第1話[加害者]
「もういい。」
私はそう言うと床を這うゴキブリを指差した。
「えっ?」
私は食べてとハルに命令する。
だが、彼女はゴキブリを食べるのに抵抗を示した。
「いや、いやぁ、殺さないでぇ。」
泣きながら懇願するハルの頭を私は優しく撫でてあげる。
「大丈夫、殺さない。」
「だって、あなたには静香に謝って欲しいもの。」
生かす理由を知ったハルは安心したのか、ゴキブリを手にし、ソレを口に運んだ。
口の中で動くゴキブリの不快感、それらをハルの体は拒絶し、胃の中の物と同時にゴキブリが吐き出される。
それを見て、私は呟いた。
「つまらない。」
私はハルの頭を掴み、捻る。
力一杯捻り、ハルの頭が取れ、私はハルの首から噴水の様に飛び散る血液を浴びながら笑う。
生暖かくて気持ちいい。
「華、魔獣退治お疲れ様。」
「軽いジャブ程度だったけど、スッキリした?」
ボクサーの様にシャドーボクシングをしながら私に話しかけてくる妖精。
そんな彼女に私は首を縦に振り応える。
すごくスッキリした。
あんなハルが見れるなんて…。
しばらく余韻に浸り、心を落ち着かせる。
「死体どうしよう?」
「体中血でベタベタだし。」
「死体は私が片付けるわ。」
「血は魔法で消すといいわ。」
イメージしてステッキを振る。
体中の血液はみるみる内に消え、綺麗になっていく。
魔法ってすごい。
本当に便利だ。
死体は妖精が何処かへ転移させ、私は魔法でトイレ内の汚れを消していく。
「えっと、あなた名前は?」
「どうして私の名前を?」
妖精は私の質問に一つずつ答えてくれた。
彼女の名前はミミ、私に一目惚れしたらしく、私の事を調べ上げたらしい。
「ねぇ、死んだハル達の事で警察に疑われたりしないかな?」
夕暮れの帰り道、私はミミに質問した。
「大丈夫よ。」
「彼女達に関する記憶は私が消して置いたから。」
「だから大丈夫。」
新規登録で充実の読書を
- マイページ
- 読書の状況から作品を自動で分類して簡単に管理できる
- 小説の未読話数がひと目でわかり前回の続きから読める
- フォローしたユーザーの活動を追える
- 通知
- 小説の更新や作者の新作の情報を受け取れる
- 閲覧履歴
- 以前読んだ小説が一覧で見つけやすい
アカウントをお持ちの方はログイン
ビューワー設定
文字サイズ
背景色
フォント
組み方向
機能をオンにすると、画面の下部をタップする度に自動的にスクロールして読み進められます。
応援すると応援コメントも書けます