醜い神と呼ばれた本物の神様と捨てられた聖女〜捨てられたので神様とともに幸せになります
さくらもち
第1話
「私が……追放ですか?」
「言っただろう?何回も言わせるな。しかも、国王のご慈悲で、神殿へと送られるんだぞ。感謝するがいい」
感謝しろって何に感謝をすればいいのかがわからない。
自分は聖女なのに、この国の為精一杯頑張ってきた聖女なのに、国を追放されることになってしまった。
「納得ができません」
「お前の言うことなど誰も聞かん。勝手にほざいてろ」
「っ…!なぜ!なら、なぜ私が追い出されるのか理由を教えて下さい!!」
「お前が偽聖女だからだ。しかも、もう本当の聖女が見つかった」
「そ、そんな……」
絶望してしまった。自分が今までやってきた事は何なのだろうか。
けど、そこからは口が開けなかった。
ーーー絶対、絶対、見返してやる
*******
「見て、あの子偽聖女じゃない」
「やーね。あんな子にはなりたくないわよ」
長い廊下を歩いていると、レナを見て口々にそう答えた。
しかも、しっかりとレナに聞こえるように大きな声で。
別に、慣れたものだが、自分の居場所がなくなるのは辛いことだ。
そんな事を思っていると、髪が濡れている。水がぴちゃぴちゃと音を立て、床へと雫が落ちる。
「あら、ごめんなさい?手が滑ってしまったわ」
後ろを振り向くと、濡れているコップを持ちながら笑っている他の聖女がいた。
元々、聖女は二つあり、一つは前みたいに国に仕える。国にたった一人の聖女。
これは、国にある邪気を祓うのが役目だった。しかも、優秀な聖女しかなれない。
二つ目は、神殿で神に仕える聖女だ。いや、これは自分達が勝手に思い込んでいるだけかもしれない。
本当は、大体の聖女は、神様のお世話なんてものしない。
神様だって、いっぱいいるわけではないのだから。
「いい気味よ。偽聖女のあんたがここにいる事事態おかしいのよ?」
「………」
無言のまま、その場から立ち去る。だが、本心は違う。
ーーー後で覚えといて?
おとなしいキャラだとか思う人が多いが逆だ。裏がある。
「でも、いい加減ここになれないとなーー」
「ねぇねぇ、醜い神様ってどうだった?」
曲がり角の死角で、ひそひそと話し声が聞こえてきた。
笑いながら、やーね、という声が聞こえる。
「あんなのが、神様なわけないじゃない?紙様ならありえるけどね」
「あははっ!笑える〜〜!!」
ーーーこの人達、本当に聖女?
神様を愚弄するなんて、聖女なら絶対にありえないことだ。
醜い神様、絶対に皆その神様にだけは仕えたくないと有名だった。
「醜い神、様……ね。本当に、醜い神様なのか確かめてあげようじゃないの」
捨てられた聖女なんだから、精一杯神様に尽くしたい。
最後まで尽くして、それで死ぬなら本能だ。
こんな、噂をされるだけされて死ぬなんて絶対にやだ。
ーーー神様は醜くいなんて絶対ない。だから、私と同じ噂だ
そう思って、勢いよく走り出した。
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