こやけ

 テーブルから椅子を離し背もたれに沈み込んだ。


 天井の照明が歪んで見える。


 長時間酷使した目は疲れていた。


 目頭を軽く揉むけど疲労感は抜けない。


 暖かな光に目をやると、窓ガラスから夕陽が部屋を照らしていた。


 なぜか秋に見る夕焼けは夏より赤く見える。


 それは多分、子供時代に一番動いた時期だから。


 しわが見えるスーツの袖をそっと伸ばす。


 仕事を家に持ち帰ることにした。


 少し、鬱々とする。


 それは終わらない宿題を持って1人家に帰るあの日のようで、不安と焦燥が心を搔き乱す。


 でも、あの頃はそう嫌なことばかりじゃなかった。


 初恋のドキドキ、仲間との一体感、走って転んでまた走る。


 そんな眩しい日々があった。


 あの時があるから、今がある。

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