辺り、やはりトゥーンの男性は女性よりも脳筋度合は低い気がする。
領主夫妻がシズクとセレスティーナの前にさしかかると、
(やっぱり親子だな)
と少しだけホッとした次の
敵意の主がピタリとシズクの前に足を止める。
「お前が異世界人ですか」
独り言、というには声が大きい。
明らかにシズクに向かって話しかけている。
ただ、ここで返事をしてしまって良いかがわからない。
「
さすがにそろそろ言い返したい気分になってくるが、セレスティーナのことを考え必死にこらえる。セレスティーナもじっと静かにしているところを見ると、おそらくこのままやり過ごすのが正解なのだろう。
だが、次の一言はさすがに
「……
「
思わず立ち上がりながら、声を
しまったと思った
「
シズク以上に
「そのままの意味です、お姉様!
「役に立たぬだと? いかにも実戦を知らぬものの考えそうなことだな。クリモアの
「お、おいセレス」
なんとか上官の頭を冷やそうと
「こ、このような場で
「いや、お前も男だろ」
確かにトゥーン人の
と思わずつっこむシズクの
「シズク、
「
男と言いかけて、ようやくシズクは日本の感覚で周囲を見ていたことに気がついた。シズクの着ている正装は寸法こそちゃんと採寸しているがデザインはセレスティーナと基本的に同じものだ。
なのでシズクは自分自身を基準にして考えていたが、パンツスタイルとは言えデザインベースは当然ながらトゥーン人の
つまり、
当然、それは従
つまり、少年では無く少女であり、弟では無く妹だということだ。
「ぶ、
「あ、いや。すまん。男の子にしか見えなかったから、つい。てっきり弟かと」
「ま、まだいうか!?
さらに失言を重ねるシズクにとうとう、少年もとい少女が
切っ先がプルプルと
少女の興奮が広間に伝わったのか、同じように興奮して立ち上がった
「
「ええ、まったく。これならば、確かにセレスも気に入るのもわかります」
どこか楽しそうに、セレスティーナの母親がシズクを見つめ目を細める。
「
「ゆえにクリモアの世界樹の守護者たる我らの名において、樹前
領主夫妻の声にどよめきが広間に
ただ1人、成り行きを
「えっと?」
「わかりやすくいうと、
「し、神前裁判かよ! そんな
「お前が言うな、
そう答えるセレスティーナはなぜか少し恥ずかしそうに見えた。
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