第7話 訪問は突然に
ルナール視点
妊婦になったルナールです。
私はお腹に子供を宿してから幸運が続いてます。
まず、転移した場所は魔獣の森で拓けた場所だった。
魔獣の森の木は伐採しても次の日にはすぐ生えるほど生命力が高い、だがここは雑草が生えているだけで整地しやすい土地だった。
ここだけ魔素が少なくのかもしれない。
次にすぐ見えるところに聖樹の若木があちこちに生えていること、これにより魔獣が近寄らない。
次に精霊達だ。
何故かフレンドリーに近づいて来て、家作りに協力してくれた。これには驚いた。
精霊は気まぐれであり、余程気に入らないかぎり契約どころか力も貸してくれない。
しかも家作りには、真剣そのもので特にトイレには並々ならぬ情熱を感じた。何故?
それだけではなく、家の裏に畑を耕して色んな野菜や山菜やキノコが常に収穫出来るようにしてくれている。
お陰で趣味の料理が楽しい。
この子為にいっぱい作っていっぱい食べる。
あ~幸せ。
体重?神に体重なんて無いのよ。オホホホ
身体の調子も良くなり魔法も向上した。
あっ!牛の魔獣がいるわ。今夜のおかずにしましょ。
ウインドカッター!!
風の刃が魔物を襲う。
ざしゅっ!?
ドタッ!?
早く解体しないとね。
ガシッ!?ズルズル
私は魔獣の死体を掴むと解体小屋に入って行った。
バタン!?
ーーーーーーーーーーーーーーーーーーーー
さて、今日はなにをしようかしら?
あら?誰か来たみたいね。
この感覚はもしかして....
ドゴンッ!?
家が揺れた。
相変わらずだなぁ。
私ははやる気持ちを抑えつつドアを開けた。
そこには全身フルアーマーの鎧を着た子供がいた。
「ルナ....」
声を聴くとやはり彼女なんだとわかる。
「リア、来てくれたんだ。」
カグリア、私の番。
今、私は酷い顔をしているだろう。
嬉しさで泣きそうだ。
「ルナ~」
彼女は武装を解き抱きついて来た。
私は受け取ると彼女の顔がお腹に当たった。
あっ!ヤバッ!?
彼女は私のお腹を触り出し呆然とした。
これは絶対誤解する。
そう確信するとあの子がお腹を2回蹴った。
うるさくしちゃったかな?
ごめんね。スリスリ
「う、うわーん!!」
リアが急に泣き出した。
リアでもこんなに泣くんだ。
ああやっぱり、誤解してるなこれは。
私がリアの立場だったら、番が誰かの子供を身籠もれば泣くわ。
こうなっては、潔白の証明をするしがない、どうすればいいかな?
うーん、リア泣き顔、可愛いなぁキスしたい。
キス!?そうだ!
婚姻の儀だ。
婚姻の儀は純潔でなければ婚姻紋は出ない、もし不純であるなら婚姻紋はでない。
よしリアと夫婦なろう、お互いにずっと我慢してたのだからいいよね?
私は決心してリアの唇に自分の唇を重ねた。
むぐっ!?
リアは驚いているようだ。私はさらに舌を彼女の舌に絡ませて魔力交換を始めた。
私のすることに気付いたのか途中から受け入れいた。
ー10分後ー
プハッ!?
ルナは泣き止んで呆然としていた。
私は火が出そうな程ドキドキしている。
「私が好きなのはリアなの、他の男の子供なんで作らないし作りたくもない。」
私は必死にリアに訴えかける。
「じゃ、じゃあこのお腹はなんなのよ。」
「この子は、あら?
いない!?あの子は何処に?」
お腹に視線を向けると私のお腹がへっこんでいた。
嘘でしょ!?
私は必死に辺りに探した。
「なにこれ!?」
リアから声が聞こえ視線を向けるとリアのお腹が膨らんでいた。
そこにいるの?
「わ、私の赤ちゃんがー!?リア返して!?」
うん、自分でも何言ってるか、わからない。
冷静なるよりもどうやって戻すかを考えてしまう。
「あーどうしよう?もしかしたら...」
えっと、さっきは婚姻の儀をやったからもしかしたらもう一回やったら戻るかも?
ええい、やっちゃえ!?
ブチュウ!?
私はリアにまたキスをした。
ー10分後ー
プハッ!
私がお腹を見ると膨らみが戻っていた。
お帰り愛しの子。
もう移動したらダメですよ。
ナデナデ。
リアから嫉妬の視線を感じるけど、ごめんね。ナデナデ。
ん?リアの力を感じる?リアのお腹に入ったからかな?なら、リアと子供って言えるわね。嬉しいわ。
そんなこと考えてるとリアが無い....
ゴホンゴホン
スレンダーな胸を揉んでいた。
母乳でも出して育児の手伝いしてくれるのかな?
「る、ルナ、あたしの胸が膨らんでるー!?」
うふふ。
リアったら、冗談言ってるわ。
「またまたぁ!あれだけ試して膨らまなかったリアの胸が今更大きくなる訳ないじゃない。」
「いやいや!!触ってみて!!本当だから!?」
「どれどれ....」
モミモミ....!?
「ウソ....リアにむねがーー!!!」
ウソ....リアにむねがーー!!!って思わず心と言葉が同期してしまった。
神はある程度成長が止まると全く成長しないのよね。
見習いの時にあの手のこの手を使っても1ミリも変わらなかったのに、リアに僅かだが膨らみを感じた。
「なにが、原因なんだろう?」
知らないわよ。
と突っ込んでしまった。
んー。でも、
「もしかしたらこの子かも!」
「え?」
私はお腹を見る。
「妊娠すると胸が張るって言うし、リアもこの子を入れたから成長したのかもしれないわね。それにこの子がお腹に入ってから私、身体の調子が良いいの。」
たぷんっ
私は胸を持ち上げる
私の胸は以前より大きくなっていた。
予想通りリアはお腹を見つめていた。
「ね、ねぇ。ルナ、たまにでいいからその子あたしのお腹に入れたいのだけど?ダメかな?」
やっぱりか。
「うーん....まぁ、夫婦だし。私も動きたいし、たまにだったらいいよ。」
「うん、ありがとう。」
「これから私達はこの子のママなんだから頑張らないとね。」
「ママか....頑張る。あたしこの子が立派な神になるよう育てるよ。ルナとあたしの子かぁ。うへへ。」
リアも喜んでくれている。
良かった。
「リア、お腹空いてる?」
私達は食事をしながら色んな事を話した。
ーーーーーーーーーーーーーーーーーーーー
「じゃあ、行ってくるね。」
流石に上位神に報告しないといけないという事でリアが私の転移で行くことになった。
帰りの魔法を込めた魔石も持している。
「早く帰って来てね」
そして、神界にリアを送った。
しかし驚いた、前のリアは知識人でいう12歳くらいだったのが、数日で18歳くらいに成長するとは…背は私の鼻くらいだが、胸は今の私に迫る大きさだ。
前も可愛かったけど今はもっと可愛い♡
帰って来たら甘えたいわ。
うちの子すごいわね。どうやったのかしら?
しかし、本当に良かったね。リア
ホロリ。
神界に行ったら大騒ぎだな絶対。
私はリアの帰りを待ちつつ、魔道具作りに勤しむのであった。
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リアも神界から戻り2人で、いや、3人で生活を始めた。
私のお腹も大分大きくなり、早く生まれないかとリアと楽しみに待っている。
リアは武の神だが他にもいるので偶に教会に顔出しをしに行く程度だ。
それ以外は魔獣の森で私と交互で魔物を討伐し冒険ギルドに素材を売っている。
二人でのんびりとしていると、
コンコンとドアを叩く音が聞こえた。
リアが対応に行くとドタドタと戻って来た。
どうしたのか聞くと、
「創造主様が来た!!」
と一言言った。
は?
お腹が大きいのでゆっくり玄関に向かうと、そこには父が居た。
「ルナ会いたかったぞ!心配したぞ!!」
ヒシ!?
突然父に抱きつかれた。
「パパ!?」
創造主の父は常に神界にいる。
それは父は知識人を嫌っているからだ。
昔、知識人のあれやこれやと願いを叶えたのに、世界樹の母の枝や葉を持ち帰り、終いには母に剣をたて傷つけたのだ。
流石の父もそれには激怒し知識人を滅亡してやろうとした。だが、周りの神達に止められた為、仕方なく知識人の領地と魔導族の領地の間に壁を作ることでなんとか収まった。
それ以来、こっちに来ると知識人を滅びさせたくなるからと極力来なくなったのである。
って、お腹の子お腹の子!!
「パパっちょと離れて、お腹の子に当たってるから。」
「ルナに拒絶された...泣
っと、カグリアとの子じゃな!?」
相変わらず感情が激しいな父。
「あなた、落ち着いて下さい。話が出来ないではないですか。」
「ママ!?」
父の後ろには母が居た。
母はこの世界を支えている世界樹である。
それが長い年月が経ち神霊化が出来るようになり、父と結ばれたらしい。
まぁ、ココには母の一部の黒根があるからそのうち来るだろうと思ってたけど、まさか父と一緒に来るとは思わなかった。
「2人共、急にどうしたの?」
「どうしたも、こうしたもありません。
貴女が行方不明になってどれだけ心配した事か、無事で良かったわ...」
そう言って母も抱きついてくれた。
ドアの近くでリアが感動したのか泣いていた。
恥ずかしい。
再会も落ちつき、談話室に移動して、話題はお腹の子の話になった。
「儂にも遂に孫が出来たか。嬉しいのう。」
父は満面の笑みで私のお腹を凝視している。
「少し腹を触らせてくれんかのう?」
「ええ。良いですよ。」
まぁ家族だしいいよね。リアを見ても気にしてないようだった。
「では。」
スカッ!?
「「は?」」
父と母の声が被った。
しかし始まったかぁ。
この子は最近、私とリアのお腹を移動して遊んでいるのだ。
前はキスしないと移動しなかったのに、今では多少離れていても移動する困ったちゃんになってしまった。
どういう理屈で移動しているのか見当もつかない。
「パパ。こうなると移動して遊ぶからお茶にしましょう。」
「ホッホッホッホッ、元気な子じゃのう。カグリアに似たのかのう?」
「どうですかね?アハハハ...」
お腹を撫でてたリアは父に言われ、顔を背けた。
そんなリアを見ていると、おっ!?戻って来た。
私のお腹が膨らんだ。
トントン!!
あら?
今日は早いわね。
お腹を蹴るのが終わり合図らしく大人しくなる。
リアを見ると残念がっていた。
最近は、リアより私のお腹の中にいる方が長いからだ。
産むのは私だからね。リア
「パパ。この子、今からお昼寝見たいだから触れるわよ。」
「そ、そうか!?どれ。」
父は私のお腹に手を置き鑑定しているようだった。
「ふむ!どうやら"天の子"のようじゃのう。」
「天の子となんです?」
私は聞きなれない言葉に興味が湧いた。
「ん?知らんかったか。
天の子というのはこの世界の外から来る子供の素じゃよ。」
詳しく聞くと、転移者が居た世界で死んだ者が何らかの原因でこちらに来る時に、魂から子供の種に変化するらしい。
その種は無色透明で探そうとしても見つからず、偶々種の近くを通った生物のお腹に宿り子供になるそうだ。
なお、天から落ちてくることから天の子と名付けられたらしい。
「でも、無色透明て言ってたけど普通に見えたわよ?」
「それはおそらく、ルナが同じ天の子だから見えたのじゃろう。」
「え!?」
衝撃の事実、私も天の子だった。
「神族は子が出来にくい体質だからのう。儂も相当、天の子を探したものじゃ。のうプラムよ」
「ええ、結婚してあなたはアベルさんの所に毎日通い時空の歪みがないか確認して、あったらその周辺を散策して帰って来ては私に受粉してましたね。お陰で3人の子供が出来て幸せですよ」
母よ、私たち植物じゃないからね。
母の本体は神樹だが意識だけを切り離し、神霊化して実体を手に入れてる。
だから私たち兄弟は神霊化した母から生まれている。決してきのみから生まれてないからね。リア
「私、天の子だったんた。」
「ええそうよ!神との子は天の子が普通だから気にしなくてもいいからね。」
リアも雷光さんの子だから天の子なのかも、知らなかった。
「なんで知らなかったのだろう?」
「それは、天の子の乱獲を防ぐ為、儂が命令したからじゃ。」
父かい。
「その子は間違いなくルナとカグリアの子じゃから安心せい。」
それを聞いて私の中の小さなシコリが取れた気がした。
私の目から一筋の涙が流れ、リアが拭き抱きついてくれた。
リアも同じ気持ちだったのだろう。
その後、両親にこれまでのことを話すと帰って行った。
愛されてるな私....
「なんかスッキリした!
リア晩御飯にしよう?」
「そうだね!!正真正銘ルナとの子で安心したよ。」
リアも同じ気持ちだったようだ。
「この子を愛せる?」
「もちろん♡」
私たちはキスしてキッチンに向かった。
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