上京した僕と黒いアイツ
社畜だけどポジティブなSE
①上京
勤務地が 東京 に決まった。
医療系ICTの専門学校を卒業した僕は、とある病院に就職を決めた。
それも面接一回だけで。周りには言えなかった。
いわゆる就職氷河期だったため、友達の中には
『卒業した後も何年かはフリーターでやってくよ!オレは。』
という格好いいんだか頭悪いんだか分からない発言が飛び交う校内では、とてもじゃないが言えなかった。
それから卒業式を終え、入社式を終えて、希望勤務地の中から”東京”を選んだ。
理由は何か格好いいから。
一瞬、フリーターでやってく彼が優しく微笑んだ気がした。
マンション選びも適当で、病院のそばのアパート(1K)に内見もせずに決めた。
近くに飲食店も数件あったし、目の前には週末家族連れが遊びそうな公園があって治安が良さそうだったのだ。
引っ越し当日は、父と母が手伝ってくれた。
僕には7人家族でじいちゃん、ばあちゃん、父、母、兄、妹がいる。
そう、僕は調子のいい次男だ。
ボケかけていたけど太鼓の先生だったじいちゃん、優しくて達人級の手芸スキルを持つばあちゃん、会社で社長と釣りや遊びをこなすリアル釣りバカ父ちゃんと美人の母、喧嘩ばかりだったけど毎日一緒にゲームをやっていた兄、ツッコミが冴え渡る頭の良い妹。
そんな賑やかな家庭から飛び出て、一人暮らしになった最初の夜は親が帰ったあと寂しくて泣いた。
・・・このときまでは、これから黒いアイツらと1人で戦うなんて思ってもみなかった。
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