第1章 魔法少女が見ている夢。02話

朝のHR前。


いつもと同じ景色。


いつもと違う雰囲気。


教室が少しざわめいていて。


あちらこちらでお喋りが聞こえる。


あさひとえちるの2人は。


うまく状況を理解できてなかったけれど。


すぐに友人が来て教えてくれた。




和久「転校生が来るらしい」




いつものようにポケットに手を入れたまま。


ぶっきらぼうな感じで。


和久は言って……。




あさひ「それはいきなりな話題だな」




あさひも気楽な感じで返事をする。


和久とは入学してからの付き合いで。


最初は不良の類かと2人は思ったけれども。


話してみると気さくで優しく。


それに想像以上に真面目だった。


だから最初は怖がっていたえちるも。


今では普通に喋れるようになった。




えちる「……わたしも……知らなかった……」




和久「クラス中そんな感じみたいだぞ」




あさひ「転校生って初めてだな」




和久「俺も」




えちる「わたしも……」




あさひ「でも……」




そう言って。


あさひは言葉を止めた。


えちるは確か……。


違うクラスだったけど……。


あの……事件の……後に……。




和久「どうかしたのか?」




和久「ぼけっとして」




あさひ「何でもない」




あさひ「ってわけでもないな」




あさひ「朝から調子が悪いんだよな」




えちる「うん……ずっと……眠そう……」




和久「保健室で寝とくか?」




あさひ「そこまでじゃないな」




あさひ「別に体調悪いわけでもないし」




和久「まぁ可愛い女の子を見たら元気になるだろ」




えちる「……転校生は……女の……子?」




和久「そうみたいだ」




和久「朝練に来てたクラスのやつが見たらしい」




あさひ「噂もそいつ発信ってわけか」




和久「そんな感じ」




和久「気になるか?」




あさひ「人並みには」




あさひ「お前と違って女子を見ても元気にはならないけどな」




和久「あさひにはえちるがいるしな」




あさひ「……まぁ否定はしないかな」




えちる「……ありがとう……」




和久「2人は相変わらずだな」




そう言って和久は嬉しそうに笑う。


あさひとえちる。


2人は幼馴染で。


少し前から恋人同士で。


確かあの日は……。


あさひは思い出そうとするけれども。


まだ頭がうまく働かないみたいで。


少しぼんやりとしていた。




和久「万年片思いの俺からしたら羨ましけどな」




えちる「生徒会長……格好いいから……人気……ありそう……」




和久「そうなんだよな」




あさひ「まぁ当たって砕けるのもいいと思うぞ」




えちる「うん……男らしくて……格好いいと……思う……」




和久「砕ける前提なのかよ」




そう言ってまた和久は笑う。


和久は生徒会長に片思い中で。


今も雑用をしによく生徒会室に出入りしている。


最初は見た目などで浮いてはいたが。


真面目に、真剣に。


しっかりと学校に貢献するとのことで。


今では次期生徒会長にという声もなくはない。


不良がいい事したらよく見えるだけ。


和久はよく言っているけれども。


和久と一緒に歩いていると。


みんなから挨拶されることが。


凄く和久らしいとあさひは思っていた。

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