あっ。


あれ。


うわっ。


うわわわわっ。


ちょっとっ。


舐めるなっ。


こらっ。


あれ。なんでここに。


あ、わんちゃん。どうもどうも。へびです。こらっ。わかったから。舐めるのいったんやめて。


あ、遊ぶ約束。ごめんね。忘れてた。寿命だったのよ。皮の。脱皮するから、端のところ持って。うん。そうそこ。


よいしょ。よいしょ。


ふう。


ありがとう。これで脱皮完了。それにしても、ずいぶん近いところに。


あっ食べちゃだめ。皮はたべものじゃないです。


え?


遊びたいから待ってた?


そうなの。しかたないなあ。


じゃあ、遊んであげよう。


おわっ。


ちょ、急に扉を開くのはびっくりします彼氏さん。


「うん。うん分かった。こっちでも探してみる」


お?


「あ、いた」


え?


わたし?


「うん。いまうちの犬と遊んでる。すぐ来る?」


どゆこと?


おりゃあ。わんちゃん。どうだっ。首筋こしょこしょ。きもちいいだろっ。はいK.O.。


お待たせしました。彼氏さん。どうしました。


わたしが、何か。


「ちょっと待っててね。いま、あいつ来るから。おうい」


「なに?」


あっ妹さん来た。


「ちょっとなーがさんのこと見てて」


「え、なんで私が」


「いいから。俺プロポーズの準備してくる」


おお。ついにプロポーズを。


あっ妹さんこんばんわ。夜分遅くにどうも。


「ねえ」


はい。


「あの。さわってみても、いい?」


あっはい。どうぞ。


どこから触ります?


「うわ。うわ。うわうわうわ」


ごほっごほっ。


いきなり口に指つっこむんですか。まじですか。


「すごい。咬まない」


いや咬んでわたしに何の得があるんですか。


「かわいいっ。かわいいっ」


あっだめだ。この妹さん、わんちゃんとおなじタイプのにんげんだ。


ちょっ。わんちゃんも混ざってくんなって。待って待って。ひとりずつ。引っ張っちゃだめ。こらこら、それはさっきの皮。だから食べるなってば。


「なーがっ」


あっ。


飼い主さん。わたしを拾い上げて、頬擦り。


「ごめんね。ごめんねなーが」


え。なにがですか?


「ビール呑もうとして引っ張っちゃって」


あ、それですか。いいえ全然。飼い主さんの身体の健康のためなら。


「いなくなっちゃったかと思った」


あ、それはわたしも思いました。


「なーが。だいすき」


わたしもですよ飼い主さん。


あっ、ちょっと待って。


だいすきはちょっと待って。泣くのも待って。


「くすぐったいよお」


いや違くて。まだ泣くとこじゃないんです。涙は尻尾でとりあえずなんとか拭って。


ほら。


しゃんとして、ほら。


彼氏さん来ますよ。プロポーズ。


首に巻き付いて、バイタルの確認。


いやあ安定しすぎ。大丈夫ですか。告白されたらバイタル乱れないですか。


心配だなあ。

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