第1話[加害者]

狂美を殺す為に…。

彼女への殺意を抱き、私は歩みを進めた。

ふと、足下に違和感を感じ、私は視線を足下に下ろす。

私の足首に握られた手、そして舌をダランと垂らしている静香の姿がそこにあった。


「ずるいよ華ちゃん。」

「自分だけ生きてるなんてずるい。」


彼女の手が私の足首から脹脛、太ももへと手が伸びていく。


「いや、やめて。」

「静香、どうして…。」


彼女は舌を垂らしながらも冗舌に話しかけてくる。


「ずっと許せなかった。」

「だけど、一人は寂しいから…、だから許した振りをした。」

「ねえ、華ちゃん。」

「虫がどんな味か分かる?」


静香の口から大量の虫が出てくる。


「苦くて気持ち悪くて、口の中に不快感がずっと残るんだよ。」

「美味しくなんてないんだよ。」

「それを楽しそうに私に食わせて…、許せる訳ないじゃない。」


ケタケタと彼女が笑う度に口の中の虫がボトボトと地面に落ちていく。


「憎くて憎くて、どうしようも無くて、ねぇ、何で私が首を吊ったか分かる?」

「憎くしみから解放されたかったからだよ。」

「でも、駄目だった。」

「死んでも憎しみからは解放されなかった。」

「だから、死んでよ。」

「華ちゃんが死んでくれたら私、華ちゃんを許せる気がするよ。」


腰まで這い上がってきた時、私は魔法のステッキを静香の顔に振り落とした。

静香の鼻が顔面に食い込む。


「痛い、痛いよ華ちゃん。」


私は何度も何度も、ステッキを静香の顔に振り落とした。

顔が潰れ、脳みそが飛び出ているのに、彼女は喋り続ける。

そうか、彼女もまた、魔獣だったんだ。


「ちょっと、華。」

「どうしたのよ急に…。」


華以外、静香の姿は見えない。

見えないが、狂美は華が何をしているのか、安易に想像できていた。


「さっき、静香って言ったよなぁ。」

「フフフ、て事はステッキの先に静香の幻影を見てるのか。」

「ハハハハ、最高じゃねぇか、友人の頭砕いてやがるぜ、結局、奴も弱者って事か。」


幻覚を見せ、その人物の強さを測る。

狂美はそうやって強弱を測り、弱者を魔獣として殺してきた。


「マジカル〜♪ハンドガン〜♪」


モデルガンに魔法をかけ、玉の威力を上げる。

魔法により強化された玉は本物の銃弾の様に強化され、その玉は華の頭を貫通した。

華は力なく地面に倒れ、ピクピクと痙攣し、血溜まりができていく。

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