第13話 セレスティーナへの依頼 -後編-
「《
「パイロットの損耗はさほど問題視する要素ではないと思うがね」
何が問題なのかね? といった風情のヘスにコレだから事務屋は……という視線を一瞬だけ投げかけたエイゴンは理由を説明した。
「あいにく、《アジュールダイバー》も《
エイゴンの話はたしかに、ごもっともとしか言い様のないものだった。
何しろ50名が全滅するということは《アジュールダイバー》×50と《
それが毎回ではいくら何でもたまったものではないだろう。
「あのような
「ただ、改修にあたって協力が欲しい」
「協力、ですか?」
首をかしげるセレスティーナにうなずくとエイゴンは《アジュールダイバー》の映像に現在の問題点をアニメーションで表示させた。
「で、本題はここからだ。これを見てくれ」
そう言ってエイゴンが再生させたのは、半月前に行われたシズクと副長の模擬戦の記録映像だった。
今さらだが、こうして客観的に見るとかなり恥ずかしい。
誰だ、あのバカはという感じだった。
それは副長も同じなったらしく、なんとなく居心地の悪そうな顔つきで映像を眺めている。
ほどなく、激突しては弾かれたように離れてを繰り返していた、二つの光が絡まりなから猛烈な速度で地上へと落下し始める。
この時のことは失神していたので、実は記憶に無い。
セレスティーナの《
今まで見たことも無い展開方法だった。
そして、斥力場が白色に輝いたかと思うと、とてつもない大加速で一瞬にしてシズクの《
「このスキルは現状の
「つまり、私の
硬い声でセレスティーナは強くエイゴンとヘスを
まあ、落ち着け。という副長の声でセレスティーナは怒りを飲み込むように大きく息を整えた。
「そこまで言うつもりはねえ。聞いた話だと、まあ秘伝とかそういう類のもんらしいしな。ただ……見せてくれると助かる」
「見せる?」
「ああ。要するにデモンストレーションだな。何をやってるかの見当がつけば、あとは何とか再現してみせる」
力強く請け合うエイゴンにセレスティーナは
†
「なあ。見せるだけでもマズいのか?」
「あまり、見せたくはないというのが本音ではある。いや、
エイゴンとヘスが退出したあと、難しい顔で
イリエナとマリアも同様に渋い表情を崩さないところを見ると、かなり秘匿度の高いスキルらしい。
「野蛮人。秘密は守れるな」
「はい。もちろん」
厳しい顔つきの副長にシズクは静かにうなずいた。
「我々の魂が
「サクヤ先生の授業で習いました。だから
「まあ、少し違うのだが。だいたいはそんなところだ。付け加えるならば、
「核?」
「そうだ。この核には魂や《
ようやくシズクはセレスティーナは当然のこととして、イリエナもマリアも難しい顔をしている理由を理解した。
たしかにそれだけの重みがあるものを、ホイホイと公開するなど論外だろう。
「当然ながら、その氏族の秘技だ。貴様たち異世界人にはもちろん、一族以外の者に伝えることも
「それに加えて、継承した《
イリエナの言葉にそっとセレスティーナは胸に手を当てた。鼓動を確かめるようにゆっくりと瞳を閉じて、静かに答える。
「構いません……むしろ、祖は再臨を望んでおられるようです」
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