【未完】仮面の学生~超ブサイクだった俺は、ある朝目覚めると超美形になっていた~

キョウキョウ

第1話 朝、目が覚めると

「誰だ、お前は?」


 ある朝、目が覚めて顔を洗おうとしたときに鏡に映ったモノを見て、思わずそんな言葉が口から漏れ出た。鏡に向かって話している俺は、頭がオカシクなったわけではない。


 顔を右に向ける。それから左に。上を見てから、下を見た。鏡に映っているモノは左右反転した方向に同じタイミングで動いている。あり得ない。この鏡に映っている顔は、俺なのか?


「は? なんだ、コレ……」


 いつものように、鏡に映ってしまう見たくもない自分のブサイクな顔に、ため息をつこうとしたのに。何故か今日の鏡には、超美形な男の顔が映っていた。


 腫れぼったい目、地獄を彷彿とさせるようなブツブツのニキビ、にんにくのような不格好な鼻。ブサイクのお手本となるようなパーツを集めて配置したら、こうなるというような顔をしていた俺。見るのも耐えられないような、酷い顔。


 それが今日は、長くてフサフサのまつ毛に切れ長の目。しかも、パッチリ二重だ。肌は真っ白で、きめ細かい。思わず触りたくなるような美しさがある。鼻筋も通っていて、外国人のように高い鼻。配置されている顔のパーツが全て、奇跡のような調和が取れている。そして、当然のように美しい顔が完成していた。じっくりと見ていたら、思わず見とれてしまっていた。


 自分の顔に見惚れるなんて、まるでナルシストではないか。いつから、俺はこんなことに。


「いやいやいや、ちょっと待て!」


 鏡を見ながら自分の顔を触って確認してみる。間違いなく自分の顔だった。感触がある。頬を引っ張ると、痛みもある。夢ではないのか。ちょっと赤くなってしまった自分の肌を見て、罪悪感を抱く。キレイなものに傷をつけてしまったと、悪いことをした気持ち。


「いや、違うって。コレは俺の顔なんだから、何したって大丈夫な、はず、だ……。いや、本当に?」


 頭が混乱している。落ち着け、自分。こうなった原因について、振り返って考えてみよう。


 昨日までは、いつも通りブサイクな顔だったはずだ。自分で言って、悲しくなってくる。とはいえ、目が覚めると超美形だけど全く別人のような顔になっているというのも困ってしまう。


 昨日は、普通に寝ただけのはず。食事も普通で、特に変わったものを食べたような記憶もないし。思い当たるような原因は、無い。


「そうだよな。こんな事になった原因なんて、何も無いはず」


 それじゃあ、なんでこんな事になってるのか。ブサイクだった顔が突然、超美形に変化した理由は何だ。

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