7日目午前 過去と現在
ーー世界が終わるまであと64日
あれは数週間前の出来事だった…。今日は隼人の誕生日だ。「もう自分も18歳か…父さんが亡くなってから18年…母さんが亡くなってからもう2年経つのか…一人ぼっちの誕生日はやっぱり慣れないな…」彼は特に仲のいい友達がいなく、誕生日を祝ってくれる人がいないのだ。彼は気分転換に森の中の裏道を歩いていた。裏道を歩いていると…。「貴様の願いを叶えてやろう…」目の前に化け物が現れたのだ。「うぉっ…!びっくりした……(変に関わらない方がいいな…逃げるか…)…」彼は裏道を走り抜け、逃げようとした。「せっかくのチャンスを逃すわけないでしょうが…」化け物は彼の前に結界のようなものを出した。「クソ…なんだこれ……通れないじゃないか…」「私達が解除しない限り、そこを通ることは出来ないぞ…」「解除してくれるにはどうしたらいい…?」「願いを言え…」「願いを…?」「そうだ…貴様の願いを叶えてやる…」「自分の願い……自分をヒーローにして下さい…!」「ヒーロー…?」「はい…自分は他人に功績を奪われることが多いんです……だから…」「分かった…ならばその望みを叶えてやろう…。」「ありがとうございます……もう用はない…帰りなさい…。」彼の前にあった結界が無くなる。「いつか…願いが叶う時が来る…。」「分かった…」「それではまた会う日に…」化け物は姿を消した。「一体なんだったんだ……でも願いが叶うならいいか…」彼は夢のような気分を味わったあと…家に帰ったのだ。
それから数週間後。世界が終わろうとしている。ヒーローにして下さい…たった一つの願いが世界を恐怖に導いてしまったのだ。一人の高校生がヒーローになる為には大きすぎる出来事。自分の力が及ばないもどかしさ、考えが甘すぎた悔しさ。彼は、それを感じながらどう行動するべきか考えている。今の自分に何が出来るか、何をするべきなのか。彼は今、考えても答えは出なかった。すると…。「言ったはずじゃ…壁にぶち当たるとのぅ…」「フードの男…なぜここにいるんだ…?」「お主の後について行ったらここに着いてのぅ…話は聞かせてもらったぞ…お主のまいた種らしいのぅ…」「……全ては自分が悪いんです…自分があんな願いを言ったばかりに…」「悔やんでいても仕方あるまい…世界を救うんじゃろ…?ワシが協力するぞ…」「あなたが…多野本さんは連れてきてくれるんですか…」「多野本は既にここにいるぞ…(フードを取り、顔があらわになる)ワシが多野本 信千じゃ……さぁ若者よ…世界を救う覚悟は出来ているか…?」
ーー世界が終わるまであと63日と15時間半
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