第5話 結集する冒険者達
盗賊団の頭領として、悪漢達を率いるランペイザー。少年のようにも見える容姿に反して、その双眸は数多の命を斬り捨ててきた歴戦の武者としての色を滲ませている。
あまりにも不釣り合いなその佇まいが生む不気味さは、外観以上の迫力を放っていたが――ダタッツは臆することなく、真っ向から対峙していた。
「……総掛かりでも構わない。来るなら、さっさと来い」
「心配しなくたって、嫌でもサシの勝負になるさ。……そっちのお仲間も、ぞろぞろと集まってきた頃だしな」
剣呑な表情のダタッツに対し、余裕綽綽といった様子で薄ら笑いを浮かべているランペイザーは、彼の背後に駆け付けてきた冒険者達を見遣っている。「総力戦」の準備は、すでに整っていたのだ。
「待たせたな、ダタッツ! 生憎だが、お前にばかりいい格好はさせないぜ?」
「冒険者でもない奴に報酬を横取りされちゃあ、他の同業者にも舐められちまうからな!」
「皆……」
好戦的な笑みを浮かべ、ダタッツの肩を叩く砂漠の猛者達。彼らは皆、獰猛な盗賊達を前にしても怯むどころか、獲物を見つけたとばかりに不敵な笑みを浮かべている。
それは、ならず者と呼ばれてきた彼らを率いてこの場に現れた、リーダー格の男も同様であった。
「悪いな、ダタッツ。……どうやらウチのギルドの連中、皆お前に刺激されちまったらしくってよ。どいつもこいつも、すっかりやる気になっちまってんだ」
「……いえ。おかげで助かりました、メテノールさん。これでジブンも、あの頭領の相手に専念できます」
「なんだ、俺達は雑魚共相手の露払いだってか? ……ま、その方が楽で良いぜ」
黒のロングコートを羽織る、メテノールと呼ばれたその男は。ダタッツに軽口を叩きながら
飄々としているようだが、その眼は獲物を見つけた狩人の色を滲ませていた。彼に続き、この戦場に出陣した冒険者達も、それに近しい佇まいで盗賊団と対峙している。
自分達を焚き付けた者の背を追い、この戦地に馳せ参じた冒険者達。
彼らという仲間を得たダタッツは、他の盗賊達には目もくれず――ランペイザーのみに視線を注ぐ。それは、相手も同様であった。
町の防衛という依頼を果たすため。この町の全てを奪い尽くすため。双方は己の得物を手に、敵を屠らんと戦場に立つ。
「……さぁ、始めるぜ野郎共! 抜刀だッ!」
「
互いのリーダー格が言い放った、その言葉が合図となって。砂漠の町を舞台とする「総力戦」の幕が上がり、戦士達は怒号と共に激突するのだった――。
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