<短編> 罪咎

トト

第1話 プロローグ

 俺は知っている、これくらいの罪で無期懲役、ましてや死刑になどならない。

 俺より悪いことをした奴らだって、長くて十年、うまくいきゃあ五年で出てくる。

 死刑なんてこの国では禁止されてるも同じだ、人権?尊厳?世論の評価に怯える裁判官が人を裁くなどできるわけない。


 だいたいあの女が勝手に死んだんだ、俺は何も悪くない。

 どうせ二年か三年、ぶち込むんならさっさとぶちこめよ。


 男はなかなかくだされない判決に少々飽きてきていた。

 いっそ涙の一つでも流し謝罪の言葉でも口にすれば、この退屈な時間も終わるのだろうか。実行に移そうとしたとき、ようやく裁判官たちの話し合いは終わった。


 ほらみろ、男はニヤリとほくそ笑んだ。


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