※解説 成功者

男は錬金術師と言うよりも親の遺産で生計を立てている無職の人です。

もちろん錬金術もロクにできません。

そんなある日、目の前を歩いていた鳩を人に変えようとしました。が、出来ませんでした。

その日の夜、ニュースをつけていたら「身元不明の人が転落死している。だが高い建物は周りには無かった。死体を動かしている様子もみられない…」という話が流れてきました。普段付けているだけで、何故か全く聴いていない男は顔をあげます。

そして次の日から読み物は新聞では無く求人雑誌に変えます。

そこから分かる様に、男は錬金術に失敗した訳ではなかったのです。


ただ、


1.目の前の鳩では無く、少し離れた所の高い空を飛んでいる最中の鳩を人間に変えてしまったのです。

2.目の前の鳩を変えられたが時間差で、飛び立ってしばらくしてから人間に変わってしまった。


※1.2どちらの解釈でもいいです。本当は読者の解釈に任せたかったのですが、あまりにも趣旨が伝わらなかったので解説を書きました。ついでに1は私が考えた設定。2は読者様がコメントで伝えてくれました。


題名の通り、男は錬金術に成功したのです。

しかし、自分のしたことに負い目を感じ、錬金術をやめ新聞から求人雑誌に変えたのです。

求めていたことでも、時間や場所が変われば逆に不都合なことってありますよね。やりたいことが出来たとしても、求めていない時なら、それは成功したとは言えない。そんな皮肉を込めました。

伝わったでしょうか?

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