第18話 占いの結果は
私はプリプリ怒りながらランチを食べていた。
ノアさんから説明を受けた。
つまり私の料理は気絶させれるだけと。
ならあの竜人族の王子も生きてるってことね?
ふぅー…殺してなくてセーフ。
「すみません…でもあれを食べたら気が付いても数日は気分が悪いしあまり動けませんから」
えっ!?そんなに効果あるの?私の料理!!どんだけよ!一生美味しい料理作れないけど殺人寸前料理を作る女とかどんだけよ!むしろ私の方が暗殺者になれる!!
「じゃあ…ノアさんも数日無理してたのね…。明るいフリして…酷いわ騙すなんて…」
「すみません、お嬢様に私のことなんて心配させるのは…」
「心配に決まってるでしょ!さっきだって必死に追いついたら縛られてたじゃないのノアさん!」
「お嬢様…すみません…」
「もっと自分のことも大事にしてよ!ノアさん!」
と私はそろりと指先をノアさんの指に近づけて少し触れる。
すると指先ごとノアさんは両手で包んだ。
2人とも赤くなり見つめう。
どうしよう…私…ノアさんのこと…。
と思っていると黒いローブのおばあちゃんが食事を取りに来て私達のテーブルの横に座ったから慌てて手を離してしまう。
「おや、カップルさんかね?…いいねえ?お前さん達を占ってやろうかい?あたしゃ占い師なんだ」
「いえ、結構です!適当言ってお金騙しとって変な壺でも買わされたら大変ですので!」
「まぁまぁ!あんた達旅行者だね?見たところ」
「そうですけど…関係ないでしょう?」
「飯代だけ奢っておくれよ!!あたしの占いは百発百中じゃ!」
「………そんなに言うなら占ってもらう?ノアさん」
「お嬢様!悪い結果が出たらどうするんですか!!こんなのインチキに決まってます!」
「やる前から難癖つけんでくれ!」
「いいじゃない、ご飯代くらいなら奢ってあげましょう?」
出すのはノアさんだけど。
私がコテリと首を可愛く振ったら簡単にノアさんは落ちた。
「お嬢様の優しさと可愛さの前では仕方ありません、奢りましょう!ですが私は結果はどうあれあまり信じませんよそういうのは!」
と言う。まぁ男の人はあんまり占いに興味ないもんねー。
とは言えどんな結果だろう。
「ひひ、では始めるぞい!」
とテーブルにカードを広げ始めるおばあちゃん。ふむふむと時折うなづきながら占っている。
そして…
「ほい判ったよ。お前さん達は…今夜結ばれるね。良かったの!」
と言った。
「は、はああ!!?」
今夜って何!?どういうこと!?
まだ旅行始まってばかりですけど!!?
こういうの有りにしても今夜ってのは流石にないわよ!しかも予告されてヤルわけないでしょ!!
ヤルにしても旅行の最終日がセオリーじゃない!やっぱりインチキね!!このおばあちゃん!!
「いい加減なことを…どうせお昼代が欲しい戯言ですから気になさらないようにお嬢様!」
とパクパクとパンを食べるノアさんだがその手がガクガク震えてボロボロパンクズを落として動揺していた!!
何で!?
「ホッホ!まぁ頑張っての、美形のお兄ちゃん!因みに2人の相性は稀にみる抜群が出ておる!!凄いぞ!普通なら少しくらいはズレるもんじゃがこうピッタリと合うもんじゃの!お前さん達それで処女と童貞とか嘘じゃろい!?」
と言い当てられビクリと私達はした。
「なっ!な、何てことを言うんですかっ!!」
「ううむ、しかもさっさとせんと他の女の影が兄ちゃんに近づいてる?うん?何か鎖が見えるの…しつこい鎖じゃ…」
「えっ!?」
鎖と聞けばもうあの女の子しかいなかった!!確かにあの子はしつこそうだ!
「………ですからそんなの当てずっぽうもいい所ですよ!!仮に今日結ばれなかったら何だと言うんですか?」
「ふむ、では結ばれなかった場合の未来も占ってみようの」
とまたカードを広げた。
そしてまたふむふむと見て結界を告げるばあちゃん。
「うむ…今日その鎖関係の女が宿に突入してきてヤッてないのを見たら男を拐って逃げて男は鎖女にヤられる。そしてお前さん達2人は永遠に別れることになるの…」
「はあああ!?ちょっと!だんだん具体的になってるじゃないの!!何なのよ宿侵入って!」
「どこの宿に入ったとしても嗅ぎつけるようじゃの?魔力結界を張っても無駄じゃよ。その鎖のお嬢さんは魔力が高いようじゃな!見破るのも簡単じゃろうて!」
「くっ!また明確な指摘!絶対さっきの戦闘見てたんですよ!このおばあちゃん!」
「知らんよそんな戦闘。ともかく今夜やらないと諦めんじゃろその鎖女も」
「わ、私はそんな占い信じませんよ!!」
「まぁそうよね!そんな具体的なのってないわ!まだ旅行1日目ですし!そんなのあっても最終日よ!!」
と言うと
「えっ!?」
とノアさんが驚いてそして真っ赤になる。
あっ!ヤバ!
「ち、違うわ!そんなのはものの例えよ!かか勘違いしないで!!」
と赤くなる。
「おっほっほっ!時間の問題じゃな!!お、料理が来たわい!」
とおばあちゃんはご飯を食べた。
私達もなんか気まずくなりもしょもしょ食べた。
ない!ないからね!
…でも本当に当たってたらどうしよう…宿に奇襲されてノアさんまた拐われるの!?そしたら私どうなるのよ?
「お嬢様…絶対嘘ですから!し、心配なさらないで!私が拐われることなんて…ありませんので」
「でも…ノアさんあっさりあの女の子に捕まってたわ!もしかしてあの子の方が魔力高いの?」
「そ、それは…判りません…」
ええええ!そんな!ノアさんが判らないなんて!やっぱりあの女の子凄い強いんだ!!ど、どうしよう!!
*
それから私達は昼食を終えて、ぎこちなく観光した。大きな時計等から大仕掛けな仕掛け人形が躍り回るという魔導力を使ったものや、それ繋がりで時計の博物館なんかを歩いた。
するとノアさんはある時計の前で足を止めた。
「これは…」
「どうしたの?」
「ああ、家は元々伯爵家でしたが…そこにあった時計に似ていたんです…。もう焼けちゃいましたけど。これはうちの亡くなった祖父が父と母の結婚祝いにと贈ったもので……」
と思い出して言葉はそこで終わり、
「お嬢様…あちらにもまだ珍しい時計がありますよ!魔導力を使ったものも多いですね!お土産も売っていますよ?一つ買いますか?」
と明るく言う。
「そうね…。でもノアさん…これを買いましょうよ…思い出の時計なんでしょう」
ノアさんはフッと笑うと…言った。
「無理ですよ…高い上に売り物ではないでしょ?」
と。
そうだったね!!そーうだったね!!
売ってるわけなかった!!
やだもう!赤っ恥だわ!!
「はっ!でも!お土産にミニチュアが売ってるかもよ!?ふっふー!」
「そんなまさか…都合よく………ってあった!!」
と私の後ろの棚にまさにミニチュア版の思い出の時計がある!掌サイズだけど!!
「ほら!私の言った通りだわ!!」
「そうですね、か、買ってきます…」
とそそくさとノアさんは買いへと走った。
*
子綺麗な可愛い宿に足を踏み入れた。
「すみません、お部屋を二つ取れますか?」
夕方になり、宿屋を探しているのだが、観光地だけあって満室が多く大変だった。
「ええと…すみません、一つしか空いてなくて…」
「そ、そうですか…仕方ないですね…」
ええ?また探すの?
「ノアさん!私はここでいいわもう!疲れたし!!」
「えっ!?」
「ではお一つお取りしますがよろしいですか?」
「よろしいですわ!!」
と応える。もちろん金を払うのはノアさんだ。
「………お嬢様…流石にそれは…」
「仕方ないのよ!もう宿今からじゃどこも空いてないかもだわ!」
「くっ!あの変な女に追いかけ回されなかったら…こんなことには…」
と言っている。しかししょうがない。
ここの宿屋のご飯は美味しいらしいと道すがら話している商人から聞いたのだ。事実美味しそうな匂いがしている!ここを逃すだなんて!!
「まぁお嬢様が良いなら私は廊下ででも眠れますんで…」
と言う。
「なんでよ!?廊下にいたらあの女の子が来るかもしれないわよ!?」
「お嬢様まだあんなインチキ占いを…」
「う、占い!たかが占いだけど…」
「じゃあ…お嬢様は私とその…そ、その…」
と赤くなる。
「はい、これお部屋の鍵です!続きはお部屋でやってくれませんかね?お客さん!」
と鍵を渡されて仕方なくノアさんは荷物を持ち部屋へと向かった。
可愛らしい私好みの内装だ。
ベッド一つしかないけど!!
するとノアさんは部屋の隅に行き座りこんだ!
えっ!!?何してんの!?
「御用があれば呼んでください。大体ここから動きませんから」
と言う。
えっ!?何で?
「まさかそこで寝る気?」
「はい!お嬢様はどうぞベッドでお休みくださいね?」
と言う。
ううん…。
私達はその後夕食とお風呂を済ませてしまい私はドキドキしてしまう。
どうしよう、占い通りになったら…。
「お嬢様…私のことは気になさらずに眠ってください!不審者が来たら私が倒します!」
この部屋は魔道具の防音装置が置いてあるのみだ。結界を張ると鎖女に場所がバレるとか言ってたしあのおばあちゃん。
どうしよう…。それに…占いを信じてるのと信じてないのと半々だけど、今までのノアさんのモテっぷりからしてこいつは女を引力で引き寄せる能力でもあるんじゃないかと思う。悔しいが変態のくせに美形だもの。
私は…ノアさんに近づいた。
*
「お、お嬢様?」
近付いてくるお嬢様は可愛い寝巻き姿でもはや私も限界だからやめてほしい!
絶対あのいんちきな占いのせいだ!!
「ノアさん…あの…私」
と赤い顔で見つめる。不味い。理性がぶっ飛びますよ!?
「お嬢様ダメです!!ダメです!!占いを信じては!!」
「でも…このままではノアさんが拐われて…私1人知らない国に残されちゃうわ!、後、ノアさんがあの女の子のモノになるなんて…私は…嫌だわ…」
くっ!!もうそれは…お嬢様…反則です!
私の事を好きなのかと思っていいと…?
いや、そんな失礼なっ!
どうしよう!!どうしよう!!
そして私はようやく一つの結論に至った!
「お嬢様…私に考えがありますので!」
「え?な、何?」
*
「くっそー!まだ気持ち悪い!!何だよあの劇物!死ぬとこだったじゃねーか!!」
俺はようやく目を覚ましてゴミ箱のゴミを回収しに来た男に助けてもらったのだが…、先程夢か現か、死の案内人とか言うひげ男が現れて死の国に連れて行かれそうになったから暴れて小舟から落ちたんだよな。
夢か知らんけど、でもごっそりと力は入らねえし、でもこのままじゃいられねぇ!あの男を手に入れてあの女は殺す!!
それしかねえ!
…うげっ!気持ち悪い!
しかし諦めんぞ!
俺は強い女だ!頑張るぞ!強い子供を残すのが使命だからな!!
そしてようやく俺はあいつらの魔力を突き止め宿を見つけた!くっくっ!如何してやろうか!と壁を何とかよじ登ると中からバシっと音がするではないか。
「あっ…お嬢様♡もっとっ…つ…強く!」
「あら…つ、強いのがそんなにお好みなの?もう、変態なんだから!じゃ、じゃあ…私の足を舐めなさい!」
「ああ、お嬢様…♡スベスベな御御足を舐めてもいいんですか!?し、幸せ」
バシン!
「この変態!」
と言う光景に一気に吐き気がしてきた。私は部屋に侵入して震えながら聞いた。
「な、何してんだお前ら!!」
「あら…昼間の…私達の関係を見られたわ…ノアさん」
部屋は何故かピンクに染まり怪しい拷問器具が有り、
ノアという先ほどの美形の魔力持ちはもはや上半身裸でお嬢さんに躾けられ犬みたいに首輪を嵌められ恍惚な表情で後、ろうそくの漏を垂らしながら四つん這いになり、変態行為をしている最中だった。
「私達…こういう関係なの…うふふふ」
と妖艶に笑う美女を見て寒気に囚われた!!
「貴方もする?」
「ひっ!!嫌だわ!俺は強い子は欲しいが変態の子なんかいらねえ!!無理!!…うぐっっ!!」
ヤベェ…キモイの見たからか我慢していた吐き気が喉の奥から込み上げ限界を迎え、
俺はその場で思いっきり吐き散らした!!
「「あっ…」」
と変態2人がモザイクのかかるその光景を白目で眺めていた。
吐いて多少スッキリとした俺は…
「悪い…もうお前らのことはもう諦めるわ…邪魔して悪かったな…それじゃこれからも仲良くヤンな!」
とひらりと俺はクールに窓から逃走した。
触らぬ変態達に祟りなしだわ。
*
アスタが逃げていったのを確認し、ホッとした。しかし…部屋の中はツーンとしたゲロ臭い臭いにまみれてしまった。
ある意味占いは的中したというわけだが、あの暗殺者何という最悪な置き土産残して行ったのか!!寄りによって私とお嬢様の部屋に!!
「何で私がこんな変態行為を…しかも臭い…最悪…ぐすん」
とお嬢様は泣いた。随分と無理をさせてしまった。嫌がるお嬢様に無理矢理鞭を持たせて女王様になって貰ったのだ!
私にとってはご褒美プレイでもお嬢様は嫌々なのだ。
「すみません!とりあえず急いで片付けますね!」
と身体の漏を落として服をきちんと着直してさっと奴のゲロも掃除して魔力で除菌クリーンを10回くらい施し、爽やかな緑の風でお部屋を陽だまりのような良い匂いに変換した。これでゲロ臭は完全に消えましたね!全く手間取ります!
鞭もマジックポケットにきちんと仕舞い込み後は眠るだけだ。
「お掃除が完了しましたのでお嬢様はベッドでお休みくださいね」
と言い私は部屋の隅に向かおうとすると袖を掴まれた。
「お嬢様?」
「別に何もしないでしょう?一緒にベッドにどうぞ…そんな部屋の隅ではよく眠れないわ…」
いや…それでは私が眠れないだろう!
「でも…」
「…め…命令よ…」
と言う言葉につい私は反応して
「は、はい!!ご命令とあらば!!」
と応えてしまった!!しまったああ!!私の中の変態性がヤバイ!!命令なんてそんなこと言われたら昂るじゃないですか!!
なんてことだ!応えてしまった以上い、一緒のベッドで眠ることに!?そ、そんな!!私のような犬がお嬢様とおな…同じ…ベッドで!!口から心臓が出そうだ!
私の葛藤虚しくお嬢様は袖を引きベッドへ誘う。ああ!こ、このままお嬢様と…いけないことを…。
お嬢様がゴロリと横になり私も強制的に横にさせられた。狭くて距離が近い!
「お休みなさい…」
とあっさり目を閉じる。
「………ずるいですお嬢様…」
お嬢様は赤くなったまま目を閉じている。
「私にこんなお仕置きをされるとは夢にも思いませんでした…」
これもう…いただいてよろしいのですか!?
…しかししばらくするとお嬢様は可愛い寝息を立てスウスウと眠ってしまわれた!!この状況で!僅か数分であっさり眠ったお嬢様…。
流石です!お嬢様!!
今日はお疲れでしたしね。
今は魔力を解き、元の美しい黒髪のお嬢様が私の目の前に寝ている。なんという拷問!!
私は朝まで耐えられるのか!?
新規登録で充実の読書を
- マイページ
- 読書の状況から作品を自動で分類して簡単に管理できる
- 小説の未読話数がひと目でわかり前回の続きから読める
- フォローしたユーザーの活動を追える
- 通知
- 小説の更新や作者の新作の情報を受け取れる
- 閲覧履歴
- 以前読んだ小説が一覧で見つけやすい
アカウントをお持ちの方はログイン
ビューワー設定
文字サイズ
背景色
フォント
組み方向
機能をオンにすると、画面の下部をタップする度に自動的にスクロールして読み進められます。
応援すると応援コメントも書けます