第2話 任地への帰還
「
シースティカから下された命令を思い出しつつ、軽食を口に運ぶ。
小麦とは別の穀物の粉で焼かれたトゥーンのパンは味がかなり
そのままでは食べ応えがあまりないが、
これで肉がカツだったら言うことは無いのにな、とシズクは
その瞬間を狙っていたかのように、シズクの
あっと思うまもなく、セレスティーナはシズクが
「ちょ、
「早い者勝ちだ。言っておくが、
あの後、シースティカとサクヤからさらに
シズクとしては食堂でがっつりと食事を楽しみたかったところだが、残念ながらそれはやんわりとシースティカに
女だらけの
目立つだけならともかく、異世界人を正
ノンビリと食堂で食事などしていては
シズクの恨めしそうな視線を尻目にはむはむとサンドイッチを
少しばかり茶目っ気は増えた気がするが、それでも任務のことが頭から少しも離れないのあたり、やはりセレスティーナはセレスティーナだった。
「問題はどこから手をつけるか、だな」
「だな。探すのはいいけど、とっかかりが欲しいよなあ」
セレスティーナの言葉に諦めて手を引っ込めたシズクが相づちをうつ。
今のところ、
そのためか
シズクとセレスティーナを呼び寄せたのはシースティカの完全な独断であり、それだけにこの
今後のためにも何としてでも実績を上げたいところだが、いかんせん手がかりが少なすぎた。
さて、どうするかと首を捻っているとそれまで2人をジットリとした目で
「サクヤさんとしては、やっぱり
「幼樹の村、か。だが、それならば作戦で制圧した世界樹の方が良くは無いか?」
現場という言葉にセレスティーナがサクヤに疑問を呈する。サクヤはそんなことはもちろん承知ですと言わんばかりに、幼樹の村を選んだ理由を説明する。
「残念ですが、もう一つの
サクヤの言うように2度目に
当然、
それに比べると幼樹の村も復興は進んでいるだろうが、何しろ人手が足りていないのでそこまで
「それになんと言っても、そこはセレスティーナさんのご実家の領地なので
いきなり見知らぬ領地に異世界人のシズクと
そう言われれば確かにその通りという気がする。
だが、そんなサクヤのアイデアにいつもならば真っ先に食いつくはずのセレスティーナはというと、あまり気乗りしない様子だった。
「ん? セレスは反対?」
シズクの言葉に少し困ったような顔つきで、コリコリと
「いや。そういうわけではないのだが、な。ただ、まあ、なんというか――」
「
「あ、そういうことか」
あまりに身近なのでシズク自身はほとんど意識していないが、確かにセレスティーナを
その中でもセレスティーナはフォライスの領主の
それだけにさぞかし厳格な実家だろうな、というのは何となくシズクにも想像がついた。もっともその想像の源泉はサブカル系の
「いや、別に
「なら、それでいいのです。ちなみに、地球では今のような態度を
しれっとした顔でサクヤがつっこみ、むうとセレスティーナが不服そうに口を
なんとなくおかしみを感じながら、シズクは助け船代わりに少し気になっていることをサクヤに尋ねることにした。
「まあ、その辺はおいておくとして。俺たちが幼樹の村を調査するのは良いとして、基地とかはどうなるんですか?
トゥーン人が
確かに基幹技術はトゥーンの技術だが、そもそもトゥーンには航空機のように
ようやく、一部の
それだけにとてもではないが、
そんなシズクの
サクヤはあっさりとうなずくと、もちろん考えてありますと答えた。
「当面はシズクくんとセレスティーナさんの2人だけですから。地球から整備士を出向させて、現地の技術者に指導を
「なら、安心だな」
「その辺りはサクヤさんが仕切っているので、
ほっと
「ただ、再生システムはさすがに簡単には持ち歩けないのでシズクくんの再生システムは
「もちろん、それは
セレスティーナに念を
それはシズクに限ったことではないはずだ。
ゲーマー部隊の
そこまで考えたシズクはふと、トールと最後に会った時のことを思い出した。
もし、あれからさらに死に
わかる、と断言する自信はシズクにはなかった。
「サクヤさん。俺が一番死に
「です。今のところシズクくんが一番少なくて、次点がレッドくんとアンさんのお2人という感じです」
「その、トールはどうでしょうか?」
「あー。トール君は、その、ワーストなのです。とりあえず、そんなわけで第3小隊は改編になったのです。これ以上はちょっとサクヤさんからは言えないのです」
言葉を
シズクは
「シズク。あまり考えこむな」
「わかってる」
「まあ、いざとなったら特別に地球に
少しばかり
「それでは方針も決まったので、サクヤさんは移動の準備だとか報告だとかに行ってくるのです! シズクくんもセレスティーナさんも、移動の準備をお願いするのですよ。今回は樹門を使うので《アジュールダイバー》ではなく《
「
うなずくセレスティーナににっこりと
「ところで、やらかした
「……は?」
思わぬ一言にシズクとセレスティーナの動きが静止する。
「お
言い返そうにも
チェシャ
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