(ショートエッセイ⑧)あさましかりつる年も暮れ

『平家物語』の奈良炎上のくだりの最後、東大寺が焼け落ちる黙示録的な描写のあとに「あさましかりつる年も暮れ、治承も五年になりにけり」という一節があります。令和二年もまさに「あさましかりつる」苦患の年になってしまいました。どうか来年が、わたしたちみんなにとって良い年でありますように。


 令和二年暮 

   猫村まぬる

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