15日目 朝 防衛大臣と誘拐事件

ーー世界が終わるまであと56日




これは隼人が産まれる2年前、世界が終わろうとしている今から20年前の話である。




「希島先生、お茶入れましたよ」「ありがとう御木君」(希島 文之 当時25歳)以下 彼 (御木 礼二 当時20歳)「本当に君は気が利く人間だね」「いえいえ、私は私なりの仕事をしているだけですから…」「君は私の秘書であって、私の仕事のパートナーなんだから気をつかいすぎては良くない」「いえ…先生は未来の総理候補と言われているくらい、期待されているお方なんですから」「それは周りが勝手に言っていることであって、私はやりたいようにするだけだよ」「そのやりたいことをやって、政界の重要なポストに任命されたのですから素晴らしい事なんですよ」「それはたまたま成果が付いてきただけだよ」「しかし…」「御木君、例え私の立場が変わろうと君には秘書でいてもらおうと思ってる」「私なんかがよろしいのでしょうか?」「君の努力は素晴らしいし常に全力だからね、もちろん君が他の人の秘書や他の仕事をやりたいのなら止めはしないよ」「いえ、私は先生についていくだけです」この時の彼は防衛大臣の職に就いており、就任前に起きた各国首脳同時誘拐事件の対策として、新しくテロ対策本部も立ち上げていたのだ。




彼はテロ対策を順調に進めるために、誘拐事件の詳細を調べる事にした。「各国首脳同時誘拐事件…検索と……防衛大臣専用の閲覧ページにも記載無しか…」そうなのだ、この事件は日本は被害にあっておらず、アメリカやイギリスなど外国の首脳が誘拐された為、日本は捜査など一切していなかったのだ。しかし…。「なんだこのボタンは、クリックしてみるか……」画面に写し出されたのは電話番号であった。(なるべく人に聞かれない場所で通話を…)とメッセージも表示されていた。「もしもし…防衛大臣の希島と申しますが、どちら様でしょうか?」「あなたが新しく就任した防衛大臣の希島 文之様ですね?」「はい…そうですが、そちらも名前を名乗っていただけるとありがたいのですが…」「大変失礼致しました…わたくし国際警察幹部の夕神 圭介と申します」(夕神 圭介 当時37歳)「国際警察…?なぜ国際警察のページが防衛大臣専用の閲覧ページにあるんです?」「その事も含めて、直接お会いして、お話したいのですが…」「失礼ですが、わざわざ時間を作ってまで話す利点が私には…」「我々は誘拐事件の捜査もしています」「なんだって…?」「やはり調べていましたか、大臣一人で来て頂けるなら国会前駅で…」「分かりました、ただし信用に値しないと思ったらすぐに人を呼ばせて頂きます」「もちろんいいですよ、まずは人目につく場所で話しますから」彼は国際警察の夕神と直接会って、話すことにした。誘拐事件の詳細を知る為に…。




ーー彼が亡くなるまであと2年

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