心象アウトライン 2

見渡す限り、砂浜と海。全てはグレーで、濃淡によって違いを生み出すだけの世界。手前で佇む腰の曲がった女が肩を落とし、その先の手に掴むのは、握りつぶしてしまえる程のか弱き手。二人、並んで佇むそのきわには穏やかな泡状の波が打ち寄せる。

着物とは言い難い、端切れを纏っているだけのような身なりに、少し後方にはあり合わせの木材にトタンを乗せただけの、今にも崩れ落ちそうなバラック小屋。


見つめる先の水平線。その遥か彼方、山のような高波が出来上がり浜へと距離を縮めてくる。

二人、微動だにしないのは、そこに恐怖がないからで、ただ向かい来る波を、手を取り合って見つめている。

黒に近いグレーが、白に近いグレーを染めていく。




何度も、そんな夢を見る。

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