第15話 帰宅

 焼け崩れる建物の中を移動するのは大変だった。


 折角手に入れた奴隷に火傷を負わせるわけにはいかない。

 大きめの布で奴隷を包み、元来た道を辿って背負って脱出した。


 俺たちが脱出した後、すぐに屋敷は崩れさった。

 結構ギリギリだった。

 水魔法を使っている魔法使いや野次馬連中が集まっていた。

 俺たちを目撃した人が何人かいたかもしれないが判別まではできないだろう。


 ギリギリで脱出したのには理由がある。

 地下室には宝物庫のような部屋があり、それらをアイテムボックスに回収するのに時間が掛かってしまった。


 そのせいで、脱出する時間が遅れてしまったが、仕方ない。

 あれだけの宝を放置はできない。

 そう、仕方ないのだ。



 宿には窓から帰った。

 玄関でもよかったかもしれないが、外出していたことを悟られないようにするにはこっちが良いだろう。

 カッコいいしね。


「お帰りなさいませ、ご主人様」


 部屋に入るとアインスはいつも通り跪く。


「何か変わりはなかったか?」


「はい、訪問者はゼロです」


 明日辺りもしかしたら、誰か来るかもしれないがその時はそのとき考えよう。


 今日はもう疲れたからすぐに寝た。

 ちなみに俺と連れて来た奴隷はベッドで、アインスには床で寝てもらった。


 そういえば、こいつの名前なんだっけ?

 アインスみたいに俺が考えればいいか。


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