第1話[加害者]

動かないハル達。

瞬きすらしていない。

状況が理解できないでいると、私の前に小さな、しかも羽の生えた少女が現れた。


「妖精?」


まるで、おとぎ話に出てきそうな容姿に私は思わず呟いてしまった。


「そう、私は妖精、だからこうして時間を止める事ができるの。」


「私を助けてくれたの?」


「ええ、あなたには魔法少女として魔獣と戦ってほしいもの。」


魔法少女?

アニメとかでやっているアレの事?

それに魔獣って…。


「私には…。」


「出来るわ。」


声を被せてきて、そう断言する。


「こいつら魔獣から友達を守ろうとした、あなたなら、絶対に出来る。」


彼女の力強い言葉に喜ぶと同時に理解する。


「魔獣って、ハル達の事?」


頷く妖精を見て、私は怖くなる。


「戦うって事は殺すって事だよね?」

「それってつまり…。」


「人殺しって言いたいの?」


頷く私を見て、妖精は笑った。


「違うよ。」

「彼女達は人じゃない。」

「人の気持ちも考えられない、この子達が人間だとでも?」


彼女は私に近づき、耳元で囁いた。


「ハルは、あなたと静香が仲良しなのを知ってて、あなたに静香をイジメる様、指示したのよ。」

「お人好しの静香を追い詰める為に、そんな奴、人間って言える?」


心地よい彼女の言葉に耳を傾けつつ、私は呟く。


「言えない。」


そうか、ハルは…、コイツらは、人間じゃ無かったんだ。

フフフ、そうだ。

そうだよ。

コイツらは人間じゃない。

かと言って、悪魔でもない。

知能も無く本能が赴くまま行動する、ただの魔獣だ。


「どうすれば魔法少女になれるの?」


彼女はニヤリと笑い、ペンダントを渡してきた。


「これを身につけて、変身と唱えるだけで変身できるわ。」


私は彼女に言われた通り「変身」と唱える。

すると、制服が魔法少女らしい可愛らしい服へ変わった。


「このステッキは?」

  • Xで共有
  • Facebookで共有
  • はてなブックマークでブックマーク

作者を応援しよう!

ハートをクリックで、簡単に応援の気持ちを伝えられます。(ログインが必要です)

応援したユーザー

応援すると応援コメントも書けます

新規登録で充実の読書を

マイページ
読書の状況から作品を自動で分類して簡単に管理できる
小説の未読話数がひと目でわかり前回の続きから読める
フォローしたユーザーの活動を追える
通知
小説の更新や作者の新作の情報を受け取れる
閲覧履歴
以前読んだ小説が一覧で見つけやすい
新規ユーザー登録無料

アカウントをお持ちの方はログイン

カクヨムで可能な読書体験をくわしく知る