第13話、夜のお仕事

第三章開始です。

毎週土曜日の17時にアップしていきます。


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「斡旋屋のトコウニと申します。

折り入ってお願いしたいことがございまして……」


その男が我が家を訪れたのは夜9時頃だった。


「なんでしょう。アミノクリーンならギルドの方にお願いします」


「いえ、夜のお仕事のほうでして」


『アミ!気をつけろ!』


「……」


「あっ、道具袋さんもそんなに警戒しないでください」


『念話が使えるのか……』


「ええ、こう見えてもそれなりの能力がありますので」


『で、何の用だ』


「はい、悪い奴の始末を継続的にお願いしたいと思いまして」


『どういうことだ』


「世の中には、法で裁くことのできない悪党どもがおります。

私どもは、そういう奴らに恨みを持った弱い人からの依頼を受けております。

仕事料は一人につき金貨一枚」


『それって、必殺何とかって……』


「まさにそれです。

道具袋さんの前世の記憶にあるソレですよ。

実際に、私どもの依頼先は複数ありますから、すべての依頼がアミさんにいくわけではございません。

ですが、下調べはすべてこちらで行いますので、余計な手間がかかりませんでしょ」


『どうするアミ』


「やる……」


こうして、夜の仕事は依頼の下で行うことになった。




さて、今日はジェシカ様の所にお伺いする日です。

今日の手土産は、夕海亭で作ってみらった唐揚げです。


トリのもも肉に下味をつけて、小麦粉をまぶして揚げてもらいました。

フライドポテトも一緒に作ってあります。


「ほう、今日は惣菜か」


「塩とニンニク・ショウガで下味をつけてあります」


「……!

こっ、これは!」


「このような調理方法があったなんて……」


「いけません。

王女様が昼間からニンニク味など……

これは、私ども側使えが責任をもって処分いたしますから」


「大丈夫ですよ。

ミントの葉を持ってきましたから」


「ああ……、いくらでも食べられる。

このポテトも……」


「後で、夕海亭に城の調理人が来ると言ってありますから」


「ああ、城の食事に出てくるのだな」


「早速、サンプルと一緒に調理長に伝えてまいります」


「アミよ、これ専門の店を城に開いてもよいか。

貴族連中は、夕海亭には通えないだろうから……」


「結構ですよ。

ジェシカ様の直営店一号ですね。

ほかにも、ポテトを薄切りにしたチップスとかありますので、一緒に販売すればいいですわ」


こうして、城に惣菜店がオープンした。

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