サキュパスとレベル1の僕
ねんきん
第1話 レベル1の勇者 セイシ
ザン!ズバッ!
魔物を切り裂く音が木々が揺れる音と共に鳴り
奇声が轟く
「グギャアアアアアア」
無数に横たわるゴブリンの亡骸
そこに佇む青年
剣先からは魔物の血が滴りおち
服装も真っ赤に染まっていた
「ハァハァ・・・・これで終わりか・・・」
「おお!ありがとう倒してくれたんですね」
魔物を倒した所を見計らって青年に近寄ってくる
農夫の中年男性
「はい、無事に一匹残らず倒しました」
数十匹のゴブリンを屠り
誇りげに返答する青年
「本当に困っていたんですよ
この依頼はレベルが低すぎて誰も請け負う人が居なくて
それに数が多いでしょ?私一人でも片付ける事が出来たんですが
やっぱり汚れたりとか怪我はしたくないですし・・・」
別格驚くもなく平然とし日常的に会話をする
彼らにとってはゴブリン程度、倒せて至極当然と言うことなのだ
「そ、そうですか・・・」
青年はあれだけの数を相手に
苦戦を強いられたが倒し誇っていた自分に
少しばかり恥ずかしくなってしまうのであった
「あっ謝礼は冒険者ギルドの方で貰えると思うので
それと汚れてしまったので、この布を差し上げますね」
「あっ・・ありがとうございます。それでは失礼します」
青年は渡された布で滴り落ちる血を拭い剣を鞘に納め
徒歩で草原を渡る
「また依頼を頼むかもしれんから
そん時もよろしくなー」
草道に遠のく小さく映る青年が手を振り返事を返す
「優しい人も居るもんだなぁ
いくら暇でもやってくれるなんて
あんな人が王様にでもなってくれればぁ」
青年に対して農夫が有難く思うのは
この世界のゴブリンは非常に弱く6歳児でもこん棒を持てば倒せる相手であり
それゆえ依頼があまりにも価値がなく評価も上がらず経験値にもならないからだ
それに何より厄介なのが後始末だ
噛みつかれたら涎はつき血しぶきが噴き出し服についたり
性別問わず足にしがみつき腰を振り
男根から粘着性の精子を撒き散らすなど不快な輩なのだ
それに加えてゴブリンは素材にも食料にもならない、ただのゴミでしかない
「ゴブリンは数十匹は倒した
これできっとレベルが上がってるはず」
彼は期待してた
相手はゴブリンといえども数は多く
レベル1程度の自分なら容易に上がるだろうと
そもそも成人になるまえに
10レベル以上なのが一般的なのだが
彼はレベル1のままだった
原因を探るも病気でも呪いでもなく
生まれつきレベルがあがらない
またはそのレベルと言った概念がない人間として生を受けたのか
原因はどうあれ彼は諦める事なく
冒険家になり幾度も危険な目にあったが
レベルが上がると信じているのであった
遠出が帰ってきた青年は
冒険者ギルド前に立ち一呼吸をする
「ふぅ・・・よし、行くか」
彼は緊張していた
ギルドにはレベルを図る魔機具が置いてあるのだが
依頼をこなした後、毎度機具を試していたのだ
レベルが上がってるかどうかは
試験の合否の確認と同じ心境かもしれない
取っ手をつかみドアを開ける
すると中に居た冒険家達が一斉に彼に視線を向ける
「おい!レベル1の勇者、セイシ様がご帰還したぜ!」
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